アフガン・イラク・北朝鮮と日本
ブッシュ・小泉のネオコン政治に、NO!


徒然自由通信2 
反改憲・反リストラの第三極形成に向けて
  11 戦時下の弾圧が始まった。
  --イラク派兵・有事改憲の動きと一体となった言論封殺を断固糾弾する。
                                        (2004年3月6日)


■立川テント村弾圧事件

【抗議声明】
イラク反戦行動への不当弾圧を糾弾する    
―私たちは、自衛官に派兵反対のよびかけを続ける

 2月27日早朝、私たち立川自衛隊監視テント村は「イラク反戦」を理由に全面的な弾圧を受けた。逮捕者3名、事務所・個人住宅の家宅捜索6ヵ所。これは小さな反戦市民団体としては大きな打撃である。令状には、1月17日に自衛隊官舎に反戦ビラを配ったことが住居侵入にあたる、とあった。団地のポストにチラシ広告を投函する全ての行為がこの弾圧の対象になりうる。
 かつてオウム真理教信者によるポスティングが同様の弾圧を受けたことがあるが、日本という国が、民衆の反対の声を封殺し、派兵国家としてその暴力性をあらわにしたのである。

 問題の1月17日、私たちが自衛隊官舎に配ったビラは
「自衛官・ご家族の皆さんへ 自衛隊のイラク派兵反対!いっしょに考え、反対の声をあげよう!」
と題するものである。大義なきイラク戦争、そしてこの泥沼化の中で、「計算機を片手に命令を下す者はいつでも安全で、命令を下されるものや、さらにその標的になるものは、いつでも身の危険におびえ、激しいストレスにさらされ、時には金で横っ面をたたかれる」と、自衛隊派兵の背景を批判している。そして自衛官とその家族に「自分で考え、一緒に声をあげよう!」とよびかけている。
 派遣隊員たちは「仕事だから」「国のためになるなら」「上官の命令だから」・・・と自分の気持ちを整理するのに必死だ。そして「この戦争は正しいのだろうか?」「イラクの人を殺してしまったら、トラウマに一生苦しむのではないか」・・・と悩んでもいる。

 かつて日本はすべての反対の声を抹殺し、子どもたちを皇国の神話で染め上げ、破滅的な侵略戦争へと突き進んでいった。
 自衛官が自分がどう行動するべきか悩むことのできる社会こそ健全な社会である。私たちが派兵反対の声をあげ、自衛官たちと議論できる社会こそ、誤った政策からの復元力を持つ社会である。人権も言論の自由もない「銃後」の社会づくりを私たちは拒否する。
 政府は、憲法も国際法も無視した派兵を詭弁によって糊塗し、既成事実を積み上げて、「イラクに行った自衛隊を応援するしかない」と世論を誘導する。イラク反戦運動が直面しているのは、こうした巨大な権力なのである。私たちは、詭弁を論破し、歴史と現状から既成事実の誤りを一つ一つ訂正する闘いを続ける必要がある。そのとき大切なのは、言葉の力であり、言論の自由であり、自衛官とその家族との対話の回路である。
 私たちテント村は、権力の予防弾圧をはねのけて逮捕された仲間をとりもどし、全国・全世界の人々とともにイラク反戦を闘いぬきたいと思う。私たちは自衛隊員とその家族へのよびかけを決して止めはしない。
 抗議と奪還の闘いへの結集とともに、広範な救援カンパへの協力をお願いする次第である。

2004年2月28日  立川自衛隊監視テント村
立川市富士見町2-12-10-504 
電話/FAX 042-525-9036/524-9863
カンパ送り先 郵便振替番号00190−2−560928「立川自衛隊監視テント村」
Eメール tachikawa227q@yahoo.co.jp
(旧テント村のメールアドレスにはメールを送らないで下さい。パソコンが押収されていますので、送ったメールが警察に読まれる可能性があります)

 ※詳細・経過については、立川テント村HP参照。
   http://www4.ocn.ne.jp/~tentmura/index.htm


■赤旗号外配布弾圧事件

【抗議談話】
「国家公務員法違反」容疑での不当逮捕に厳しく抗議し、
適切な対処を求める。
(2004年3月3日) 
             日本共産党書記局長  市田 忠義


 日本共産党の市田忠義書記局長は3日、国会内で記者会見し、「国家公務員法違反」容疑での不当逮捕に対して、次のようにきびしく抗議し、政府に適切な対処を求めました。柳沢明夫法対部長が同席しました。

 本日、警視庁月島警察署は、社会保険庁目黒社会保険事務所に勤務する堀越明男氏を昨年10月19日、25日、11月3日の日曜・休日に、堀越氏が居住する地域で、「しんぶん赤旗」号外などを配布したことを理由に「国家公務員法違反」容疑で不当に逮捕し、日本共産党千代田地区委員会などを捜索し党のパソコン等を押収した。この逮捕、捜索・押収はきわめて不当なものであり、きびしく抗議する。

 もともと国家公務員法(国公法)が、国家公務員の政治活動を「政治的行為」の名のもとに広範に禁止していることは、憲法に保障されている国民の思想・信条の自由や結社の自由を不当に制限するものである。わが党はこうした国公法の違憲性をきびしく批判してきた。

 同時に、その国公法でも、公務員が、その居住する地域で、日曜・休日にビラ配布などをすることについて取り締まることは、とうてい許されないことである。現に、人事院当局は、そうしたビラ配布などについて、「違反」扱いをしてこなかったのである。

 今回の国公法違反を理由にした警視庁の不当な逮捕、捜索に対し、わが党はきびしく抗議する。ただちに捜査を中止するとともに、パソコンなど押収した物を返還し、堀越氏を釈放するよう要求する。


●「しんぶん赤旗」記事(2004年3月4日付)より

ビラ配布の男性を不当逮捕 警視庁
「国家公務員法」違反口実に弾圧

警視庁公安部は3日、昨年の衆院選で日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」号外などを配布した正当な行為を「国家公務員法違反容疑」などとし、東京都中央区、社会保険庁目黒社会保険事務所係長の堀越明男さん(50)を不当逮捕、自宅や党千代田地区委員会など計6カ所を家宅捜索しました。

 すでに一連の捜査を終えた総選挙について、選挙の取り締まり担当部局ではない公安部が今になって前面に出て、国家公務員を合法活動であるビラ配布で逮捕するのは極めて異常なことです。

 公安部が発表した「被疑事実」によると、堀越さんは昨年11月の衆院選で同年10月19日から11月3日までの間、日曜日や休日に、中央区内の計百数十軒に「しんぶん赤旗」号外などを配布。これが、国家公務員法違反(政治的行為の制限)などにあたるとしています。

 かつて警視庁は、1983年5月のいっせい地方選で選挙活動用のポスターを張ったなどとして旧郵政省職員ら6人を国家公務員法違反の疑いで逮捕、書類送検しましたが、東京地検は不起訴にしています。

 ※詳細・経過については、共産党中央委員会HP参照。
   http://www.jcp.or.jp/movie/2004-03-03-ichida.html


■戦時下の弾圧が始まった。
 --イラク派兵・有事改憲の動きと一体となった言論封殺を断固糾弾する。


 「立川テント村」弾圧事件について。
 社宅・官舎・マンション等の集合住宅では管理人が美観・環境保持や居住者のプライバシー保持を盾に部外者の立入りを制限・禁止している所は多い。昨今の違法ピンクチラシ・営業用DMの氾濫やピッキング犯罪の横行を考えると、管理人のこの対応も無理からぬ部分はある。しかし、それはあくまでも営業用チラシに限っていえる事である。
 自衛隊派兵反対のビラ配布は、これは正当・適法な政治活動である。違法ピンクチラシや営業用チラシと同列には論じられない。強引な勧誘等で居住者とトラブルになったというならまだしも、そうでない限り社宅・官舎・マンションの別に関係なく政治活動の自由は保障されるべきだ。居住者が個人的にビラの受取を拒絶するのも日常よくある事だが、次からそこだけビラを入れなければそれで済む話。個人であれ公権力であれ、正当な政治活動自体を規制する事は出来ない筈。こんな事、今さら言うまでも無い事である。

 「赤旗」号外配布に対する政治弾圧の件も論外。
 労働者が休日に政治活動しようが何しようが個人の自由である。「公務員は業務外での政治活動も一切まかりならぬ」では、まるでスハルト時代のインドネシア並みと言うほか無い。今回弾圧の根拠となった国家公務員法102条も、このような「まかりならぬ」式のあまりにもトンデモな規定である為に、今まで実際に適用される事は殆ど無かった。また今回の末端公務員の休日活動に対する弾圧の一方で、与党候補による職場での職階を利用した高級官僚・官庁ぐるみ選挙や石原「憲法軽視」政治的発言などはいつもウヤムヤにされてきた。
 しかも実際の赤旗号外配布よりも数ヶ月後になって、いきなりの逮捕である。まるで、かつての松川・三鷹事件を彷彿とさせる様な「狙い撃ち」である。
 私も過去知人に頼まれて「赤旗」号外なども蒔いた事があるので、とてもこの件も人ごとには思えない。


  12 
 「依らしむべし、知らしむべからず」、「日本型ファシズム」の跳梁跋扈
 --都教委「日の丸・君が代」大量処分、警察裏金隠し、年金法案強行採決--
                                        (2004年6月5日)

