アフガン・イラク・北朝鮮と日本
《掲示板の論点2》経済制裁について考える1

  [論点解説]

 最近、北朝鮮経済制裁の声が世論の中に上がってきていますが、具体的にどんな内容で行うのかがもうひとつ明確に語られていません。そこで当サイトでも、北朝鮮・金正日政権のジェノサイド政策にストップをかけその手を縛るための圧力としての経済制裁について考えて見ます。

 経済制裁とは、『国際法規の違反国に対して課せられる経済的手段による制裁。特に国連などの国際組織によって行われる場合についていう。具体的には、経済関係条約・輸出入・最恵国待遇・ ODA 援助等の停止、資産凍結などによる。』(三省堂提供「大辞林 第二版」より)ものです。

 ここではまず、経済制裁を考える上で参考になりそうな掲示板投稿と経済制裁の具体的事例について、いくつか紹介します。これらの資料以外にも参考になりそうな投稿・事例があれば是非ご紹介をお願いします。
  • 注:
    各投稿タイトルの右に記してあるのは出典元のサイト・掲示板名です。「拙掲示板」は当「アフガン・イラク・北朝鮮と日本」掲示板の事です。(過去ログ集17所収)
  • 出典元URL(拙掲示板以外):
    • イセサキ進研HP(徒然掲示板2)  
      http://6547.teacup.com/sinken/bbs
    • 朝民研掲示板 
      http://www.asiavoice.net/nkorea/
    • 救う会全国協議会HP(当該投稿ページURLは投稿に付記
      http://www.sukuukai.jp/
  • その後の北朝鮮経済制裁を巡る議論・資料紹介については、《掲示板の論点8》を参照して下さい。

  議論・資料集1 ('03年9〜10月頃の状況)


拉致は平和の破壊、共生の否定
北朝鮮の拉致をだれとどのように正すか--日本単独経済制裁と国連の経済制裁は違う
 
(sinken管理人寄稿論文、イセサキ進研HPより転載) 
  http://maebashi.cool.ne.jp/sinken2001/ratino.htm
投稿者:SINKEN  投稿日: 10月9日(月)

  日朝共同宣言と引き換えに北朝鮮が認めた拉致の衝撃

拉致は国家犯罪だと考えるとき,その犯罪への謝罪,その犯罪が何故起きたのかの説明、その犯罪事実のできる限りの公表、出来うる限りの原状回復の努力、その犯罪で引き起こされた苦痛への本人及び個人への賠償,過ちを繰り返さない事への表明などが引き続き伴うものと考える。
しかし、北朝鮮の金正日は,部分的な犯罪行為の認定と謝罪でことを済まそうとした。

それも,第2大戦以降,アメリカの軍事力の陰に隠れ,国として向き合う事を放棄してきた姿勢を転換し,国交回復の道筋をつける共同宣言をまとめるために,平壌を訪れたそのときにであった。

日本人が拉致され,北朝鮮にとどめられ,国家機関に利用されていることは,脱北者の証言から,明らかになっていた。しかし,それまで,北朝鮮は,公式に拉致された日本人の存在を否定しつづけた。

放置された日朝関係と在日朝鮮韓国人の苦難

アメリカの軍事力の壁の中で,日本は,アジアに対して,共生の展望も描かず,1国に閉じこもり経済発展を遂げてきた。中国,韓国との国交回復,植民地支配の負債の清算に対してもアメリカに許された限りで,アメリカのアジア政策に従属しながら,経済援助を主に関係拡大を続けてきた。その結果,朝鮮戦争が停止しただけで,韓米が軍事力で向かい合い,冷戦の最前線となっている北朝鮮に対して,日本は公式な国交を回復する努力はまったく行われなかった。

日朝の間に,交流がなかったわけではない。戦後すぐに,大きな交流があったのである。在日朝鮮韓国人80万人が存在し,そのうち20万人が,朝鮮を母国として,帰国していった。そして,その後も60万人に及ぶ朝鮮韓国人が,在日した。戦後,日本は,韓国との間でさえ,植民地支配によって,与えた苦難に謝罪賠償を遅らせてきた。さらに,在日との共生を進める努力をするのとは反対に,在日韓国朝鮮人を入管体制のもとにおき,監視の対象にしてきた。

在日韓国朝鮮人は,日本政府と日本国民の共生拒否の社会の中で,そして,南北分断,冷戦対決のなかで、同朋同志を扶助しあい,自らの民族と文化を失うことのない交流を様々な障害を乗り越えながら,築き上げていった。

国交なき外交の闇ー発生した政治家利権

公式のルートが制約される中で,北朝鮮,韓国,日本の分断の中で,在日朝鮮人,韓国人は,闇の苦難を背負い込むことになる。

公式には,国交回復の努力をしない一方,議員の交流,経済の交流が拡大することによって,北朝鮮を巡り,闇の中で,利権が,飛び交い,不正が広がっていった。もちろんこれには,北朝鮮の耕作活動が絡んでいる。しかし,バブルと共に拡大していった口利き政治,利権政治がなかったら,北朝鮮の裏工作に取り込まれることはなかったろう。北朝鮮の工作によって、この口利き政治,利権政治が,闇の中で,経済援助,食糧援助の決定などを通じて拡大することになる。

遅すぎた日本の国交回復の決断

こうした中で,冷戦の1貫として,米韓の軍事的圧力で北朝鮮を封じ込めつづける時代が終わりを遂げる。韓国が,北朝鮮の鎖国を解き,国際社会に参加させようと太陽政策を掲げ,南北統一に向けた交渉と交流を始める。

