アフガン・イラク・北朝鮮と日本
《掲示板の論点11》 尼崎脱線事故から鉄建公団訴訟支援の立場へ

  [論点解説]


尼崎脱線事故
(神戸新聞)

 '05年4月25日にJR福知山線尼崎駅付近で起こった電車脱線事故は、死者107名を出す大惨事となりました。この事故を巡っては、拙掲示板でも多岐にわたる議論が展開されました。本欄では、その中から特徴的な議論(投稿)をピックアップして、下記の5項目に分けて載せています。
  • JR尼崎脱線事故の概要:
    当該事故について、まとまった形で書いた一番最初の拙稿です。
  • 「運転士責任論、置石説、宴会・ゴルフ」を巡って:
    置石原因説や、当該運転士の個人責任論、事故当日前後のJR内での宴会・ゴルフなどを巡る、特徴的な議論・投稿。
  • 尼崎脱線事故から鉄建公団訴訟支援の立場へ:
    営利最優先、安全・人権無視の企業体質は、単にJR西日本だけの問題ではない。それは、国鉄分割民営化に始まる現代リストラの必然的帰結である。JR総連・JR連合の果たしてきた役割、国鉄・JR問題への視座を巡る、特徴的な議論・投稿。
  • 尼崎脱線事故の背景(安全・人権無視)を巡って:各論考察。
  • 尼崎脱線事故の背景(過当競争)を巡って:各論考察。
●注:投稿文の改行位置のズレについては、編集者の方で修正しています。

  JR尼崎脱線事故の概要

JR脱線事故−営利至上主義の企業体質が招いた大惨事  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 4月27日(水)10時26分29秒
 4月25日にJR福知山線(宝塚線)で発生した電車脱線事故は、死者70数名を数える大惨事になるに至った。脱線の原因については「置き石」の可能性も取りざたされているが、はっきりしているのは当該車両の運転士が『1分半のダイヤの遅れを取り戻すために、半径304m・時速70km制限のきついカーブを、時速100km以上のスピードで通過しようとした』という事実だ。この事については、電車運転士個人の運転適性や資質をことさら問題にする様な報道も一部に見られる。はっきり言うが、この運転士も事故の犠牲者だ。この運転士も未だに先頭車両の中に閉じ込められている。まずは、この運転士も含め、遭難者の一刻も早い救出を祈るばかりである。本投稿では、何故この様なスピード超過が起こってしまったのか、その背景に焦点を絞って見ていく。

(1) 過密ダイヤ

 脱線事故を引き起こしたのは、7両編成の宝塚発同志社前行き快速電車(列車番号5418M)である。当該車両の運転士は事故現場の手前停車駅(伊丹駅)で、約40mのオーバーランを起こし、その為に定刻より1分30秒の遅れを生じてしまった。その列車遅延を取り戻そうとスピードを上げた為に脱線事故を引き起こした。
 この様な、数分の電車遅延を挽回する為の運転操作は「回復運転」と呼ばれ、鉄道運転士の間では普段から日常的に行われているものである。問題は、それが制限速度を遥かに超えて行われた所にある。何故こんな事が起こってしまったのか。

 下記は、伊丹駅の大阪方面(上り)平日午前9時台の時刻表である。脱線事故を起こしたのはその中の前から3番目の、9時14分発快速同志社前行き([快]同14、※印添付)である。

 大00 放07 ※[快]同14 [快]大19 大22 [快]木28 大31 [快]同41 高44 [快]大54 [快]木56 高59
 ・注:[快]=快速、大=大阪、放=放出(はなてん)、同=同志社前、木=木津、高=高槻
 http://www.ekikara.jp/newdata/line/2701181/28207011/up-1_1.htm

 下記は、その当該車両([快]同14)の当初予定の運行ダイヤである。

 宝塚(9:03発)→中山寺(9:06着、9:07発)→川西池田(9:10着、9:10発)→伊丹(9:14着、9:14発)→尼崎(9:20着、9:21発)→(中略、尼崎からは東西線・片町線経由)→同志社前(10:15着)
 http://www.ekikara.jp/newdata/detail/27010330/41.htm