 「依らしむべし、知らしめるべからず」の風潮が蔓延する中で、「日本型ファシズム」が我が世の春を謳歌し跳梁跋扈する。


(1)都教委「日の丸・君が代」大量処分

 石原都政の下で、東京都教育委員会が卒業式で君が代斉唱の時に起立しなかった教職員の大量処分を行なった。その数約200名。今年4月には40名近い教職員に対する「事情聴取」が強行された。しかも、「日の丸」掲揚・「君が代」斉唱時に生徒が起立しなかったら来賓の都職員がその数を数え、当該の担任教師や校長が連帯責任を取らされている。公立学校の中には民主的学校運営の下で卒業生・在校生によって創意工夫を凝らした「卒業生を送る会」に取り組んできた学校もあったが、そこでも今までの取組みは廃止され「日の丸・君が代」の官製卒業式に変更された。確か、国家国旗法の制定をめぐる当時の国会答弁では「政府としては、法制化に伴い、国民に対し国旗の掲揚、国歌の斉唱等に関し義務づけることは考えておらず、法制化により思想、良心の自由との関係で問題が生じることにはならない」(小渕恵三首相、1999年7月28日参院本会議)と明言していた筈だ。

●参考資料

・日の丸・君が代強制 広がる波紋(東京新聞)
 http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20040505/mng_____tokuho__000.shtml
・東京都教育委員会の「日の丸・君が代」強制について
 (国立の教育を守る市民連絡会)
 http://tokyo.cool.ne.jp/kunitachi/kyouiku/taisaku.htm
  

(2)警察裏金隠し

 捜査報償費疑惑などの警察の不正経理問題が各地で明るみになっている中で、またもや大量の会計文書が保存期限内にも関わらず大量に廃棄・紛失された。いずれも「過失であり、故意になったものではない」との釈明がされているが、どこまで信用できるものか。上部からの文書保存指示は、現場では「やばい文書だから廃棄しろ」と読み替えているとの指摘もされている。

●参考資料
 
・保存期間内の会計文書、全国の警察312部署で誤廃棄(読売新聞)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040603-00000013-yom-soci
・警察不正支出問題(全国市民オンブスマン連絡会議)
 http://www.ombudsman.jp/police/


(3)年金法案強行採決

 先日6月3日に年金法案が参院で強行採決された。この年金法案の内容と強行採決に至るまでの全経過を通しても、与党・体制側の「事実隠蔽」「論点すり替え」「言論封殺」が随所で発揮され、数の力で法案採決を押し切った後は後付の理屈で露骨な世論誘導と恫喝を行なっている。曰く、

1.<徹底した審議回避>
 中央公聴会すら未開催。「マクロ経済スライド」などの法案の問題点が、
 おぼろげながらも明らかになってきたのは参院送付後。
2.<徹底した疑惑隠し>
 当該法案審議にまつわる諸々の疑惑(年金未納、厚生年金不正受給など)が、
 これだけ明らかになってきているにも関わらず、数の力で強行採決。
3.<徹底した争点隠し>
 与党・御用マスゴミは、事ある毎に
 抽象的な「少子高齢化・年金財政破綻」宣伝で反対運動を恫喝しているが、
 財政破綻に対する具体的な原因追求には蓋。
 国庫負担1/2への引上げ措置の引延し、膨大な積立金の使途・運用失敗等の
 責任追及には頬かむり。
4.<徹底した言論封殺>
 年金にまつわる数々の疑惑や、欠陥だらけの法案である事が明らかになるのを
 避ける為に、参院厚労委でのいきなりの緊急動議で審議打切り・強行採決。
5.<徹底した論点すり替え>
 それまでの「年金未納追求は枝葉末節」攻撃や、
 今回の強行採決を参院委員会での強行採決後に
 本会議で野党がとったあれこれの抵抗戦術の是非論へのすり替えで、
 与党側がとった行為の犯罪性を免罪・相対化。

●参考資料

・いま、日本の年金制度の状況は(全日本年金者組合)
 http://www2.odn.ne.jp/~aae41550/nihonno-nennkinseido.htm
・年金受給開始20年後、現役賃金の40%に(読売新聞)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040603-00000012-yom-pol
・憲政史上、前例無き混乱 副議長抜き打ち散会宣言(産経新聞)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040605-00000027-san-pol
・年金改悪強行の自公 “追及怖い”質問奪う(しんぶん赤旗)
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-06-05/03_01.html
・ヤフー・ニューストピックス 年金問題
 http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/annuity/


 上記の「警察不正会計・証拠隠滅疑惑」「石原都政の教育ファシズム」「年金改悪・法案強行採決」は、先の「イラク人質・家族会バッシング」とも併せて考えれば、与党・財界・御用マスゴミ主導による「依らしむべし、知らしめるべからず」の風潮が新たな段階に入り、「日本型ファシズム」がいよいよ「跳梁跋扈」してきた事を、つくづく実感する。

  13 国連安保理の新イラク決議の採択について
                             (2004年6月11日)

【新イラク決議--うわべの結束、玉虫色の内容】

 6月8日、国連安保理決議1546(新イラク決議)が採択されました(以下、別記「新イラク決議の要旨」参照)。この新イラク決議については、次の2つの側面があるでしょう。

(1)米英占領軍、とりわけ今年秋の大統領選挙やこの決議採択に前後して開催されるシーアイランド・サミットを前に得点を稼いでおきたい米国が、仏独などの非派兵諸国や国際反戦世論の前に、一定妥協を余儀なくされたものである。それが、別記「新イラク決議の要旨」の次の諸項目である。

・イラク軍は担当大臣の責任下にあり、イラク政府はイラク軍が多国籍軍の作戦に参加するかどうかについて権限を有する。政府と多国籍軍が微妙な軍事作戦への政策を含む基本的な治安、政策問題で十分な合意に達するよう話し合いの場を設ける。(第10項)
・多国籍軍の駐留は、イラク政府の要求があった場合か、決議から12カ月で見直し、任務は新政府樹立の政治プロセスが終了した場合は失効。それ以前でもイラク政府から要求があれば完了する。(第11項)

(2)引き続き占領の固定化を狙ったものである。これは、同上の別記「新イラク決議の要旨」の次の諸項目で条文化されている。

・イラク暫定政府首相が安保理議長にあてた6月5日書簡で多国籍軍(注:今までの連合軍=占領軍の事)の駐留継続を求めていることを認識する。(第5項)
・更に、この決議要旨文では表示されていませんが、決議原文には「多国籍軍は、イラクにおける安全・安定維持に役立つあらゆる必要な措置をとる権限を持つ」「(経済面でも)イラク開発基金を監督する国際諮問監視理事会(要するに米英側の監視機構)は活動を継続する」と書かれています。

 シーアイランド・サミットを前に「うわべの結束」を求めた為に、上記二点が並存した玉虫色の決議になってしまいました。例えば、「イラク暫定政府」と「多国籍軍」との関係や、両者の「話し合いの場」で調整可能な範囲、話し合いがつかなかった場合の対応はどうなるのか等、曖昧な部分が多々あります。
 これが真に国連主導・主権移譲に結びつくものにする事が出来るか否かは、今後のイラク・アラブ人民の運動や国際世論の力にかかっているでしょう。だから、新イラク決議が採択以後も、仏独やスペインなどの非派兵・派兵撤退国は引き続き派兵拒否の姿勢を崩していません。なし崩し的に自衛隊駐留継続を表明した小泉政府の対応は突出しています。
【「おためごかし」の拡大中東構想】

 シーアイランド・サミットで米国は早速、国連新イラク決議の採択を持ち上げ、「米国の大義の勝利」なるものを表明しました。そして、25万人の若年層起業家支援などを盛り込んだサミット政治宣言「拡大中東・北アフリカ地域とのパートナーシップ」(拡大中東構想)を発表しました。小泉は、これに対しても日本独自の支援策として、最大1000万ドルを拠出するほか、今後3年間で10万人の識字教育、1万人の職業訓練を行うことを表明しました。これらはすべて我々の税金から拠出されます。
 この拡大中東構想、イスラエル・パレスチナ紛争にも一応言及しているが、肝心のイスラエルによる国家テロ・違法入植地や分離壁の建設には一切頬かむりしており、その為、エジプト・サウジなどのアラブの親米主要国からも無視されている代物です。ブッシュ・小泉よ、まずオスロ合意をイスラエルに遵守させる事の方が先だろう。


【日本が米軍の中東・世界への出撃拠点に】

 現在、米軍は部隊再編成を地球規模で進めています。米国本土の米陸軍第1軍団司令部が座間(神奈川県)に、ハワイの米海軍太平洋艦隊哨戒・偵察部隊が三沢(青森県)に移転します(6月11日付「日刊ゲンダイ」)。沖縄の海兵隊がイラク戦争に派遣されているのはもはや衆知の事実です。在韓米軍の削減も普天間基地(沖縄県)の県内移設・リニューアルも、要は「日韓に分散していたアジアの軍事拠点の日本への一極集中」が狙いです。有事法制の次はいよいよ9条改憲・集団的自衛権の認知、教育基本法の改悪も俎上に上っています(石原都政下の教育ファシズムはその先取り)。そして「物言わぬ国民作り」と併行して税制改悪や労働法制の改悪、社会保障制度への攻撃が行なわれ、新自由主義政策による生活破壊が進行しています。
 日本政府が本気で北朝鮮・拉致問題の解決する気が無いのも明らかです。政府は「困ったときの北朝鮮頼み」で、この問題を排外主義扇動と自身の政権支持基盤固めに適度に利用しつつ、あくまでも日米軍事同盟下での「副官ポチ」に特化する中で「東アジア市場経済」と「グローバル資本主義」から実利を得ようとしています。その道は、「平和・人権・民主・生活向上のアジア」「リストラも戦争も拉致もゴメンだ」という我々の人間としての要求とも、ますます全面的に衝突していく事になるでしょう。新イラク決議の「イチジクの葉」から「真の主権移譲を実現するためのワンステップ」への転化をめざすイラク人民の民族自決権擁護の闘いは、我々の生活権擁護・平和と民主主義を求める闘いとも相互に連携しています。
 《資料編》 
新イラク決議(国連安保理決議1546)の要旨
 (注:各項目の通し番号は投稿者が編集)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/heiwa/news/20040609dde007030021000c.html