その一方,北朝鮮は,封じ込められる中で,そこに留まっておらず,300万人国民の命を犠牲にしても,ミサイル,核を開発し,周辺への軍事的脅威を拡大するという政策をとりつづける。

ここにいたって,日本は,国交回復を前提にしたテーブルにつくことを決断する。この決断の背景には,ミサイル,核開発を止める事。さらに、拉致被害者を取り戻すという目算があった。小泉首相は,日朝共同宣言を金正日と共にだし,拉致被害者を取り戻す段取りを確認した首相として,意気揚々と引き上げる手はずだったろう。

しかし,金正日が,その直前で明らかにした事実は,5人生存8人死亡という部分的事実,それに対する簡単な説明と謝罪だった。

このことに対して,家族の怒りが爆発し,多くの日本人もその怒りに同伴した。俺もその1人だった。
金正日は,部分的な国家犯罪の認定と謝罪で,ことを済ませ,対国家交渉に移り,ほしいものを手に入れようとした。

金政府に拉致解決をいかに迫るか

このときに使った論議が,日本国の過去の植民地支配だ。日本国は大日本帝国の植民地支配と,第2次世界大戦で引き起こした悲惨に対して,ヤルタ体制に,無条件降伏し,ヤルタ体制に指示されるままに,賠償し,直接植民地として支配する過程,戦争の過程で,朝鮮国民に与えた悲惨いついて,謝罪も,賠償もすることなくすごしてきた。
日本の大悪を持ち出し,それに比べれば俺の行為は,小悪だとし,個人の被害を切り捨てようとした。
しかし、この悪を考えるとき,大日本帝国の悪は,敗戦によって解体し,停止した。確かにこの悪によって,被害を受けた人たちへの,直接謝罪,賠償が行われていない責任は,長い間放置された。これは現在の日本国家が引き継ぎ行わなければならないことはあきらかである。
しかし,金政府が人間の生存に与える脅迫は,今も進行中なのである。このことが,過去の悪を日本国が謝罪し,国交回復交渉を始めるこを多くの国民が認めない理由となっている。
金体制の進行中の悪は,核保有による戦争の脅迫、国内での経済運営破綻からの餓死者の発生,外貨獲得のための不法工作,国内政治犯収容所を中心とする人権抑圧による恐怖政治までにも及ぶ。。
この実態への変更要求なくして北朝鮮に,ほしいものだけを与える国家交渉反対という気持ちが国民の間に起こるのは,当然である。
金体制の民主化要求は,国内外の人間の安全保障の観点から,あたりまえの要求だと思う。
しかし,この要求をどういう形で行うかに,戦争と平和の分かれ道がある。

そしてこの要求を実現しようとするとき、どんなに実態が弱弱しく見えようとも,過去の歴史のなかから,引き出された
人間の英知に基づく事が重要なのである。

拉致を2国間問題にしてはならない

単独経済制裁は孤立化の政策

先ず,救う会の佐藤正巳氏が主張する「拉致された国民とその家族を,帰国させない金体制に経済制裁を」という主張について。

日本が経済制裁を行えば,必ず,北朝鮮は倒れる。と佐藤氏は主張する。しかし,佐藤氏は,北朝鮮が,倒れる根拠を示してはいない。確かに,日本の単独経済制裁は拉致という犯罪を実行した北朝鮮,そして,それを1部認めただけで生存する拉致被害者とその家族をいまだとどめている北朝鮮に対する怒りの表現にはなるだろう。しかし,国の政策として,報復的に実行するとき,この政策は,戦争と結びつく攻撃的な政策なのである。報復の連鎖が軍事行動に発展し、戦争になり、その戦争は、近隣諸国を巻き込んで、世界戦争に発展したという歴史がある。第2次大戦後の国際社会は、2国間で起こった紛争に対して、多国間で関与し、できうる限り、平和的な解決を図るという紛争処理のルールを国際連合の下に作り上げようとしてきたはずである。

佐藤氏は、単独で、北朝鮮には、不法に対して、制裁を加えるべきだという。しかし、経済制裁で、北朝鮮の不法を止められない場合、どうし様とするのか。報復の連鎖は、どちらが停止しなければ、止まらない。

佐藤氏は,そのとき,同時に進行していたアフガン、イラク戦争で示されたアメリカの軍事力を考えていたのかもしれない。日本には、日米同盟がある。拉致に対する日本の要求を無視すれば、アメリカの軍事力による制裁を受ける事になる。この圧力があれば、北朝鮮といえども、屈しないはずはない。もし、拒否すれば、金体制は、フセインのように倒れるだけだ。

この思いは、5人の生存者をどうするかで、拉致問題を終えようとする北朝鮮に対し、憤激する国民のなかにもあった。

しかし,ブッシュのアメリカさえ、戦争の犠牲も省みず、金政権打倒後の混乱を考える事もなく、軍事行動をとるなどということは考えていなかった。

さらに、アフガン、イラクを、電撃的に占領し、圧倒的な力を示しても、占領後、簡単に、アメリカの利権に都合のいい国家を再建できるというアメリカの目論見は、完全に破綻していることが明らかになった。今のままだと軍事力で、地域を支配する事のために多額の資金を投入せざるを得ない事態に至っている。政権を破壊しただけでは、専制独裁体制から、共和制国家への再生は果たせない。

このような中で、北朝鮮との間で、単独の経済制裁という報復合戦に、入るならば、それは、北朝鮮の瀬戸際外交に利用される可能性のほうが高い。

北朝鮮と単独で、緊張関係を高めても、北朝鮮と共に、2国間の泥沼に引きずり込まれ、北朝鮮に共に向き合うべき、北東アジアの近隣諸国から、孤立化する危険のほうが大きい。