 以上からもわかる様に、ターミナル駅でも1分間、それ以外の停車駅では1分に満たない停車時間で設定された、数分単位の過密ダイヤが組まれているのである。伊丹駅より2つ尼崎寄りの、事故現場直前にある塚口駅(当該事故車両は通過駅で停車しない)で見ると、それがより一層はっきりする。

 9:14(放出行普通、停車)、9:17(事故車両、通過)、9:22(大阪行き快速、通過)
 (NHK総合TV番組「クローズアップ現代」4月26日放送分)

 こういう状況下で起こった「1分30秒」の遅れなのである。この様に、元々が過密ダイヤである上に、後述する私鉄との競合に伴うスピードアップによって、既に制限速度ギリギリのスピードを前提としたダイヤが組まれている。JRの社内規定では「回復運転は制限速度の範囲内で行う」とされているが、この様な状況下では、そんな社内規定など、画餅にしか過ぎないのである。

(2) 当該線区特有の事情

 脱線事故が発生したJR福知山線(大阪近郊では宝塚線という愛称でも呼ばれている)は、沿線にはマンションや新興住宅地が広がる通勤線区であり、大都市近郊の大阪・宝塚間では阪急宝塚線(大阪梅田・宝塚間)と乗客の奪い合いでしのぎを削る、典型的な私鉄との競合線区でもある。
 京阪神地区は昔から「私鉄王国」と呼ばれてきたように、阪急・阪神・京阪・近鉄・南海の5大私鉄の路線網がJR路線とほぼ併行して走っており、戦前の昔から旧国鉄時代を経て現在に至る迄、JRと各私鉄の間ではスピードアップ競争やサービス合戦が繰り広げられてきた。JR運賃も、これらの競合線区では他の線区と比べて割安に設定されている。
 http://www.railfan.ne.jp/rj/main/esse_17a.html

 また福知山線は、尼崎駅で東海道本線・東西線に接続しており、多くの場合、福知山線の宝塚や新三田から大阪市内を東西線で経由して片町線(大阪近郊では学研都市線の愛称でも呼ばれている)の同志社前や終点の木津までの間で、乗り換えなしの直通運転が為されている。実際、事故車両にも同志社大学に向かう通学生が多数乗車しており、今回の事故でも多くの学生が犠牲者になった。
 http://www.jr-odekake.net/eki/route/search_route.php?navi_type=top&rt_type=1&sub_x=320&sub_y=0&befor e_x=6438&before_y=4509&id=&size=3#jrmap

 この様に、併行する大手私鉄とのスピード競争や、尼崎での他線区との接続、東西・片町両線区を含め運転区間が3線区に跨り比較的長距離である事も相乗して、「列車遅延の遅れ」に伴う影響の大きさが運転士にとって相当なプレッシャーとなり、「何が何でも遅れを取り戻さねば」という意識が働いた事も、容易に想像できる。

(3) JRの非人間的な企業体質とチェック・自浄機能の喪失

 JR各社は'80年代に、当時の中曽根内閣による旧国鉄の分割・民営化によって誕生した。分割・民営化の過程で、国労・全動労に対する露骨な労組切り崩し工作の強行と併行して、それまでの労働協約や労使慣行の見直しの美名の下で、労働条件の大幅な改悪が為されていった。その結果、JR各社では、大なり小なり程度の差はあれ、営利追求に偏した人間不在の経営政策・労務管理がまかり通り、それに対して健全なチェック機能も働かないという職場状況が、民営化以降ずっと続いてきた。
 http://www.geocities.jp/aichi200410/

 JR西日本管轄の当該尼崎電車区でも、2001年に、機器トラブルの処置の為にやむを得ず1分の列車遅延を発生させた運転士に対し、過酷といえる乗務停止処分を行い、嫌がらせ・見せしめ的な「日勤教育」を加えた挙句、当該運転士を自殺に追い込んでいる。そして今回の4月25日の事故の二週間前にも、JR尼崎駅発着の全列車について、「1秒単位で列車の遅延状況を把握する」という、正に「運転士を追い詰め、事故を誘発している」としか思えないような労務管理を行っているのである。
 http://www.jr-souren.com/statemnt/tusin492.htm
 http://www2.asahi.com./special/050425/OSK200504260105.html