1、安保理はイラク暫定政府の発足と選挙による政府への移行を歓迎する。また、占領の終結、6月30日期限での独立した暫定政府への完全な主権移譲を望む。

2、イラク国民は自由に自らの政治的未来を決定し、自らの天然資源を管理する権限があることを再確認する。

3、イラク国民が自らの努力で安全と繁栄を手にするため、国際的な支援、特に近隣国の支援の重要性を認める。

4、安定と治安回復のための国際支援は、イラク国民の幸せのため、さらにイラク国民のために働くすべての人々の能力のために不可欠と認識する。このため国連加盟国が貢献することを歓迎する。

5、イラク暫定政府首相が安保理議長にあてた6月5日書簡で多国籍軍(注:今までの連合軍=占領軍の事)の駐留継続を求めていることを認識する。

6、国連憲章第7章の下に以下の行動をする。6月1日に発足した暫定政府が、6月30日までにイラク統治の完全な責任と権限を持つことを保証する。

7、6月30日までに占領は終結し、米英占領当局(CPA)は消滅する。

8、民主的政府への政権移行のタイムテーブルは次の通りとする。

 ・イラク社会の多様性を反映した国民会議を招集する。
 ・可能なら12月31日までに、いかなる場合も05年1月31日までに
  直接的な民主選挙で移行国民議会を選ぶ。
  移行国民議会は特に移行政府形成と恒久憲法の草案作成に責任を持ち、
  05年12月31日までに憲法に基づく選挙で選ばれる新政府の発足に責任を持つ。

9、情勢の許す限り、権限移譲にあたりイラク国民と政府を支援するため、国連事務総長特別代表と国連イラク支援団(UNAMI)は政府の要求に応じて、以下の諸点について主要な役割を果たす。

 (1)7月中に国民会議を招集し、諮問評議会を人選する。
 (2)選挙を実施するための助言と支援。
 (3)イラク国民による憲法草案の作成についての国民的対話と合意作りの促進。

10、イラク軍は担当大臣の責任下にあり、イラク政府はイラク軍が多国籍軍の作戦に参加するかどうかについて権限を有する。政府と多国籍軍が微妙な軍事作戦への政策を含む基本的な治安、政策問題で十分な合意に達するよう話し合いの場を設ける。

11、多国籍軍の駐留は、イラク政府の要求があった場合か、決議から12カ月で見直し、任務は新政府樹立の政治プロセスが終了した場合は失効。それ以前でもイラク政府から要求があれば完了する。


「日刊ゲンダイ」6月9日付のウェブ未公開記事より

 何とそこでは、ジェンキンス氏の恩赦と引換えに自衛隊の参戦を考えているようです。
 それとこれとは別問題だろうが。ジェンキンス氏の恩赦は国民誰もが望む所だが、何故それと引換えに、自衛隊が、米国覇権の露払いの為に、今までの「金食い」「アリバイ的」給水活動だけに止まらず多国籍軍に参加してまで、アラブの民に憎まれに行かなければならないのか?国民の血税を使って。


新イラク決議の内容(覚書、一部編集済)
 http://www2.asahi.com/special/iraqrecovery/

 ▼イラクの政権移譲の流れ
  04年 5〜6月    暫定政府の人選決定
     6月30日   政権移譲、暫定政府発足
     7月中    国民会議開催
  05年 1月末まで  国会選挙、移行政府発足
     12月15日まで 新憲法に基づく総選挙
     12月末まで  正式な政権の樹立

 ▼新体制の構想
  暫定政府  ・行政権掌握
        ・石油資源や開発基金の管理を行なう
        ・新イラク軍(3万5千人規模)を指揮
  国連    ・国民議会と暫定政府への助言と支援
        ・新憲法作りの国内対話を促進
  多国籍軍  ・米軍(13万8千人)が指揮、治安維持の全権掌握
        ・国連要員の警護部隊を創設 

  14 反改憲・反リストラの第三極形成に向けて
                                   (2004年7月27日)

第三極の形成に向けて1--基礎データ
 
投稿者:社会主義者NK  投稿日: 7月14日(水)00時45分33秒
主要政党の衆参比例区得票(数・率)推移
(括弧内は得票率、得票数は万単位)
   '98参院選 '00衆院選 '01参院選 '03衆院選 '04参院選
    橋本内閣  森内閣   小泉内閣  小泉内閣  小泉内閣
          (自公連立)
自民党 1412(25.2) 1694(28.3) 2111(38.6) 2066(35.0) 1679(30.0)
民主党 1221(21.8) 1506(25.2) 899(16.4) 2209(37.4) 2113(37.8)
公明党 774(13.8) 776(13.0) 818(15.0) 873(14.8) 862(15.4)
共産党 819(14.6) 671(11.2) 432( 7.9) 458( 7.8) 436( 7.8)
社民党 437( 7.8) 560( 9.4) 362( 6.6) 302( 5.1) 299( 5.3)
自由党 520( 9.3) 658(11.0) 422( 7.7) 民主に合流

第三極の形成に向けて2--基礎データから言える事 
投稿者:社会主義者NK  投稿日: 7月14日(水)00時42分5秒
(1)自民党は自公連立と小泉人気に支えられて一時的に回復したが、保守基盤の崩壊はそれを以ってしても食い止められないところまで来ている。自民党は公明党の政権参加で得票率は4割弱まで回復したが、今回は3割ギリギリまで後退した。自民単独では40議席確保できたかどうかもあやしい。今回参院選での1人区の敗北は、橋本内閣退陣の引き金になった'98年参院選惨敗の規模を上回る。

(2)民主党は'96年旧社会党解党の受け皿として二大政党の一極として出発し、'03年の自由党合流で完全にその基盤を作り上げた。遅かれ早かれ自公連立政権は崩壊する。その後にはそれに変わる受け皿として、民主党による連立政権の時代が続くであろう。最悪、改憲・教育基本法改悪にむけての自民・民主大連立というケースもあり得る。しかしやがては、「第二自民党」「新自由主義保守」「保守転向組の選挙互助会」としての民主党の本質は、生活向上・生活権擁護を求める国民各層の利害とは全面的に衝突していく事になるだろう。

(3)公明党は政権参加によって二大政党制下での生き残りを模索している。現在までの所、この戦略は一応功を奏しているように見える。公明党は常に800万票前後の陣地を維持している。しかし長期的に見れば、公明党の新自由主義加担路線はやがて行き詰まる。何故なら、それは自身の政権基盤でもある一般勤労所階層の生活を破綻に追い込む道であり、今まで曲がりなりにも掲げてきた「福祉の党」「平和の党」の欺瞞を今まで以上に白日の下にさらけ出す事になるからである。

(4)社共両党は、二大政党制化の流れの中で、陣地の1/3を民主党に奪われた(両党併せて1200万票から700万票余に減少)。現代のところ、両党は700万票で一旦下げ止まりした後、社民党は引き続き漸減傾向を示すのに対して共産党は一見下げ止まったかのようにも見える。しかしどちらにしろ、このままでは、もともと相対的に必ずしも多いとは言えない数百万の票を弱小2党で食い合ったまま、早晩自公と民主に飲み込まれてしまう事であろう。

(5)自公と民主の二(又は2.5)大政党の目指す方向は、いずれも改憲・有事法制・海外派兵と弱肉強食の新自由主義的搾取の道でしかない。それを阻止するには今の社共ではあまりにも力不足である。こと此処に至っては、前述の新自由主義路線を食い止めるための「9条改憲・リストラ政治阻止」の一点で、民主党左派も含めての「政党連合」しかあり得ないのではないか。
 今回の民主党参院候補の中で、9条改憲反対を明言しているのは下記の候補者である。先日の参院選での得票数も併記しておく。http://www.geocities.jp/rojinto_goken/special_news

比例区
 那谷屋正義(教組出身) 202,590 当選
 高嶋良充(自治労出身) 167,818 当選
 円より子(9条擁護派) 130,238 当選
 松岡徹(解放同盟出身) 114,304 当選
 信田邦雄(反原発運動)  82,072 落選
 
 尚、喜納昌吉については、9条改憲への賛否が曖昧だったので「9条改憲・リストラ政治阻止」候補の中には入れていない。上記の他に、「みどりの会議」比例票903,776票+社共比例票を足すと900万票を超え、公明党票を上回る。

選挙区
 北海道 峰崎直樹(現職) 618,277 当選
 神奈川 千葉景子(現職) 843,759 当選
 新潟  近藤正道(新人) 428,117 当選
  (弁護士出身、社民と選挙協力)
 山梨  興石 東(現職) 231,631 当選
  (教組出身、教基法改悪反対派)
 静岡  海野 徹(現職) 361,938 落選
  (但し共産党選挙区票132,972を足せば1位当選)
 奈良  前川清成(新人) 311,990 当選
  (イラク派兵反対派)

 この他にも、民主党ではないが、大阪の辻元清美は718,125票を獲得している。共産党・宮本岳志の442,755票を加えれば民主党を遥かに抜いてダントツ1位に躍り出る。

 これらの候補が「護憲政党連合」候補として当選しておれば、世間に与える影響も格段に違ったものになっていたであろう。勿論、これはあくまでも得票数の単なる積み上げである。「政党連合」実現の可能性はここでは置いておく。また政策についても、とりあえず「9条改憲・リストラ政治阻止」の1点で一致できる可能性のある候補としてカウントしている。反原発・北朝鮮問題その他の政策の違いも一切考慮に入れていない。
 これはあくまでも、二大政党制の下でも、自公政権〜民主党政権の間、とりあえず「9条改憲・教育基本法改悪反対、消費税・年金負担増阻止」で投票された700〜900万票の地歩・発言権を確保しておく戦術として考えてみたものである。(以上、文中敬称略)