国際社会に,拉致は、平和と共生の破壊と訴えよう

拉致が犯罪であるのは,国連憲章,世界人権宣言などの国際ルールにおいてである。北朝鮮は,米韓との軍事的対峙が終了していないとわいえ,国際連合に参加しているのである。したがって,この犯罪を正すためには,北朝鮮の姿を国際社会の鏡の映し出し,平和への破壊につながる行為を行っているかを実証しなければならない。

北朝鮮は,拉致という犯罪で,日本国及び日本国民と紛争を起こしている。また,自国民の中から発生した大規模な餓死、生きるための近隣諸国への脱北は,自国民との間に引き起こしている紛争である。この現在も進行する紛争をどう解決するか。このことが,日本国及び日本国民に問われている。
大日本帝国の敗戦の中から,再出発した日本国,及び日本国民は,戦争以外の平和的手段で,紛争を解決しようとする外交に努力を尽くさなければならない。
戦争を禁止し,紛争を共同で平和的に解決することをめざす国際連合、国際社会と協調して、日本及び日本国民の安全を考えるという視点をはっきりもち,北朝鮮が引き起こす紛争に対処しなければならない。日本国は,国際連合と国連憲章の示す精神と同じ精神を持つ日本国憲法で,戦後復興を果たした。したがって,戦後初めて,他国から直接日本国民に向けられた紛争解決をこの精神で果たさねばならない。
しかし,アメリカのブッシュ政権は,この精神を否定し,先制攻撃テロとの戦いで,アフガン,イラクを侵略し,第1次大戦前の無法な戦争を実行している。
北朝鮮金正日が引き起こす紛争は,さらにそれ以前の封建社会的無法を含んでいる。
金体制が引き起こす無法に,怒りを感じるが,その怒りを直接制裁,報復で返すことは戦争の連鎖に向かう危険がある。だからこそ,国連憲章の中に,そしてその後の合意の中に紛争解決のための武力行使も,報復的な武力行使も禁止する事が書き込まれたのだ。

単独経済制裁と国連の下での経済制裁の違い

経済制裁の禁止は書き込まれていない、武力行使とは違うという反論も出るだろう。しかし,武力制裁と経済制裁は密接に関連しているし,単独国家が,報復的に行使する事は,はっきりと禁じられているのだ。
アメリカは,国家間の経済的な対立にいたるまで,経済制裁を行ってきた。しかし,アメリカのルールで,世界を見てはいけない。
経済制裁が国際的なルールの中に,持ち出されたのは,戦争を違法化した国際ルールを目指す国際連盟においてだった。戦争を違法化して,平和をどう作るか。そのために,対立関係にある国を集団の中に取り込み,集団内の1国が他国に対して行う攻撃は,集団総てへの安全の侵害として,集団的制裁行動をとるとし,経済制裁それで不十分と認めたときは武力制裁を定めた。
この国際ルールを国連が引き継いでいる。確かに拒否権を持つ米ソを中心とする冷戦下では,この制裁を認定し,発動する権限が安保理にあり,これが発動されるためには、拒否権が発動されないという前提も必要で,充分に機能しないという問題点もあった。

だからといって,このルールを無視し,第2次大戦前のように紛争解決は,最終的には,当事者の武力行使によるという時代に逆戻りできようか。アメリカは,ブッシュの先制攻撃論で,国連精神を踏みにじり戦争を拡大しているが。

国連の下で行う平和の破壊国に対する制裁措置

国際連合のもとで,,国家間の平和はどのように確保されるか。その権限は安全保障理事会にある。安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定(determine)し、並びに、国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし(make recommendation)、又は第41条及び第42条にしたがっていかなる措置をとるか決定する(decide)」(第39条)。
そして,「この措置は経済関係及び鉄道、航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信手段の全部または一部の中断並びに外交関係の断絶を含むことができる」(第41条)
また第41条で定める措置では不充分なことが判明したと認めるときには、国際の平和と安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍または陸軍の行動をとることができる」(第42条)。これらの決議の採択は、15理事国中「常任理事国の同意投票(concurring vote)を含む9理事国の賛成投票(affirmative vote)」(第27条第3項)による、特別多数決で行われる。


以上で明らかなように,日本1国が正義だと考えても、,他国の不法行為に対し,単独で報復的措置として,制裁や武力行使を行う事は,国連を無視した国際ルール違反となるのである。
このような前提に立って,金体制が国際社会,とりわけ近隣諸国,日本に与えている北朝鮮国内外での紛争,平和な暮らしへの脅威を俺達はどう受け止め,対処するか。このことが重大なのである。

平和の破壊国に対する単独での制裁報復は、その破壊を止められないし、むしろ拡大してしまう。国際連合の下、平和の破壊国に対して、対処する方法は、多国間関与による平和の破壊停止要求である。北朝鮮が、多国間が関与し行われた要求を受け入れず、平和の破壊を続けるとき、関与した国家が初めて、その停止のための制裁を国連に要求するという事になるだろう。

