アフガン・イラク・北朝鮮と日本
掲示板言論の推移5
−イラク戦争以後

  拉致被害者救出運動の一致点

拉致被害者救出運動の一致点
(金国雄さんの掲示板に投稿)
投稿者:社会主義者  投稿日: 5月22日(木)00時30分55秒
 拉致被害者救出運動の、誰でも一致できる要求、最低限綱領(ミニマム・マニフェスト)は、
  @拉致被害者・家族の無条件帰国(日本人・外国人の別を問わず)
  A金正日政権の人権抑圧政策の停止
 ・・・といったところでしょうか。

 拉致は現在進行形の犯罪です。過去の植民地支配に対する補償などのように、双方が話し合って合意をめざすべき性格の問題ではありません。
政府は北に対し「返せ!」の一点で強く迫るべきだと思います。
 他方、拉致問題・北の人民抑圧体制の問題は、全て純粋に人権問題です。
有事法制や改憲、歴史認識や戦後体制への評価といった別の観点を人権問題に持ち込むべきではないと思います。拉致被害者救出運動への特定の立場の押し付けには反対です。

 私は、イラク戦争と同様、ネオコン流の北朝鮮先制攻撃論には反対です。しかし又、金正日の人権抑圧はかつてのポルポト政権のような惨状を呈しています。勿論、北朝鮮解放は最終的には朝鮮民族にしか出来ない事で、周辺諸国民は彼らの民主化運動を援助出来てもそれに介入したり取って代わるような事はできません(たとえ善意からであっても外圧や外部干渉の主張は植民地主義と同じ発想です)。しかし、金正日のジェノサイドに対し、ただ単に「相手の出方次第」という対話頼りでなく、場合によってはイラクの場合と同様、
国連主導の拉致・人権査察を要求するぐらいのスタンスはあって良いと思います。
 
 私は、韓国の太陽政策や自主外交志向に対して、ただ単に「北への宥和政策」として非難するだけの立場はとりたくありません。植民地支配から解放された後も東西冷戦下で反共軍事独裁体制のもと長い間がんじがらめにされ続け、ようやく民主化を勝ち取った韓国国民が、今までと違う選択を希求し始めたとしても、それを邪魔する権利はどこの国にもありません。北朝鮮の実情が知られておらず、今までの反動から一時的な北朝鮮美化や行過ぎた自国中心主義の風潮が出てきたとしても、その克服もまた韓国国民自身の力でされるべきものだと思っています。

  「戦争なき解放の道」

「戦争なき解放の道」
(朝民研・沢村圭一郎さん・金国雄さんの掲示板に投稿)
投稿者:社会主義者 投稿日: 5月27日(火)01時15分10秒
 RENK(救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク)のHPを見ていたら偶然、RENK声明「フセイン政権の崩壊と北朝鮮」(2003年4月20日)のページに行き当たりました。

 この声明では、イラク戦争の帰趨から北朝鮮解放の展望を以下の様に導き出しています。

■(世界的規模でのイラク反戦運動に対し)「納得しがたい国家の論理に対して、民衆の論理を直接対置することは、今後ますます重要性を増す」として、反戦運動の意義について率直に評価している。
■(その一方で反戦運動に対し)「独裁政権下で苦悶するイラク民衆の姿がどこまで捉えられていたか、検討の余地があるのではないか」と、これまた率直な立場で注文を付け加えている。
■(絶望的な独裁体制から解放される為には)「だれの力でもいいから借りたいと感じてしまう」「米国でも、ロシアでも、日本でも、悪魔でもいい」と、言わざるを得ない状況がある事を指摘している。
■しかしそれでも、「戦争の最大の犠牲は民衆である」として、アフガン・イラク・ソマリアにおける様な諸外国による干渉戦争や、悪魔(ネオコン植民地主義者)による「解放」ではなく、あくまで民衆蜂起による独裁政権打倒=「戦争なき解放の道」の可能性について言及している。----ピンポイント空爆・軍事革命(RMA)や「フセイン像倒壊」(FOXメディアの「やらせ」)に対する過大評価、等の不十分な点はあるが。----
 それが次の一節である。

>イラク民衆にとってそうであったように、北朝鮮民衆にとっては金正日政権もブッシュ政権も自らの解放を託すことのできる相手ではない。もとより、両者の争いは民衆に多大な犠牲をもたらす。とはいえ、仮に両者の間で何らかの和解が生じたとしても、民衆にとっては現在の抑圧の継続に過ぎない。
>イラク戦争の過程を踏まえるならば、これら二つの隘路を避けるには、北朝鮮内部における反乱を組織し、金正日政権の放逐を実現することを通じてブッシュ政権による介入の糸口を絶つことが必要である。


 
 「人民民主主義国家」を詐称した金正日封建王朝と、それに長らく盲従してきた社民党などの悪影響の為に、多くの北朝鮮・拉致問題掲示板において「イラク戦争より北朝鮮」「反戦より拉致問題」「反戦ではなく有事法制・改憲」というような好戦的論調が多数を占めているのは残念です。反戦・平和運動と北朝鮮民主化・拉致被害者救出運動は、人権問題として、本来表裏一体の立場でなければならない筈です。それを考える上で、上記のRENK声明や、次の「8団体共同声明」は、私個人としては非常に示唆に富む内容だと思います。賛否両論あるでしょうが、一読の価値有です。

 ※RENK4.20声明「フセイン政権の崩壊と北朝鮮」
  http://www.bekkoame.ne.jp/ro/renk/RENK030420.htm

 ※「8団体共同声明」(1998年9月7日)
  http://www.asahi-net.or.jp/~dt9k-iwmt/memo/2003-2/memo469.html
  この声明に関する「民団新聞」の記事
  http://www.mindan.org/shinbun/980909/topic/topic_c.htm

 ※「総連の民主化を要求する同志会」(総民同)の存在も初めて知りました。
  どなたか詳細を知っている方がおられたら、情報アップをお願いします。

 PS:
 国際ANSERやWorld Peace Nowなどのグローバル反戦運動で見られた創意工夫は、従来の「赤旗」「組織」「大衆動員」といった堅苦しいイメージを払拭しました。だからあれだけの広がりを見たのだと思います。北朝鮮・拉致救出運動でも、「日の丸」「君が代」といった右翼的イメージを払拭していけるような(例:ブルーリボン)、そして誰でも気軽に参加できる市民運動の形態を、この掲示板投稿諸兄の力で考え出していけたら、と期待しています。(あいにく私の能力ではとても無理ですので)


 


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