第三極の形成に向けて3--補論  
投稿者:社会主義者NK  投稿日: 7月14日(水)10時31分30秒
 二大政党制への流れの中で、「9条改憲・リストラ政治阻止」の政党連合という形で、弱肉強食の新自由主義政治に対抗していく可能性について考えて見ました。要は、1人区の沖縄で糸数慶子候補を当選させたような運動を、「政党連合」の形で全国的に展開できないものか、という試論です。「政党連合」の形をとっていますが、政界再編成(社・共・民主党の分裂・解体・再編成)で「新党」が誕生するなら、尚更それに越した事はないのです。

 その「新党」のイメージですが、共産党流の「革新統一戦線」でもなく(因ってスターリン主義の残滓とも無縁)、勿論「民主党」の様な「新自由主義保守」などでもなく、もっと幅広い、「真の」一般勤労所階層の声を代弁した、下記のような政綱を考えています。
 敢えて言えば「社会主義・社会民主主義の理念に基づく共助型社会」という事になるかもしれませんが、××主義といったイデオロギーは後付けの理論でしかない。あくまでも要求実現を最優先します。「社会民主主義」云々にしても、かつての民社党・同盟系のように、第二(御用)組合に基盤を置き「お国の為に血を流せ」「大店法撤廃・規制緩和で物価を下げろ」というような「右翼社民」「似非社民」(=大資本の利害を代弁した「新自由主義」そのもの)ならゴメンです。

・イラク派兵撤退、9条改憲・教育基本法改悪・非核3原則の見直し阻止。(自衛隊・PKOに対する評価については、ここでは保留)
・消費税・年金・社会保険負担増反対。財源を食い物にする天下り官僚どもによる利権漁り・私物化を排し、無駄な公共事業や法外な大企業減税・軍事費を削って、そちらに回せ。
・労働基準法・雇用保険法・派遣法の改悪反対、リストラ促進法(産業再生法・会社分割法など)の見直し
・アメとムチによる市町村合併の強制反対。合併論議は住民主体で行なえ。
・コメを始めとする野放図な食料輸入自由化に反対。国内農業を守り食料自給率を回復する。BSE全頭検査を維持。輸入食料品や食品添加物への規制緩和を見直し食の安全性を確立する。
・資源浪費型経済から循環型・持続型経済へ。諫早干拓・長良川河口堰の再検討・撤去。
・「ナンバーワン」だけが優遇される政治・経済でなく「ひとりひとりのオンリーワン」が生活していける政治・経済を
・日米同盟の呪縛に拘ることなく(日米安保に対する評価はここでは保留する)、アジア諸国との共生・連帯を目指す(その中で、北朝鮮の人権状況に対しても救援の手を差し伸べる)。


※上記3稿については、改行等、レイアウト補正済。

大阪の「辻元旋風」について読み解く試み
 (「さざ波通信・一般投稿欄」寄稿論文)
 
 2004/07/23 社会主義者 40代 派遣アルバイター

 参院選もとっくに終わったのに今さらの感がしないでもないですが。
 今回の参院選大阪選挙区では、辻元清美(無所属)が71万票余りを獲得して、最下位当選の北川一成(自民党)に約1万7千票の差にまで詰め寄りました。大阪では辻元票が「台風の目」といわれた所以です。

 かくいう私も、辻元清美に入れるか宮本岳志(共産党)に入れるか、今回は投票日ギリギリまで迷いました。私が辻元候補に引かれたのは、@選挙ポスター(「もう一回働かせて」)・ウェブサイトのキャッチ(「戦争はいらん…そこそこ暮らせて〜」)に惹かれた、A年金・イラク問題での与党追及でパワーがありそう、B秘書給与詐取事件に関しての目に見える形での「お詫び行脚」(選挙カーの後に「ごめん」と大書)、という、まあどちらかというとミーハーな理由からなのです。

【参考URL】
 ・辻元清美公式HP
 ・辻元再生プロジェクト

 結局私は、北朝鮮問題をめぐる過去の辻元発言や、宮本候補が私の地元出身である事、武富士の暴力的労務管理・サービス残業問題を国会で追及した実績等を考慮にいれて、選挙区では宮本岳志に投票したのですが、はっきり言って、辻元清美が、秘書給与詐取というマイナスポイントも抱えている中で、何故71万票余も獲得したのか(お仲間の社民党比例票はたった13万票余)、その理由が今もってわかりませんでした(まあ、「宮本は今回は落ちるな」というのは雰囲気で何となくわかっていましたが)。

 辻元票については、それまでの西川きよし票や府知事選・横山ノック票と同様の「一種の芸能票」と見なす向きもありますが、私は、どうやらそうでもないと思うのです。その理由は、これらのムードだけの芸能票と違って辻元候補は反戦・反与党的スタンスが鮮明で、単純なノンポリ・ムード票が流れ込む要素が少ないと思われるからです。

 それよりも、辻元候補が進めた選挙戦術が、大阪府民の感情(アンチ巨人の野球ファンの動向にも通じる、ある種の「判官びいき」)にかなりフィットした部分があったのではないか、と思っています。この点を解明していけば、ひょっとすれば、選挙戦術論や「候補者のタマ」論など、護憲・平和票の再結集を目指す議論にも資するものが出てくるのではないかと、ひそかに愚考しているのですが…。
 下記の参考数値で見る限り、主に民主党と自民党の比例票が選挙区では辻元候補に流れたようですね。

【参考数値1】
 ・大阪府選管HP

 ・参院選大阪府 選挙区得票                
   尾立源幸 (民主)  910,597 (得票率24.94%)当選 
              比例票との比較▲363,579   
   山下栄一 (公明)  795,256 (得票率21.78%)当選 
              比例票との比較+ 43,599   
   北川一成 (自民)  735,164 (得票率20.14%)当選 
              比例票との比較▲147,301
   辻元清美 (無所属) 718,125 (得票率19.67%)  
              比例票との比較+587,763
              (社民票と比較)
   宮本岳志 (共産)  442,755 (得票率12.13%)   
              比例票との比較+ 8,709     
   増田義雄 (無所属)  34,819 (得票率00.95%)
   大城戸豊一(諸派)   13,916 (得票率00.38%)

 ・同上 比例区得票(按分票は切捨て)
   民主党      1,274,176
   自民党       882,465
   公明党       751,657
   共産党       434,046
   社民党       130,362
   女性党         66,882
   みどりの会議    54,298
   維新政党新風    10,218

【参考数値2】
 ・選挙でGO!/参院選'98・'01近畿分析
 ・大阪府選管HP

 ・'98年参院選大阪選挙区得票数(下位7氏省略)

   西川きよし(無所属)  1,057,393 当選
   山下 栄一(公明)    872,294 当選
   宮本 岳志(共産)    725,385 当選
   坪井 一宇(自民)    573,610      
   中務 正裕(民主)    542,581      
   長崎由美子(社民)    116,552     

 ・'01年参院選大阪選挙区得票数

   谷川 秀善(自民)    982,887 当選
   白浜 一良(公明)    864,154 当選
   山本 孝史(民主)    602,312 当選
   山下 芳生(共産)    594,063
   渡辺 義彦(自由)    195,508   
   北岡 隆浩(諸派)    116,216     
   土居 和子(諸派)    101,449      

 ・'04年参院選大阪選挙区得票数

   尾立 源幸(民主)    910,597 当選
   山下 栄一(公明)    795,256 当選
   北川 一成(自民)    735,164 当選
   辻元 清美(無所属)   718,125
   宮本 岳志(共産)     442,755   
   増田 義雄(無所属)    34,819     
   大城戸豊一(諸派)     13,916     

 ざっと前3回の参院選大阪選挙区の得票を比較してみたが、かつて'98年では70万票余りを取っていた共産党に代わって辻元清美がそれを取ったと見れなくもないでしょう。事実、民主候補の90万票余はそれ自体大きな数字ですが、それでも同じ選挙の比例票より30万票以上も減らしています。辻元候補は自民・民主の比例票から合わせて50万票余を奪った形になっています。言い換えれば、この50万票は、もし「護憲・平和・反リストラ政党連合(or新党)」が出来れば、闘い如何によっては二大保守政党から充分奪い返せる票である、という事です。
 それなりに知名度やパワーのある候補者が出馬し、その地域の有権者の感情(ここでは、所謂「判官びいき」)にフィットするような情宣活動に徹したら、多少のマイナス経歴(この場合、秘書給与詐取)や基礎票の少なさ(元在籍していた社民党の比例票はわずか13万票余)をカバーして二大政党に肉薄できる事を、この選挙は証明したのではないでしょうか。

※改行等、レイアウト補正済。
※「さざ波通信」URL: http://www.linkclub.or.jp/~sazan-tu/


  15 「自由主義史観」私見--3つの欺瞞
                              (2004年9月10日)

(1) 「"自由"主義史観」言辞の欺瞞性

 「自由主義史観」という名称の由来なのですが、「何物にも囚われない、自由な歴史観」という意味なんですってね。最初の頃の触込みは「大東亜戦争史観でも東京裁判史観でもない、全く自由な歴史観」というものだったらしいです。それが間もなく、確かに「東京裁判史観」からは離れ、限りなく「大東亜戦争史観」に近づいていき、現代の自由主義史観になりました。「自由な歴史観」というのは、所詮は目眩ましだった様です。ぼんくらおじさんの投稿「お答えします(1)(2)」(9月9日投稿)を読ませていただきましたが、私は、其処でも上記と同じ感じを受けました。

>>日本がもっとも危機感を持ったのは、ロシアの南下です。中国から黒竜江北側、沿海州などを次々に掠め取り、さらに満州、朝鮮をうかがう情勢でした。新興日本としては「富国強兵」は急務だったと思います。<<

 これって戦前に当時の日本政府がアジア太平洋戦争の「正当性」について書き連ねた「国体の本義」(1937年)や、「木口小平ハ死ンデモラッパヲ離シマセンデシタ」(戦前の第1期国定修身教科書)に、そのまま通じる歴史観ではないでしょうか。

 まず「日本」「新興日本」と簡単に一くくりに表現されている点が気になります。確かに、例えば幕末の勤皇志士なんかの頭の中は、こんな感じだったでしょう。後、本居宣長・平田篤胤・山鹿素行などの国学者なんかも。しかし、当時の、幕末から明治にかけての庶民にとっては、将軍様(幕府)の天下であろうと天朝様(天皇)の天下であろうと、そんな事は二の次で、米・味噌・醤油の値段やその年の年貢がどうなんかという事のほうが重大事だったのではないか。また、国学者だけが当時の日本を代表していたのでしょうか。平賀源内・山片幡桃・安藤昌益は?・・・こういう発想はされないのでしょうか?