                             10月9日修正



RE:ポークさん。経済制裁 (拙掲示板)
投稿者:SINKEN  投稿日: 9月22日(月)19時20分15秒
簡単にレス。日本単独の経済制裁は,報復的手段として,国際社会では,採られるという事を,俺は主張しました。北朝鮮がこれに反応して,暴発するという事は,ここでは考慮していません。日本国家は,長い間アメリカの後ろから世界を見ていたために,国際社会にどう向き合うかを理解している政治家が自民党には,皆無なのではないか。結局弱い国家で行くか,強い国家で行くか。の選択しかない。野中は弱い国家で,小泉,安倍は、強い国家を主張している。強い国家派は,経済制裁を主張しているが,これは,第2次世界大戦によって,崩壊した国際社会を,再建するために,国際社会が協調して,作り上げた国際連合を中心とする国際ルールをまったく理解していない。
結局,アメリカの単独行動主義との強調でしか,国際社会に向かい合えない。これは,さかなさんが指摘していることとも関係している。
結論的に,北朝鮮の人間の尊厳無視に立ち向かうには,国連を動かし,北朝鮮近隣諸国で,共同した行動を取るしかない。ポークさんは,国がやるべき,なのにやらないから,と指摘するが,国家が個人を犠牲にする事が世界に溢れているから,無数の社会運動があるのです。社会運動の継続なくして,北朝鮮が作り出している人間の尊厳に対する危機を止める事は出来ない。
繰り返すが,日本だけの経済制裁は,国際社会で受け入れられないし,アメリカと共に,孤立化をたどる。最低,中国,韓国,ロシア,と,北朝鮮が作り出す人間の尊厳に対する危機を止めようとの合意を作り出さなければならない。

>SINKENさん、経済制裁 (拙掲示板)
投稿者:さかな  投稿日: 9月22日(月)19時51分10秒
SINKENさん、こんにちは。 私は日本が国際紛争において対外政策を選択する場合、国連中心主義の原則で行動すべきと考えています。 国内の政党で言えば今の民主党の主張する政策が相応しい(拉致問題への対応云々は別として)と思っています。 原理原則・一貫したスタンダードは国際社会の問題を解決するに当たり信頼の裏づけとして有効です。

ただ北朝鮮への経済制裁については以上の要素もありますが、当事者としての権利は当然留保すべきで、それが効果があるのなら当事者として選択する権利を否定するものではありません。 今自国民が攻撃されて反撃する能力があるのに、国際世論を待つ必要は無いと思うわけで、単に自衛権の問題であり、なんら非難される事は無いと思います。

例の中国に脱北者のキャンプを作れば体制崩壊すると言う考えや、私の考え(莫大な経済援助をつけて北朝鮮を中国に売る)も、中国の動きなしに有効な問題の解決は無いだろうとの前提であり、日本一国での経済制裁は疑問、と思うだけですね。 いずれにしてもこれらの北朝鮮における人権問題は、一番早い道を選択すべきと考えています。 それが戦争であれ、経済制裁であれ、なんであってもですね。

SINKEN氏へ (拙掲示板)
投稿者:ポーク  投稿日: 9月22日(月)19時57分21秒
簡単に、ですがレスします。

今の国連には限界がある。
日本という国自体の防衛もきちんと為されていない。
そのような現状で、日本ができる最も有効な手段は何なのか。
理想と現実との違いを理解しなければいけない。

> アメリカの単独行動主義との協調でしか,国際社会に向かい合えない。

これが現実だと考える。実際、経済制裁と言っても、アメリカの台湾カードなどを使った圧力を利用して中国などへの締め付けを厳しくしておかなければならない。だからこそ、家族会の方々はアメリカへ赴いて訴える。

拉致被害者の奪還、家族会の方々の心情を第一に考えるか、それと国家とを絡めてこの問題を考えるのか、そのどちらかによって意見はすれ違う。基本的にSINKEN氏と私は噛み合いそうにない。もちろん、社会主義者氏などもそうだ。
私自身は拉致被害者、家族会のことを第一に考える。正直、国家なんてどうでもいい。現状を見つめた上で、拉致事件解決のために何をするべきなのか、何が必要なのか、それを考える。
悠長なことは言ってられない。(以下略)


経済封鎖の意味があるのか? (イセサキ進研HP)
投稿者:Kotetu  投稿日: 9月27日(土)00時02分29秒
 私は、理念やあるべき論の前に、実現可能性、実行可能性を
考えます。実行しても意味なければ、単なるスローガンだと思っ
てますので。

 さて、役立たずの害務省HPから、北朝鮮と日本の関係を概
観出来そうなデータを拾ってみました。

*************************************************** 

1、軍事関係
 支出 21億ドル(ミリタリーバランス2000年推定値)(*1)

 参考)2002年の韓国武器輸入額 19億ドル (*2)

2、経済関係(*1)
 ・経済規模(名目GNI) 157億ドル(2001年)(韓国銀行推計)
 ・貿易額 (1)輸出 6.5億ドル(2001年)(韓国銀行推計)
      (2)輸入 16.2億ドル(2001年)( 〃 )
      (3)主要貿易相手国 (KOTRA推計2000年)
     中国(4.9億ドル)、日本(4.6億ドル)、韓国(4.3億ドル)

 ・日朝経済関係
  (1)貿易額     (97年)(98年)(99年)(00年)(01年)
 日本の輸出(億円)  276.0  227.3  166.5  222.8  171.7
 日本の輸入(億円)  197.7  287.0  228.4  276.9  266.1

 (2)主要品目(2001年)
 (イ)日本の輸出
 繊維製品(30%)、輸送機器(21%)、電気機器(14%)、機械類(12%)
 (ロ)日本の輸入
 魚介類(47%)、繊維製品(30%)、鉱産物(10%)、電気機器(7%)