 この様なJRの営利追求偏重・人間不在の企業体質は、何も今に始まった事ではない。従来の鉄道事故とそれに伴う事故処理の在り方にも、顕著に現れていたのである。
 1991年5月14日の信楽高原鉄道における、当該会社車両とJR車両との正面衝突事故では、JR側は、一切の責任を信楽高原鉄道側に負わせる姿勢を露にして、被災者遺族から強い顰蹙を買っている。
 また2002年11月6日には、東海道本線の塚本・尼崎間で、現場に駆けつけた救急隊員が鉄道事故負傷者の救出を完全には終えていないにも関わらず後続の特急列車を運行させ、救急隊員を死傷させる事件を引き起こしている。
 http://www.tasksafety.org/shigaraki/index.htm
 http://www.tasksafety.org/jiko/jikojr021106.htm

 この事例からもわかるように、JRは営利を追求する余り、割引運賃・定時運行・ダイヤ増発や、Jスルー・ICOCAなどの各種カードサービスなどの、「直接目に見え、見てくれが良く、乗客増に直結する」サービスには力を入れるが、鉄道事業者にとっては一番大事なサービスである「安全運行」については、「直接乗客の目には見えずコストもかかる」という事で、なおざりにして来た。カーブミラー設置でプラットホームの監視要員を削減し、駅員の委託・派遣労働者への置き換えを遮二無二進め、碌に安全教育も施さないまま駅務業務に従事させてきた。今回の事故でも、現場のATS(自動列車装置)が旧式仕様でスピード超過に対して何ら抑止機能を持たなかった事や、脱線防止ガードが設置されていなかった事が指摘されている。そうした形で職場の矛盾を現場の労働者にしわ寄せをし、事故があれば全て現場スタッフ個人に責任転嫁してきたのである。
 http://www2.asahi.com./special/050425/TKY200504250110.html

 そして、長年の労組敵視政策や反動的・暴力的労務管理の横行によって労組の力が弱められ分裂させられてきた事によって、職場の不団結が助長されてきた結果、営利偏重・人間不在の経営・労務政策に対するチェック機能・自浄機能が働かなくなっている事も指摘しなければならない。それは、本投稿執筆時点で、当該事故に関する公式声明を出したのが、JR関連4労組(JR総連・JR連合・国労・建交労)の中で、JR総連とJR連合の2組合だけだった事からも伺われる。かと言って他の2組合について当事者意識の欠如を断ずるのも、私は聊か酷であると思う。いずれも自組合の案件に手一杯で、国労に至っては就労闘争や解雇後の生計維持が最優先課題であり、事故の事まで直ぐには手が回らないというのが実情ではないかと思われる。その中で、労組ではないが、信楽鉄道事故遺族を中心に立ち上げたNPO法人の鉄道安全推進会議(TASK)が、遺族の立場から公式声明を出しているのが目を引く。
 http://www.jr-souren.com/statemnt/050426.htm
 http://homepage1.nifty.com/JR-RENGO/050426kenkai.pdf
 http://www.tasksafety.org/jiko050425/index.htm

 いずれにしても、この中で最も断罪されるべきなのは、JRによる営利偏重・人間不在の経営・労務政策であり、当該企業の非人間的な企業体質である事は明らかである。
 憲法違反の反動的・暴力的労務管理は、何も戦前の「たこ部屋」や、武富士などの特定業界・一部企業に限った事ではない。日本の大企業の中でも大なり小なり広く見られる事例である。その中でもとりわけJRは、NTTと並んで、民営化に伴う資本主義・新自由主義的労務管理が横行している企業である。今回の事故は、その中で起こった「完全な人災」であり、そういう意味では「起こるべくして起こった事故」であるとも言える。事故の被災者は、運転士・車掌も含め、全て犠牲者である。今回の事故を機に、JRの非人間的企業体質が、白日の下に晒され徹底的に糾弾され、改革されなければならない。