 また、当時は「富国強兵」の名の下に、江華島事件・台湾出兵・日清日露・シベリア出兵と、ほぼ10年おきぐらいに戦争をしていたのですが、本当にそんな道しか選択肢は無かったのか?例えば、秩父困民党が東京に攻め上り、明治政府を倒して「自由自治元年」を宣言していたら、まったく別の歴史が始まっていたのでは?・・・こういう発想とか。

 以上の仮定は、聊か破天荒な発想かもしれません。しかし、本当に「自由な歴史観」という事を謳うんだったら、そういう発想や、もっと破天荒な発想がどんどん出てきても可笑しくは無い筈です。それが、「木口小平」「坂の上の雲」的な発想しか出てこず、それを恰も絶対条件であるかのように捉えている所に、自由主義史観の「自由」なる言辞の欺瞞を感じますよ、私は。所詮、支配階級の目から見た歴史観でしかない。それを「国民」「国家」という言葉を多用する事で、呈よく言いくるめているような気がします。そういう、幕末の志士そのまんまの精神構造によって、戦意高揚を煽り立てられて侵略戦争に駆り立てられていった当時の国民を思うと、二度とこんな目には遇いたくないものだと、つくづく思います。

(2) 「普通の市民」言辞の欺瞞性

・<普通>の市民たちによる「つくる会」のエスノグラフィー
 〜新しい歴史教科書をつくる会神奈川県支部 有志団体「史の会」をモデルに〜
 http://web.sfc.keio.ac.jp/~oguma/report/thesis/2001/ueno.htm
 
 上記は、以前まことさんが当掲示板でも紹介された学術論文です。「自由主義史観研究会」「つくる会」系の歴史サークル「史の会」会員のエスノグラフィー(民族誌学。本来は、特定の民族の社会と文化をフィールドワークをふまえて記述したものという意味。此処では社会集団構成員の行動形態の研究の意味か?)です。それによると、史の会の大半(8割程度)はサイレント保守市民とも言うべき層で、残り2割が市民運動推進派(左翼からの転向組)と戦中派であり、その史の会の主流を成すサイレント保守市民の実像は、以下のような物です。
>>史の会の参加者からよく聞いた言葉が「私たちは普通の市民」、である。産経新聞の講読率が8割を占めるという時点で、世間一般の平均値からは外れたところにいる(投稿者注)はずの彼らが、「自分たちは普通だ」と言う。「サイレント・マジョリティ」という言葉が「つくる会」の内部で好ましいキーワードとなっているように、あくまでも彼らのなかでは、極端なことをやっているという意識はそれほどなく「自分の国のことをもっと誇りに思いたい」「日本人として誇りを持ちたい」という願いが存在するだけである。私は、彼らがなぜ自分たちを「普通の市民」と表象するかというと、それ以外の適当な言葉を見つけられないからだと思う。彼らが忌み嫌うのは「左翼」、「うす甘いサヨク」である。それらに対するアンチとして自分たちを置いているだけであり、「右派」「右翼」「民族派」という言葉で積極的に位置づけしない。<<

>>目には見えない「国(くに)」に憧れを抱き、「伝統的な」と銘打たれた保守思想に安心感を覚え、日本人として誇りを持てる「物語のような」歴史を待ち望んでいる人たち<<

 そこから、史の会、ひいては自由主義史観の担い手たちの全体像が、徐々に浮かび上がってきます。その全体像とは、戦後民主主義や平和・民主運動一般(勿論それらは完全な物ではないし、克服すべき欠点も多々あるが)を貶める為に、殊更自らについて、それら「サヨク」とは対極の位置にある<普通の市民><健全な保守>と規定しているが、実際はどちらかというと経済的には恵まれたホワイトカラー・企業経営者などの上級市民であり、そこには普通でも健全でもない<偏り>が見られる、そういう層が担う「ぷちナショナリズム」(by 香山リカ)運動だと言う事です。もっと有体に言えば、新自由主義的競争の中でとりあえずは「勝ち組」として生き残った企業内幹部候補生・「社畜」層(実際はそうではないにも関わらずその様に思い込まされている層を含む)、「どちらかというと右寄りの、動揺するプチブル小市民」の意識が色濃く反映した運動とも言えるのではないでしょうか。

※投稿者注:
1. 主要全国紙の購読比率(当該論文より)
  読売21.63%、朝日17.63%、毎日8.41%、
  日経6.44%、産経4.25%
2. 産経新聞の実態については、「産経新聞-Wikipedia」参照。
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%A3%E7%B5%8C%E6%96%B0%E8%81%9E

(3) 数字による実証的手法のレトリック

 解法者さんが投稿「よいしょと」「もう一つ」(いずれも9月1日投稿)で提示された資料「日本統治時代の朝鮮の収支」を見て思ったのですが
(投稿者注)、「朝鮮総督府の日本内地に対する貿易・財政収支は常に入超・赤字だった、日本は朝鮮にカネをつぎ込んだ、朝鮮の発展は日本の犠牲によるものだ」という趣旨のこの論ですが、これだと次のような解釈も出来ますよね。「米国は財政・貿易の「双子の赤字」に悩まされている→日本は米国を搾取している」。

 米国の「双子の赤字」は、米国が世界一の超大国としてベトナム戦争やアフガン・イラク戦争などに戦費をどんどんつぎ込み内政を蔑ろにしたが為に経済が次第に傾いてきた、謂わば「自己責任」によるものなのですが、それでも依然として「世界一の超大国」である訳で、その威光を嵩にきて、日米安保条約や治外法権的地位協定を始め、沖縄・宜野湾のヘリ墜落事故の様な現実を強いている事や、プラザ合意による円高政策や日米構造協議によって、米国債買い支え・大資本本位の内需拡大策(無駄な公共事業の押し付け)・食管制度の放棄・大店法や食品添加物、BSE対策の規制緩和などを押し付けられ、一時の地価バブルや地域の過疎化・「シャッター商店街」化を全国で現出させられる破目になっており、それに対して何も言えない状況にあるといった事は、皮相な「日本は米国を搾取している」論からはスッポリ抜け落ちてしまっている訳です。これは一つの例えですけれど、自由主義史観論者が援用し、一見「実証的」に見える各種の「数字」「統計」には、私は、こういうレトリックが随所に潜んでいるような気がしてならないのです。

※投稿者注:
・よいしょと  投稿者:解法者  投稿日: 9月 1日(水)00時14分24秒
・もう一つ  投稿者:解法者  投稿日: 9月 1日(水)00時15分31秒
  http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/2807/kakolog55.htm

  16 地域の切捨てを許すな!
       名鉄は公共交通の使命を放棄するな!

                                 (2004年9月16日)

 昨今のリストラの風潮は企業・行政分野だけに止まらない。鉄道事業においても、公共交通事業体としての使命を投げ捨て、単に不採算部門であるという理由だけで地域住民の生活路線を切り捨てる事例が続発している。今までも、モータリゼーションの進展や商業立地の変化によって、多くのローカル私鉄が廃線に追いやられてきた。近年は、その動きが今や大手私鉄にも波及してきている。

 名鉄がその好例である。名鉄(名古屋鉄道)は中京圏に基盤を置く大手私鉄で、旧愛知電鉄(今の名古屋本線)を母体に、美濃電軌・三河鉄道などの地方私鉄を吸収合併してきた歴史を持つ。現在、数多くの路線を有し、近鉄と並び日本でも有数の地域交通網を形成している訳だが、近年不採算路線の廃止の名の下に、次の様に多くの生活路線を廃止するに至っている。

 廃止(予定)線区      キロ数 廃止日  廃止の様態

・美濃町線(新関-美濃)   6.3km '99.04.01 一部区間廃止
                     (並行路線と競合)
・揖斐線(黒野-本揖斐)    5.6km '01.09.30 一部区間廃止
・谷汲線(黒野-谷汲)    11.2km '01.09.30 同上
・八百津線(明智-八百津)   9.1km '01.09.30 全線廃止
・竹鼻線(江吉良-大須)   7.4km '01.09.30 一部区間廃止
・三河線(碧南-吉良吉田)  16.4km '01.09.30 同上
・三河線(猿投-西中金)    8.6km '01.09.30 同上
・岐阜市内線(岐阜駅前-忠節)8.7km '05.04.01 全線廃止
                       (申請中)
・美濃町線(徹明町-関)   8.7km '05.04.01 同上 
・田神線(競輪場前-田神)  1.4km '05.04.01 同上