(*1)外務省データ
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/data.html

(*2)拙文;北朝鮮】けっこう立ち直ってしまったんじゃん?+軍事的脅威?(9月26日(金)20時33分

59秒)
*******************************************************

 害務省HPの記述で、ます驚かされる・・・、というか、全然
驚かされなかった(^○^)のは、データの大部分が韓国情報機関の
公表データを流用していることです。

 ま、ジパングの害務省の情報力は、この程度にしか過ぎません。
当然、ポチ小び泉や雛人形川口のオツムの中もこの程度でしょうね。

 さて、軍事問題ですが、北朝鮮の年間予算が、韓国の武器輸入
額程度しかないですね。しかも、輸出が6.5億ドルですから、過去
の支援米が仮に輸出に回されても、大した額ではないことがわかり
ます。
(注;支援米は、日本国からWFPに引き渡されたのですから、)
(外貨に変えるには、北朝鮮が横流しで輸出するしかありません。)


 次に、具体的な経済封鎖ですが、名目GNIに比べて、輸出入
額は大した金額ではありませんね。そして、日本は1/3に過ぎ
ません。しかも、たったの4.6億ドルです。

 日本一国がぐぁんばっても、金ちゃんはあまり堪えないでしょ
うね。日本の縄張がなくなる分は、中国、韓国、ロシアが喜んで
補完してくれるでしょうし。

 次に、品目別に見てみましょう。電気・機械類は、あまり意味
ないでしょうね。よほど特殊なものでない限り、中国、台湾、韓
国で調達できるでしょう。
 たとえば、パナソニック(日本)が輸出できなくても、パナソ
ニック・チャイナが輸出するでしょうからね。

 注目すべきは、水産物(輸出入)と繊維製品でしょう。

 水産物は、主に北朝鮮漁船が直接日本の港湾に水揚げします。
これを禁止すれば? ・・・洋上で中国漁船、ロシア漁船に積み
替えられるでしょうね。体の良い中継貿易の成立ですね。

 ということで、繊維製品に注目してます。輸出(30%;52億円)、
輸入(30%;80億円)は加工貿易を示唆しています。すなわち、
日本から原反が輸出され、製品(紳士服、カジュアル品)が輸入
されているってことです。

 少なくもと、これくらいのデータがベースにならないと、経済
封鎖の是非論にいかないと思います。

経済封鎖の意味があるのか?(2) (イセサキ進研HP)
投稿者:Kotetu  投稿日: 9月27日(土)03時18分58秒
 さて、個人的な善悪感、好悪感や人道云々は横に置いといて・・・

 害務省のデータからは、北朝鮮を経済封鎖(日本の巷では制裁)す
るには、@日本一国では効果がないではないだろう。A米国は関係
なさそうだ。B韓国、中国と日本が協同すれば、かなり効果がある
だろう。ロシアが協力すれば、さらに強力になる。という結論にな
るのではないでしょうか?

 以上@からBについて、異論がありましたら、どうぞ。また、害
務省データ以外で、上記@からB以外の結論が導かれるなら、その
資料データをどうぞ。

 ま、日本の国家レベルの動きは、上記@からBをやる気はないと
思わざるを得ません。
 昨今の小び泉発言、自民党総裁選で小び泉信認票が圧倒した状況
(おそらく、拉致議連も多くは小び泉に投票したのでしょう。)、
川口外相の国連での”拉致問題付けたし演説”等々から、容易に想
像出来るのではないでしょうか?

 ま、小び泉君も現状打破のような言い草だが、じつわ、きっちり
現状容認の路線を突っ走ってるわけで、拉致議員連も、しょせん米
国のご希望どおりの路線を変える度胸はないわけで、彼らが”拉致
問題の解決”に転舵するのは無理でしょう。


 さて、日本国家の現状が、上記のとおりだと仮定すれば、市民運
動というか、拉致議連お好みの”国民運動”がやらなくてはならな
いことは、三つの方向があると思います。

 一つは、海外の同士を求めること、すなわち韓中ロの政府と国民
に呼びかけることでしょう。

 二つ目は、政府に方向転換するよう要求することですね。@我が
国が単独でも対朝経済封鎖すること。A韓中ロ政府に共同行動せよ
と呼びかけさせること。でしょうかね。

 三つ目は、国民運動?自らが、対朝経済封鎖を実行すること。す
なわち、具体的な企業名、製品名を名指して不買運動を実行するこ
とでしょう。

 はっきり言って、「拉致議連」も、「支援する会」も、やる気が
あるんかい?と問いたい気分ですな。

***************************************************

re;「経済制裁」主張の真の狙いについて/M さん/9月26日(金)14時54分50秒

>では、「救う会」が経済制裁を主張している真の狙いをどの
>ようにお考えでしょうか。

 私には、わかりかねます。行き詰ってる状態で、何らかの威
勢のいいスローガンを打ちたいのでしょうね。社会主義者さん
の板で鍋山さんのmsgの前半部分辺りが、妥当な見方だと思
います。

 つまり、猿ブッシュの対テロ戦争に相乗りするために、”ア
メリカの「テロに対する先制攻撃」に便乗した方針”って感じ
ですね。

(参照;「拉致問題を解決したくない「救う会新方針」」鍋山 さん:9月19日(金)21時36分47秒)


re;経済制裁は非人道的???/さかな さん/9月26日(金)17時24分21秒

>岩ア美枝子町議の言う「(北朝鮮に対する)経済制裁は非人
>道的」っちゅう話ですが、なぜ非人道的なのか説明はあるの
>でしょうか? それとも「経済制裁」という行為そのものが
>全て非人道的で反対といっているのかな?

 文中には説明ありませんし、同氏のこれまでのレポを読んで
の上の想像でしかありませんが、多分後者の意味でしょう。

>で、どうすべきとか言う対案みたいなものがあるのでしょうか?

 これも、わかりません。

 個人的には、経済封鎖で体制が転覆した例は知りませんし、
多くの犠牲者が下層部、体制反対派に偏るのが明らかですから、
反対です。他の方策を模索すべきです。

 なお、唯一、経済封鎖で体制転覆と言えそうな南アの例です
が、これはアパルトヘイト(人種差別)の撤廃問題で国連経済
封鎖になったのですが、これを誘導したのは加盟国の中でも発
展途上国(アジア・アフリカ諸国)であり、欧米諸国は、アジ
ア・アフリカ諸国の圧力の下に仕方なく同意したというような
状況でしょう。
 特に、アフリカーナの母国イギリスが世論の盛り上がりの中
で南アに三下り半を出さざるを得なくなり、アフリカーナがい
ざとなったら逃げ帰るつもりだった道を閉ざされたのが大きい
と考えています。

 対北朝鮮経済封鎖は、周辺諸国をはじめとする多数の国家の
支持がない状態であり、いまのASEAN等の状況からみれば
難しいのではないでしょうか。
 第一、韓国、中国、ロシアが賛成するとは思えませんし。

>不買運動を言わないというのは正直?なぜなのか?と言う気
>がしますね。 不買は直接的に「経済制裁」に結びつけつ運
>動の始まりと思いますね。

 お説のとおりだと思います。市民(国民?)自ら始めなけれ
ば国家は動きませんからね。


経済制裁 (朝民研掲示板)
投稿者:川島高峰  投稿日: 9月29日(月)21時29分

 こんにちは、kazhikさん。

 今、一本、論稿をあげたところです。「大学・社会人・地域の
三者連携による里山と都会の情報コミュニケーション」というものです!
...この掲示板と関係ないですね。

 このところ、寝てないので、ちょっと、頭がファジーですが、

> 救う会の経済制裁論にどう対応すべきか、

 ですが、学問的な議論として、 経済制裁の効果 というのは、
計測しがたいものです。国際関係で言えば、世界中の国が一致団
結して、ある特定の国を経済制裁する、というような状況でもな
い限り、通常、経済制裁だけで、体制を倒壊させることは困難で
す。しかし、それにより崩壊が加速することはあります。

 制裁による縮小経済は、一般に独裁の強化につながります。
限られたパイを配分するのが政治ですから、パイが減れば、配分
の権限を持つものの権力は、反比例して増大するわけです。

 制裁は、効力の有無、というよりは一つの意志表明の手段です。
 効力は、歴史的に見て、有るともいえるし、無いとも言えます。

 昔、よくたとえ話で使いましたが、戦国の城攻めですら、場合
によっては、何年も包囲されながら持ちこたえたわけですから、
国家を、城攻めみたいにして、それで攻め落とせるなどと考える
のは、相当に幼稚です。そもそも、北朝鮮は、かなり長期にわた
り、経済制裁を受けているわけですから。

 一つ、確実にいえるのは、日本の経済制裁は、中国の北朝鮮に
対する発言力を強化するということですね。単独でやっても効果
はないわけです。

 しかし、効果、ということを除いて、日本国の意思表明として
経済制裁は、行うべきと考えています。北朝鮮を孤立させること
になるという人もいるみたいですが、もう、十分に孤立していま
す。制裁をしても、残念ながら拉致問題の解決にさして進展はな
いでしょう。制裁を理由に相手は態度を硬化させるでしょう。

 逆に、アメということで援助の見返りに拉致問題解決を迫れば、
今度は、なるべく高く、そして長期にわたって小出しで問題解決
を売りつけるようにするでしょう。

 いずれにせよ、拉致はさしたる解決はしません。
 これが人質政策の卑劣な効用というわけです。
 実に許し難い人権侵害国家です。

 こうした点に配慮することなく、経済制裁は人道上、深刻な問
題を相手の国の民衆にもたらす、と考えるのは、なるほど、心を
動かされる部分がありますが、よくよく考えてみると、相手国の
民衆も、つまり、権力者の人質というわけです。

 自分の民衆の喉元にナイフをつきつけ、制裁をするとどういう
ことになるかな、と言い、相手の良心の呵責まで手玉に取る。

 本当に、金正日は、地獄に落ちろと、呪いたくなるような男で
す。効果はなくとも、意志は伝えるべきでしょう。しかし、制裁
にも様々な段階があり、やはり、一挙に全面的に制裁、というの
ではなく、部分的、段階的な実施をする方が、いいと思います。
どのみち、制裁で拉致が解決するわけではないのです。だったら、
抑止外交の一環として、部分的・段階的制裁で、相手にゆさぶり
をかけるしか、できそうなことはないでしょう。