 何と、僅か最近5年余りの間に一鉄道会社の管内だけで、のべ10線区・総延長80キロ余に及ぶ生活路線が廃線に追い込まれてきているのだ(廃止申請分含む)。確かに名鉄は各地方鉄道会社の寄り合い所帯であり、鉄軌道の採算に限って言えば、必ずしも効率は良く無いであろう。しかし上記の閑散路線にしても、鉄道利用状況は地方ローカル私鉄の水準よりはかなり良好であり、それなりに地域住民の足として貢献してきた事が窺えるのである。

 いくつか例を挙げる。
 八百津線。廃止直前でこそ電車からLEカーという「レールバス」に切り替えられてしまっていたが、元々沿線には兼山城址や蘇水湖(兼山貯水池)といった桜の名所・行楽地もあり、かつては特急電車も走っていた線区である。
 岐阜市内線・美濃町線。本線(1500V)と違って電圧600Vで電車運行され、戦前からの車両も未だに現役で活躍している。岐阜市内中心部の百貨店から郊外のショッピングセンターに商業中心が移り、郊外から市内への人の流れが減少した事が廃止理由に挙げられているが、県庁所在地を中心として沿線人口も多く、中心部は15分間隔でダイヤ運行されている線区である。一時、岡山電気軌道が経営を引き継ぐという話もあったが、いつの間にか立ち消えになってしまっている。
 名鉄の「平成15年度営業概要」によると、鉄軌道部門では、輸送人員が増加に転じた事もあり、営業収益は前年度に比べ0.3%増の823億4千4百万円、営業利益は131億5千4百万円となった。名鉄の資本力からすれば、部内の営業努力如何で廃止は回避できるのではないか。

 日本全国各地で、地域住民による存続運動をバックにして公共交通再生の取組みも始まっている。その代表的な例が、茨城県の鹿島鉄道である。ここでは地元の中学・高校生徒会が中心になって「鹿島鉄道を守る会」が組織され、地域住民を巻き込んだ存続運動が広がっている。
 北陸地方でも多くの取組みが進んでいる。鉄道事故を多発させて運輸局から事業休止命令を受けた挙句に鉄道会社が経営を投げ出してしまった京福電鉄(福井支社管内)では、その後住民の存続運動が組織され、第三セクター「えちぜん鉄道」として再出発した。JR富山港線では、ここでも住民運動をバックに地元の富山地方鉄道とタイアップして、欧米型のトラム(リニューアルタイプの市内電車)として再生が図られようとしている。その直ぐ近くでは、加越能鉄道が既に第三セクター「万葉線」として新たなスタートを切っている。名鉄のすぐ近くの三重県でも、近鉄が廃止申請した北勢線が地元民鉄の三岐鉄道の傘下に入ることで廃止を回避できた。いずれの場合にも共通して言えるのは、地域住民の存続運動が鉄道再生の支えになっている事である。

 以上の事例は、名鉄に限った事ではない。JRでも近年、整備新幹線の開通と引換えに、在来幹線の該当区間が第三セクターに移管されたり(鹿児島本線・川内-八代間、東北本線・盛岡-八戸間)、酷い場合は廃止されたりしている(信越本線・横川-軽井沢間、ここでは廃止差し止め訴訟が提起されている)。地方在来線という国民の共有財産が、ゼネコンや族議員の利益の為に一方的に食い物にされている。閑散線区だけでなく地方の在来幹線までもが切り売りされ、地域の経済基盤が掘り崩されている。どこかで歯止めをかけなければいけない。資本による公共交通網の切捨て・切り売りに断固反対する。

【参考資料】

・名古屋鉄道HP http://www.meitetsu.co.jp/
・ローカル私鉄探訪記
 http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Ocean/5951/
・同上 名鉄・気動車線区のページ
 http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Ocean/5951/meitetuLE03.htm
・同上 名鉄・岐阜600V線区のページ
 http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Ocean/5951/meitetugihu03.htm
・鹿島鉄道を守る会 http://www.paw.hi-ho.ne.jp/kasitetu/
・その他、「鉄道ピクトリアル」「鉄道ジャーナル」など関連雑誌


  17 過労死・使い捨てNO!一人でも直ぐに始められる対抗法
                                 (2004年10月6日)

 これから書く事は、経営者・資本家サイドが進める「不当労働行為」に対して、労働者が一人でも直ぐに始められる対抗法です。実際に「不当労働行為」の存否について会社側と争う段になれば、勿論労働組合や運動団体に支援を仰ぐ事になるのですが、それでも実際に争うのは、あくまでも当事者たる「自分」です。ここではまず「自分」が最低限どんな事から手をつけられるのか、「一人でも直ぐに始められる」事を私の経験も踏まえて書いておきます。過労死で殺される前に、泣き寝入りしない様に。

(1) 「記録」は必ず残しておく。
 
 いざ過労死なり不当労働行為の存否について会社側と争う段になると「証拠」が必要ですが、会社側がそんなもの開示する筈がありません。また民間大経営の労組は企業内組合・御用組合で、大抵会社側と一体になってリストラを推し進めており、殆ど当てには為りません。自分の身を守るのはまず自分から。出退勤時のタイムカードの時刻は必ずどこかにメモっておきましょう。
 昨今は<会社もいろいろ>で、建前上は自主参加扱い(無給)のミーティングに遅刻したからといって暴行を受けて前歯をへし折られたり、ノルマが達成されないからといって自腹切らされたりするような会社も実際にあるのです。これは大手・中小関係ない。あの「武富士」や「日栄」ですら一部上場企業でした。後々こういう事実関係を争う場合、必ず「証拠」が物を言います。
 たとえば、私が以前働いていたバイト先の例ですが、タイムカードがあるにも関わらず時間管理がかなりいい加減な職場で、毎月の給料が自分の計算したものより1万円ぐらい違った事があった。これは「物量によって休憩時間を調節する」「終わりじまい」の職場によくある話です。私、月総労働時間のデータを毎月エクセルで出して突き出し、差額を次月で支給させてきました。
 中にはタイムカードが無く、パソコンに出退勤時刻を入力する所や(こういう所は会社側がデータを改竄します)、又は時間管理していなくてただ出勤簿に判子を押すだけの所もありますが、それでも記録は取っておくのです。裁判ともなればその記録の「証拠能力」が争われますが、それすら無ければ「証明するものが何も無い」訳です。もし記録を取っておれば、会社側が情報開示を渋ったとしても、例えば守衛の警備日報の最終退出者名・退出時刻と照合する事で事実関係を追及していく方法も出てきます。「記録」は必ず取っておきましょう。

(2) 労働法・安全衛生・社会保険の知識は必須です。

 バイト先でも呆れたのですが、今日びの若い子というのは、<何も知らない>という事です。バイトでも有給休暇の権利が付与させる事すら知らなかった。家族経営や内職でもない限り、労働法規は万人に平等に適用されます。正社員とバイト・契約社員の間に「身分上の違い」はありません。但し月間の労働時間や就業日数・出勤率によって休憩時間や有給休暇の付与内容は変わってきます。
 残業代は法定労働時間(1日8時間)を超えた分に2割5分増の賃金が付き、引き続き深夜22時から早朝5時まで働けば深夜手当ても含めて5割増しの賃金が付きます。法律上は確かにそうなっており、違反した経営者には刑事罰も課されるのですが、実際はノルマの重圧や人間関係・上下関係の桎梏などから来る<強制された自発性>によってサービス残業を強いられているのです。それでそれに耐えられなければ<退職>と相成る訳ですが、退職後も2年間は不払い賃金(労働債権)の請求権は在るのです(それ以前の分は時効になる)。<退職>して<晴れて自由の身>になり、「記録」「証拠」さえ揃っておればいつでも2年分は取り返せるのです。私は迂闊にも気が付かなかったが、この事も知っておくべし。
 労働基準法以外に労働安全衛生法の知識も必須です。VDT作業(パソコン・ワーク)で頚肩腕症候群になった時に、厚労省指針に基づく小休止(確か1時間に付10分だったと思う)が付与されていたかどうかは重要な問題です。後、雇用保険・社会保険関係、失業したら失業保険や確定申告や税法関係の知識も。派遣会社の若い社員、こういう知識など<ありません>から。保険の切り替えの件で相談したら、国保と社会保険の違いも認識していなかったのには驚いた。こういう手合いが堂々と人材派遣業をやっているのです。(→2に続く)
(3) 「雇用関係」と「雇用責任の所在」は、自分の頭の中で常に明確にさせておく。