救う会の経済制裁要求(救う会ニュースから引用) (救う会全国協議会HP)
■ 北朝鮮制裁法を早急に求める声明

 5月15日、家族会と救う会は、「対北朝鮮外交カードを考える会」に集う自民党有志議員とお会いした。同会は北朝鮮への送金停止を日本独自で行うことを可能にする外国為替法改正案を議員立法として今国会での成立をめざしている。また、北朝鮮船舶の日本入港を阻止する新法の準備もしている。私たちと行動を共にしている拉致議連も、それらの北朝鮮制裁法成立のため全力を尽くすと表明している。
 送金停止と船舶入港阻止は、これまで家族会・救う会が拉致問題解決の切り札として求め続けてきたことだ。しかし、自民党内親北朝鮮派と外務省などの反対で、法案の上程すら実現できずにいた。それどころか、平成12年には家族会・救う会が自民党前、外務省前に座り込んで抗議したにもかかわらず、北朝鮮に対する大規模なコメ支援すら行われてしまった。
 しかし、北朝鮮が「拉致は解決した」と開き直りながら核武装にひた走る中、状況は大きく変わりつつある。福田官房長官は1万人以上の国民が集まった「拉致はテロだ! 北朝鮮に拉致された日本人・家族を救出するぞ!国民大集会」の翌日、家族会・救う会に会い、「経済制裁の可能性も含めて考えている」とはっきり語った。米国政府は北朝鮮に対して、拉致はテロと明確に位置づけ、軍事行動さえも排除しない毅然たる姿勢で臨んでいる。来週には拉致問題と北朝鮮制裁が主要議題である小泉・ブッシュ会談が開かれる。
 いまこそ、国会は北朝鮮制裁のための法整備を急ぐときだ。明日(5月16日)、自民党は外交、財務金融、経済産業の合同部会を開き、「対北朝鮮外交カードを考える会」が提出した外国為替法改正案の了承をとるという。家族会・救う会は同改正案を早急に成立させることは拉致問題解決に欠かせないと考え、自民党の動き、またそれ以外の与野党の動きを注視している。私たちがまた、座り込みをするような事態にならないよう、国民の代表である国会が拉致問題解決のために北朝鮮制裁法を早急に成立させることをここに強く求める。

平成15年5月 15日

北朝鮮による拉致被害者家族連絡会代表 横田 滋
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会会長 佐藤勝巳

(救う会ニュース5/15日付より)
http://www.eshirase.net/bn/200305/03-05-15.htm
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■「救う会」福岡が「経済制裁」を要求しデモ
  集合=8月3日(日)午後1時 天神の警固(けご)公園  

われわれは、日本政府に対しくりかえし要求する。
 
1.拉致というテロ行為・主権侵害・日本国民の人権侵害。  
2.日本に対して深刻な安全保障上の脅威となっている核開発・保有・拡散。
3.悪化する国内治安の重要な一因である麻薬・覚醒剤密輸。
 
これらの理由から、直ちに対北朝鮮制裁法案を策定し、
 
1.北朝鮮全船舶の入港禁止  
2.北朝鮮への送金停止  
3・在日朝鮮人北朝鮮訪問者の再入国禁止  
4.朝鮮総連関係施設への課税  
5、朝鮮総連などからの政治献金の実態解明を含む北朝鮮マネーの流れの解明 6.北朝鮮との輸出入、仲介貿易、北朝鮮企業への投資、貸付等の全面禁止。  北朝鮮資産の凍結。
 
などを直ちに断行すべきである。   
われわれは、これらの措置を強く求めて、8月3日(日)福岡市中心部天神地区 でデモを敢行する。  
心ある全ての国民の結集をあわせて訴えるものである。  以上  

北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会 代表  青木英実

(救う会ニュース7/16日付より)
http://www.sukuukai.jp/houkoku/log/200307/20030716.htm  

北朝鮮「経済制裁」試論 (拙掲示板)
投稿者:社会主義者(管理人)  投稿日:10月11日(土)01時42分48秒
 私の経済制裁に対する是非は保留です。拙HP所収の「経済制裁」特集ページも、北朝鮮の拉致・核・人権問題について経済制裁も含め金正日政権にどのようなアプローチをするのが効果的かを、自分なりに検討する目的で編集しました。

 以下に書く事は、北朝鮮「経済制裁」についての私の現時点での雑感・コメントです。あくまで試論・仮説であり、論理的に体系だった論ではありません。

 第一の点は経済制裁の内容についてです。北朝鮮「経済制裁」の要求項目として「万景峰号入港阻止」「北への送金停止」等が言われてますが、私は先ず第一歩として日本政府が「北の我儘、特別扱いを許さない」というスタンスを貫く事自身が、北にとっては既に制裁と同様の意味があるのではないかと思っています。

 中朝関係と対比して考えます。中国も、表向きの伝統的友好関係とは裏腹に、北朝鮮の我儘にはホトホト手を焼かされてきた部分があるのではないかと思っています。中国は北朝鮮に対して、北朝鮮があまり跳ね返った行動をとると重油の供給を停止したりしてその手をピシャリと叩き、北に詫びを入れさせます。友好国だからといって容赦はしません。それに対して日本が同様の行動をとると、北朝鮮は戦前の植民地支配や強制連行・従軍慰安婦の問題まで持ち出してきて自国を正当化します。要するに、北朝鮮は対米追従だけで自主性の無い日本外交の足元を彼らなりに見透かしているのです。私は過去の日本帝国主義の朝鮮植民地支配・中国侵略を肯定する立場には立ちませんが、日本政府はこのような北朝鮮側の「問題のすり替え」に対しては毅然と「筋を通すべきところはちゃんと通せ」というのが持論です。北朝鮮は対外貿易についても、かつて債務不履行に陥り一方的にモラトリアムを宣言した事があると聞いた事があります。このような国家に対しては、「きちんと輸入品の代金を払え、貿易決済を履行しろ」と要求していく事自体がひとつの経済制裁になるのではないかと思います。こういう観点で、麻薬取引や偽札製造といった北朝鮮の違法行為に対しては何ら躊躇せず断固たる処置をとるべきだと思います。

 第二の点は情勢論で、米国ブッシュ政権の「悪の枢軸」論との兼ね合いです。私はハッキリ言って、自分の思い通りにならない国を一方的・恣意的に「ならず者国家」と認定し先制攻撃をも公言するような、ブッシュ大統領の一国覇権主義には反対の立場です。北朝鮮「経済制裁」についても基本は『米国のキューバ制裁やアフガン・イラク攻撃のような道理の無い単独制裁ではなく、日米以外に韓中ロや国連も含めた拉致・核・人権査察によって金正日の手を縛るべき』というのが私の持論です。しかし、北朝鮮の人権問題解決・金正日ジェノサイド体制停止のためには、最終局面では「ブッシュがつけ上がらない程度に、ブッシュをも利用する」という事も必要かもしれない、とも思います。例えば、過去フセイン政権の弾圧を受け今も米英軍の占領に反対しているイラク共産党が、フセイン以後の情勢の中でイラク統治評議会に参加し、たとえ占領軍の支配下にあってもイラク民主化にむけて影響力を行使しようとしているように。

 これはあくまでも「ブッシュがつけ上がらない程度に」です。どこまでも対米追従の、今の小泉自民党(安倍幹事長・石破防衛庁長官)や拉致議連をヨイショする気は全然ありません。彼らは今は北朝鮮問題で世論を引き付けておいて、総選挙までの間にもあると言われている「北朝鮮に残された拉致被害者の子供の帰国」で幕引きをはかり、あとは北朝鮮問題を日本の全般的右傾化に出来る限り利用して自衛隊海外派兵・有事・改憲・労働法制や市民権諸法制の改悪(産業報国体制構築)・増税への地ならしに突き進んでいくだろうと思っています。

 また「つけ上がらない程度」の許容範囲をどこまでに限定するか、という問題もあります。少なくともDU(劣化ウラン弾)・クラスター爆弾の使用には反対です。無論「核戦争も辞さず」の主張等は論外です。

 第三の点は大政翼賛型でなく市民運動としての視点の重要性です。前述した様に、政府・自民党は北朝鮮問題を裏で「落とし所」に落とし、あとは総選挙で徹底的に政治的に利用するだけ利用するという戦術をとるでしょう。米国の思惑も、本音は拉致問題の解決よりもあくまで自国の安全保障にあるでしょう。政府を盲目的に翼賛するのではなく監視し動かす事、その時々の政治家の思惑に囚われずに北朝鮮の民主化要求する市民運動として個人一人一人がこの運動に関わっていく事が、重要だと思います。(RENK・「帰国者の生命と人権を守る会」等の活動や、38度線からラジオ付き風船を飛ばそうと目論んだフォラツェン医師の様に)

 以上、あくまで試論です。整合性のある論ではありません。この点はお含み戴いた上で、意見があればどうぞ。

「朝貨排斥」対北朝鮮経済制裁への見解 (朝民研掲示板)
投稿者:原 良一  投稿日: 10月23日(木)10時45分
 北朝鮮への経済制裁の是非については、私もいろいろ考えています。
特に9/29付No.251の川島高峰様の投稿に触発されて執筆を始めていますが、
生来の遅筆に加え、冗長になる悪いクセが出てしまっていて、当分脱稿の目途が立ちません。
 そこで、まず主張の要旨だけ挙げておきます。

1.日本は抗議の意志表示として、北朝鮮に経済制裁をすべきである。
2.日本単独であっても、経済制裁はそれなりに有効である。
3.日本側の入超という日朝貿易の現状から考えて、大げさに経済制裁を唱えなくても、
. 不買運動を呼びかける「朝貨排斥」だけで、北朝鮮に相応の打撃を与え得る。
4.経済制裁を行う場合、一般市民への打撃が大きい通商の禁止のような全面的、無差別的な手法ではなく、朝貨排斥や、薬物や武器の密輸の取締り、不正送金の追及、総聯直営のパチンコ店へのボイコットなど選択的、限定的な規制に絞るべきである。
5.インセンティブを与えて北朝鮮の不法行為を止めさせる手法の無効性は立証済みであり、厳しいペナルティーを課して圧力をかける以外に方法はない。

 以下は、10月21日追記
6.たとえ六者協議などで、国家権力同士の勝手な談合で北朝鮮に「体制保証」を与えたとしても、不買運動など市民運動レベルでの対北朝鮮制裁を呼びかけ続ける必要がある。


  経済制裁の具体的事例

イラク経済制裁
  • イラクは湾岸戦争を機に、国連から経済制裁を課せられている。(1990年、国連安保理決議661)
  • 戦争と制裁によってイラク経済が疲弊し、食料・医薬品不足が顕著になった為、1991年以降食糧輸入のための石油輸出を認める「食糧・石油交換」計画(oil for food)に基づき制裁の一部緩和が進んでいる。
  • 参考資料

キューバ経済制裁
  • キューバは1959年革命を契機に'61年の対米断交以降、アメリカによる厳しい経済封鎖の下にある。'96年以降新たな制裁立法(ヘルムズ・バートン法)で制裁が強化されたが、2001年以降は米国から食料輸入が一部開始された。
  • キューバの場合は米国一国による制裁が行われており、国際社会(EU、カナダ、日本、ラテンアメリカ諸国等)は米国のキューバ制裁には批判的である。
  • キューバはソ連・東欧社会主義圏の崩壊と経済封鎖によって経済崩壊の危機に瀕したが、現在それを乗り切るためにユニークな経済政策を展開している。(観光業・有機農業の振興等)
  • 参考資料

南アフリカ経済制裁
  • 南アは悪名高いアパルトヘイト(人種隔離)政策の為に、1960年シャープビル虐殺事件以降、国連から経済制裁を課せられてきた。
  • EU諸国は厳しい経済制裁を課してきたが、日本は高度経済成長にとって必要な南アの希少金属(クロム・マンガン等)を確保する為に南ア貿易を続けてきた。('61年日本人「名誉白人」認定、'71年政府の南ア直接投資禁止措置も実効を伴わず、'78年には対南ア貿易額世界一に)
  • 1991年アパルトヘイト廃止、1994年全人種選挙によるネルソン・マンデラ政権誕生により、国連の南ア経済制裁は終了した。
  • 参考資料

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