 「誰に雇われているか」「誰が自分の雇用に責任を負っているのか」を常にハッキリさせておく事が必要です。これは、派遣請負労働(アウトソーシング)が今後も拡大していく中では特に重要な事です。派遣職場はハッキリ言って無権利労働の吹溜りです。まず、同じ時間に同じ職場で同じ仕事をしているのにも関わらず、派遣元の会社によって時給はバラバラ、私が働いていた所でも780円〜910円の差があった。そして、直接雇用関係に無い派遣先企業の社員が派遣労働者をドレイの様にこき使っていた。まるで元を取りかえさなければ損みたいな感じで。で、何かあっても雇用主ではないから責任は一切問われない(但しこれは派遣先・元の力関係で大分異なる)。私の時も、ある日突然仕事が無くなった。集合場所に行ってもいつもの送迎マイクロバスが来ない。派遣会社に電話しても要領を得ず、「ウチも困ってんですわ」という無責任な返事が返ってきた。
 後、気を付けなければならないのが「偽装請負」の実態。「派遣」とは、派遣会社から派遣先職場に単なる人材のみ派遣される勤務形態で、業務上の指揮命令は派遣先の社員が行います。それに対して「請負」とは、派遣先から部門丸ごと外部委託(アウトソーシング)された形で、業務上の指揮命令は派遣先から外部委託された「請負」会社の社員が行い、派遣先社員は直接関与しません。このように、「派遣」と「請負」とは法律で明確に区別されているにも関わらず、実際は形だけ「請負」にして派遣業法の規制を逃れている「偽装請負」会社が横行しているのが派遣労働の実態です。「偽装請負」では請負会社は人材を派遣するだけで自前の部門・資材を持たず、ひどい場合は請負(実際は派遣)労働者の仕事内容や勤務時間も把握せず、業務指示を派遣先社員まかせにしています。しかし派遣先は派遣労働者に対し、指示命令はしても雇用責任・管理責任は負いません。そういう職場では雇用関係や管理責任の所在が曖昧で、多くの場合請負(派遣)労働者は単なる工数として「モノ扱い」されているのが現状です。
 今までいくつか派遣請負のバイトをしてきた経験からすると、請負会社に部門全体を任されている「請負」職場の方が「派遣」より安心できます。そこでは請負会社が専属の事務所を持ち其処の社員が派遣元に成り代わって現場を仕切っており、労働基準法の規定も「派遣」よりは<曲がりなりにも>守られている。但しそれもあくまで<ドレイ職場>との比較であって、「派遣元の親会社の都合で仕事内容がコロコロ変わる」という<本質>は同じです。「派遣バイトの寄せ集め」職場に至っては、<問題外>な所が多いです。

(4) 「強制された自発性」からの自由(逃げ道)を、どこかに確保しておく。

 これは、口で言うは容易く、実際はなかなか難しい問題なのです。サービス残業にしても、死ぬまで働かされる過労死の問題にしても、誰でも最初は「オカシイ」と思うのです。しかし、前述したノルマや人間関係の柵、その中で形成された「義務感」に徐々に侵され、人が辞めても次の補充は無く仕事量や責任範囲が二倍・三倍になり「残業・休日出勤しなければ仕事が終わらない」「しても仕事は終わらないが、しなければ今度は現場が回らなくなる」状態が継続すると、始めは「仕方ない」と諦め、やがて「惰性」でうつ病患者の様にボーッとしながら「生きる屍」のようになりながら仕事をせざるを得なくなる。そして気が付いた時には「毎日朝7時ぐらいから終電間際まで働き(時間外手当一切無し)、それでも終わらず職場に泊り込み、その翌日も朝7時から働き、日曜日にタダで休日出勤させられても、誰も文句を言わない」「上は、職員の健康を慮ると言うよりも労基署から目を付けられるのを気にして、泊り込まざるを得なかった職員を叱責する」、そういう異常な職場になっていくのです。ここまで来たら、もはや<呈の良いマインド・コントロール>です。マインド・コントロールされない為には、「そもそも賃金とは何なのか」、会社からの単なる賞与・恩恵なのか、それとも自分の生活費を含めた「労働力商品の価格」なのか、という意識を、どこかで堅持しておくしかないでしょう。賃金が「労働力商品の価格」であると考える所から初めて、自分で自分を<買い叩く>事のバカらしさに、否応でも向合わざるを得なくなる。そういう「強制された自発性」からの自由(逃げ道)を、どこかに確保しておく必要がある。
 以上、巷には労働法規の解説書やリストラされた時の対処法、「駆け込み寺」となる各機関・団体の窓口案内書が溢れています。具体的解説はそちらを大いに参照されたら良い。此処では、それ以前の段階として、「ひとりでも直ぐに始められる事」や「そのために押さえておくべき視点」について、少し書いてみました。過労死の労災認定について言えば、'01年12月の厚労省労働局長通達で、従来の脳・心臓疾患発症前1週間の労働実態のみで認定していたのが、発症前6ヶ月間の就労実態を考慮するように認定基準が緩和され、労災認定の道も大きく開かれました。「過労死・使い捨てNO!」と言える状況にしていく為には、今後ますます、一人一人の取り組み如何が決め手になってくるでしょう。
 最後に、下記の「整理解雇の4要件」は絶対覚えておきましょう。どんなにリストラが激しくても、労働者本人が「承諾」しない限り、使用者側が恣意的に解雇する事は<絶対に>出来ないのです。例外は「懲戒解雇」ですが、それとても適用要件が法律で厳格に定められており、簡単に濫用は出来ない規定になっています。

※「整理解雇の4要件」
 最高裁の判例で示された、整理解雇の必要要件。
  1.差し迫った人員削減の必要性があること。
  2.解雇を回避するための努力義務がつくされていること。
  3.解雇されるものの選定基準および選定が合理的であること。
  4.解雇手続きが妥当であること。
   (労働者・労働組合の納得を得ているか。)


  18 当掲示板のテーマ「リストラも戦争も拉致もゴメンだ」について
                                 (2004年10月18日)

 「拉致問題の最終的解決は日米同盟による北朝鮮攻撃(又は経済制裁)しかない」「アメリカを批判するヤツは全て親北朝鮮だ」「左翼が北朝鮮問題に言及するのも単なるアリバイ作りだ」といわんばかりの暴論が、残念ながら当「アフガン・イラク・北朝鮮と日本」掲示板(アフガン板)でも目に付き始めたようなので、ひとこと言っておきます。

 私も、北朝鮮問題の最終的解決は金正日体制の打倒・清算しか無いと思っています。また、表向きは「社会主義」を詐称する現在の北朝鮮が、実際は社会主義とは縁もゆかりも無い個人独裁政権、社会封建主義・社会ファシズムの政権であると思っています。しかし、北朝鮮問題を突破口にして、只ひたすら米国の帝国主義・覇権主義に追従し憲法・教育基本法も改悪して日本を「米国好み」の「戦争の出来る国」に作り変えてしまう事には、断固反対します。それで仮にアフガン・イラク戦争のような「先制攻撃」によって金正日体制が打倒されたとしても、北朝鮮問題の真の解決にはならないし、その後の世界は「平和・民主・人権の東北アジア」とはおよそかけ離れたモノになってしまうからです。

 こう言うと決まって右の方からは「左翼的偏向、イデオロギー排外主義」とか、酷い場合は「左翼批判から目を逸らせる、為にする議論だ」とかいう悪罵を、過去投げつけられてきましたし、今も投げつけようとする人がいるようです。私は逆にその人に訊きたいです。北朝鮮問題があるからといって「何でもかんでもアメリカの言いなり、財界・資本家が好き勝手し放題の弱肉強食の世界になっても好いのですか?」と。

 アメリカの言いなりになって、沖縄や日本本土の基地周辺では米軍の無法がまかり通るわ、牛肉の全頭検査は廃止されるわ、食管制度を無くしてミニマムアクセス米は輸入されるわ、グローバル資本主義の下で労働法制や税制は改悪され消費税はどんどん上げられ中小企業倒産は激増し商店街はシャッター街になってしまうわ(自殺者も自己破産件数もうなぎのぼり)、米国・財界言いなりの無駄な公共事業が推し進められ乱開発で国土と国家財政を食い物にされ福祉・教育は切り捨てられるわ、外資ハゲタカファンドの市場進出・金儲けの為に何でもかんでも民営化されるわ(その実、天下り・行政私物化や政官財癒着の構造は温存され住民サービスだけが切り捨てられる)・・・言い出せばキリが無いけど、日本がこの様な「米国好み」の「戦争の出来る国」になって、切り捨てられるのは誰ですか?「我々」じゃないですか!だから私は「こういう国になるのは真っ平御免だ」と言っているのです。それとも「右翼反動」が労働者の側に立って資本主義の搾取と闘ってくれるのですか?今まで闘ってくれた事があるのですか?あるんなら私も、もう少し右翼を見直すのですがね。

 何かそれを恰も「左翼の失地回復・勢力拡大」のレベルで捉えている人士も居られるようです。「米国好み」の「戦争の出来る国」になるという事は「グローバル資本主義・新自由主義の搾取に抵抗できなくなる」から反対なのであって、単に「どこそこの左翼政党の影響力が減るから困る」などという党派レベルで反対しているのでは無いのですよ。
 しかしその一方で、北朝鮮の食料飢餓や人権抑圧の惨状は酷い、中国の人権抑圧も酷いものがある、拉致被害者の辛苦ももはや耐え難いものがある、帰国者の問題もある。そこで、どうするか?日本を「米国好み」の「戦争の出来る国」にするのに反対しつつも、米国の力も中国の力もロシア・EU・非同盟諸国や国連の力も利用して世論に訴えていくにはどうすれば良いかを考えていきましょうというサイトなのですよ、此処は。

 例えば、「北朝鮮人権法案」ひとつにしても、元々は米国民主主義基金(NED)が出所の、人権問題を口実にした第三世界への新植民地主義的介入・干渉の道具としての一面もある訳ですが、その一面だけ見て全否定してしまうのでなく功罪両面を見て「利用できる所は無いか」「真に民衆解放に役だつ法案にするにはどうすれば良いか」とかを考えてみる、また、帰国事業の総括を通して日本左翼の過去の北朝鮮追従の責任を問いスターリン主義的体質の有無にメスを入れ左翼再生の展望を探るとか、此処はそういう事を自由に考えていく掲示板なのですよ。掲示板ヘッダの『リストラも戦争も拉致もゴメンだ』『イラク戦争も金正日もNO!』というのは、そういう意味です。

 それならお前は、軍事オプションや経済制裁に代わる『リストラも戦争も拉致もゴメンだ』『イラク戦争も金正日もNO!』に沿った具体的解決策を提示できるのか?という質問もされました。そんなモノ、すぐには出ません。だから「皆んなで一緒に考えていこう」と言っているのです。そもそも北朝鮮問題なんて、素人がネットでよってたかって少し考えたぐらいですぐに解決策が出るような問題ではありません。ただ根本的には「民衆本位の解決でしか真の解決はあり得ない」と思っています。リストラで苦しめられている日本や韓国の一般庶民、金正日の人権弾圧に苦しめられている北朝鮮の人々、外国資本と共産党独裁権力の両方から苦しめられている中国スウェットショップ(搾取工場)の労働者が、ともに連帯して民主主義と人権を勝ち取っていく「真の民衆解放の道」でしか本当の解決はあり得ないと思います。

 そういうのは「まだるっこしい」「戦争もリストラもOK、拉致問題さえ解決したらそれで良い」という人は、此処に居ても仕方がありませんし、私たちも2ちゃんねるレベルのウヨサヨ論争や無駄な消耗戦で徒に時間をつぶされたくはありませんから、どうぞ別のサイトに行って下さい。「リストラも戦争も拉致もゴメンだ」「民衆解放の道」についても少し考えてみようという、そういう投稿なら右でも左でも大歓迎です。

 あと蛇足ですが、右翼の皆さんへ。「左翼の二重基準」じゃ何じゃばかり書き立てるだけが能ではないでしょう。真剣に「北朝鮮問題」についても考えてほしいと思っているなら、そういう書き込みをされては如何でしょうか。例えば「アフガン民衆法廷」掲示板でたまたま見つけた下記の書き込みなどには、そういうスタンスが感じられますね。別にこの投稿者を特別ヨイショする気は無いですが、偶然目に留まりましたので此処に紹介しておきます。逆に「糞サヨ」「ブサヨ」とか言われたら「もう二度と拉致被害者の支援なんてやってやるか」という気持ちになりますよ。人間ってそんなモノです。

 [521] 朝鮮半島に平和を! 5.22緊急行動の呼びかけ
 http://afghan-tribunal.3005.net/bbs/ 

  19 町村外相発言の本質   (2004年10月20日)

 町村外務大臣の一連の発言が最近物議を醸し出しています。曰く、

・首相の靖国参拝、英霊に平和誓う当然の行為…町村外相(読売新聞)
 http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/seiji/20040928/20040928ia01-yol.html
・墜落現場視察した町村外相「操縦上手だった」(琉球新報)
 http://www.ryukyushimpo.co.jp/cgi-bin/helicrash/index.cgi/news/20041016u01.htm

 後者の沖縄ヘリ事故をめぐる失言については今まで南雲さんが拙掲示板(アフガン板:下記参照)で精力的に取り上げてくれており此処で改めて強調するまでもないのですが、前者の靖国参拝の件については私も少々言いたい事があります。読売新聞の当該記事によれば、町村外相は「首相も国のため命を落とされた方の慰霊をすることは当然だという考えだろうし、恒久平和、世界平和実現のために努力していくことを英霊に誓う行為そのものは当然だ。それぞれの国にはそれぞれの慰霊の仕方がある」と言ったらしいですが、安直に「国」とか「日本人」という言葉でひとくくりに捉えないで欲しいものです。これでは恰も「日本国民」は全て「靖国参拝」「A級戦犯合祀」に賛成しているみたいな捉え方ではないか。少なくとも私はそんなモノに賛意を表した覚えはないし、他にもそういう人は少なくない筈である。町村発言の中には「靖国参拝やA級戦犯合祀に賛成しない者は全て非国民だ」と言わんばかりの傲慢さが感じられます。

 ただこれだけ見ると町村氏は、安倍幹事長・中山参与無き後の政府・与党の中で強硬派として自分ひとり気を吐いているかのような発言を最近している訳ですが、私はこれは一種の「ガス抜き」と見ています。今の日本政府は(これは米国も本質的にはそうだと思っていますが)私とは比べ物にならないくらい「打算的・実利的」「国益優先」です。東アジアから東南アジアにかけての地帯と東欧諸国は、今やグローバル資本主義の有望な世界市場です。ここでは米国・日本とも、市場を不安定化させるような事は基本的に望みません。中国・ベトナムでは共産党権力に食い込み、彼の権力とも持ちつ持たれつの関係で勢力拡大を図っています。小泉首相が北朝鮮との国交正常化に熱心なのも、其処に潜在的市場があるからです。他方で「Gotuku7」(先進国サミット参加)諸国はいずれも大なり小なり、中東・アフリカ・CIS諸国(所謂「不安定の弧」地帯)については市場としてではなく資源地帯として捉えています。ここでは米国は露骨な軍事介入を行っています。日本も「アメリカの「属国」でいる方が楽なので、全てを他国より優先してアメリカには逆らいません。」(アフガン板の某投稿者の書き込みより)。

 町村外相の一連の発言は、前述の「打算的・実利的」「国益優先」の本質を覆い隠す為に、中国・アジアに対する排外主義を「適度に」煽っているのだけなのです。謂わば、世界市場をめぐる「実利」「国益」を損なわない範囲で「ガス抜き」を図っていると言えます。小泉内閣が、どんなに「イラク戦争の嘘」が白日の下に晒されても只ひたすら米国に追従し、それと同時に拉致問題の幕引きを図ってまで北朝鮮との国交正常化を急ぐのも、此れで全て説明が尽きます。

 その中で、排外主義に煽られて気が付いたらイラクやソマリアその他に海外派兵させられ殺されるのは「我々」なのです。その裏で資本家は涼しい顔をしてどんどん海外進出を図り、北朝鮮・中国民衆の人権もアフガン・イラク・パレスチナ民衆の人権も省みられる事は無いのです。「利用」される事はあっても。「Gotuku7」諸国指導者が唱える「似非人権・民主化」の欺瞞を見破る目を養い、本当に民衆解放に結びつく「真の人権」「普遍的人権」運動を構築していく事が、今にもまして我々に求められているのではないでしょうか。「北朝鮮人権法案」についても、単純・機械的な肯定や否定ではなく、それを如何に「真の人権」に資するものに転化させていくかという事が問われていると思います。

・アフガン・イラク・北朝鮮と日本(アフガン板)

  20 地元の「9条の会」結成総会参加報告   (2005年12月5日)

 12月2日(金)に、地元の「9条の会」結成総会に参加してきました。以上、簡単に報告しておきます。

 当日の結成総会は夜7時から地元の公民館で行われました。私は7時過ぎに少し遅れて参加しました。
 公民館の大集会室が会場で、入ったらもう130名以上の方でほぼ満席に近い状態でした。労組の決起集会などではなく殆どが口コミによる個人参加であった点や、私の地元がどちらかというと草の根の保守が強い所でもあるので、それを考えるとこの130名というのは決して少ない数字ではないと思います。

 結成記念講演として、イラク戦争に反対して外務省を退職した前レバノン大使の天木直人さんが、「平和外交と憲法9条」というテーマで1時間ほどお話をされました。私は、天木さんというのは、本も出したりこの前の衆院選では小泉の選挙区から立候補されたりしていたので、よほど聴衆を唸らせるような演説をされるのかと思っていましたが、実際はそんな演説慣れしたような人ではなく、声も意外と小さかったです。

 天木さんのお話の中で印象に残ったのは、米国のご都合主義(フセイン打倒までは仇敵の隣国シリアのアサド政権を優遇し、打倒後は一転して反テロ戦争の標的にし出す)や、それに無批判に追随する小泉外交の堕落振り。小泉の口癖「日米関係が良ければ全て良し」=それ以外の国の事などハナから眼中に無し=他の国が聞いたら一体どう思うか、という指摘については、私も正にその通りだと思います。この言葉にしても、先の総選挙での「郵政民営化がうまくいけば全て良し」という言い方にしてもそうですが、具体的な事実に基づいて議論する事を始めから拒否し、空虚なスローガンを「ウソも百遍言えば本当になる」とばかりに鸚鵡返しに繰り返す宣伝手法は、誰かが言っていましたが、まるで大道香具師そのものです。

 記念講演が終わり、引き続いて結成総会に入りました。当「9条の会」には15名の呼びかけ人が居られるのですが、その内で実際にこの場に参加された7人の方から、それぞれ決意表明が為されました。

 元高校教師の方(私に韓国歴史教科書の翻訳版を貸して下さった方です)からは、「平和憲法は決して占領軍による押付け憲法ではない」「憲法9条の萌芽は、既に明治時代の、自由民権運動の頃の民間憲法私案や、日本最初の社会主義政党である社会民主党(1901年結成、即日禁止)の綱領の中に見られる」「平和と自由・民主主義を求める『平和の伏流水』が、戦争中も地底で流れ続け、それが戦後地表に噴出してきたものだ」というお話がされました。
 また別の人からは、「自分が学生時代に憲法を学んでいた頃は、よもや改憲なんて事がこんなに現実味を帯びてくるとは思わなかった」という事で、自民党の新憲法法案の危険な中身(軍隊の認知→国防義務の強制、反戦・厭戦思想の抑圧、徴兵制への布石)に対する言及がありました。
 そんな中で、地域の婦人団体(母親連絡会)による高校門前での宣伝活動がキッカケになって、その地元の高校の中に「職場9条の会」が誕生した事や、当該地域で活動している地域生協での組織化の取組みなどが報告されました。

 そして次の行動提起として、今後は毎月9日に地元の駅頭で署名・宣伝活動をする事や、次の宣伝では「赤紙」(召集令状)の見本を配布する事などが決まりました。そして総会が終わり、その後、私の中学時代の恩師(結成呼びかけ人の一人)とも久しぶりに言葉を交わす事が出来ました。私も早速、会場で「9条の会」に加入しました。


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