  「運転士責任論、置石説、宴会・ゴルフ」を巡って

私は、今日もあくまでこの話題を  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月 3日(火)11時09分7秒
※もう少しJR脱線事故の件で補足をしておきます。特に後の2項目については、JRの不作為・不当労働行為が余りにも明らかな今回の脱線事故については、幾ら何でもイラク人質事件の時の様な「運転士・労組バッシング」などは起こらないだろうと最初思っていたのですが、どうやら甘かった様です。この期に及んでもまたしても醜い「自己責任バッシング」が見られる状況については、私は正直言って、呆れ果てています。


【フェイルセーフ】

 「フェイルセーフ」(fail-safe)という考え方があります。若し何らかのトラブルで事故が起こった場合でも、その被害が最小限に食い止められる様なシステムになっている、そういう仕組みの事を指すのだそうです。この前拙板でも紹介したサイト「闘争団とともに 人らしく」管理人の「特急たから」さんが、今回のJR福知山線脱線事故に寄せて、このフェイルセーフについて言及されています。

> 鉄道では車両や設備が故障した際にも、最も安全な故障の仕方をするように設計されています。たとえば車両であれば、故障時には自動的にブレーキがかかって停車するように、信号機であれば故障時には自動的に赤になるように設計すること…それが「安全的失敗」であり、安全な乗り物としての鉄道の威信を高めたフェイルセーフ思想の根幹を成しています。

> 新潟県中越地震の時、上越新幹線の脱線事故が起き、世界に衝撃を与えましたが、あのとき、地震検知装置(通称「ユレダス」)の作動によって架線への給電が止まり、また運転士も「最も安全な取り扱いをすること」というフェイルセーフの思想を守り、非常ブレーキをかけて列車を止めようとしました。結果的に脱線は避けられませんでしたが、ハード(設備)、ソフト(人間)の両面からフェイルセーフという安全の根本原則に忠実であろうとした上越新幹線事故と、完全にフェイルセーフを無視したJR西日本の事故は、脱線という結果は同じであっても、全く性質の違うものです。
 http://www.geocities.jp/aichi200410/amagasaki.html

 目先の利便性と金儲けの事ばかり考えて、わざわざきついカーブに線路を付け替えたり、運行ダイヤはそのままにして停車駅だけ増やしてみたり、スピードを出すためにわざわざ壊れやすい軽量車両にしてみたり、個人の列車遅延を責め立てるだけで遅延した時のマニュアルすら整備していなかったり・・・JR西日本は、何かもう「意図的にフェイルセーフの原則に反する様な事ばかりやってきた」としか思えない。


【個人の所為?】

 JR脱線事故に関して私がこの間主張してきた事は、「プロ奴隷」に言わすと「個人の責任に帰する部分については頬被りして、何でもかんでも会社の所為にしている」のだそうです。
 事故を起こした運転手の適性・能力にも、勿論問題はあったかも知れません。何も問題が無ければ今まで3回もオーバーランしたり、乗客から通報されたりしませんから。若し仮にこの運転士が、もうどうしようもない、端にも棒にも掛からないボンクラであったり、勤務態度が無茶苦茶な素行不良人物であったならば、「日勤教育」や「草むしり」もやむを得ないでしょう。しかし、実際はそうではないでしょう。彼は幼い頃から電車の運転士になる事を夢見てJRに入社し、頑張って運転士試験にも合格したそうです。しかしいざ運転士に成ってみると、いろいろとトラブルを起こしました。こういうタイプの人って、はっきり言ってどの会社のどの現場にも居ます。多分この運転士は、「機を見て敏」というタイプとは逆の、動作の呑込みは遅いけど、時間を経て確実に技術をマスターしていく「大器晩成」タイプではなかったのかなあ、という気がします。JRは目先の金儲け本位で動いている会社ですから、「即戦力」を使い捨てする事しか考えていない。「即戦力」タイプ・「大器晩成」タイプと、部下の性格に応じて指導のやり方を変え、「各人の能力を最大限引き出す」いう発想などは、露ほども無いのです。要領の良い「即戦力」タイプではなかったからというだけの理由で、周囲が寄って集って虐めまくってプレッシャーを与え続けた結果が「3回もオーバーラン」であり、その行き着く先が「今回の大惨事」ではなかったか−私はそう思います。「指導如何によっては全然死ななくても良かった人を、寄って集って殺した」JR資本の責任は、いくら追及しても、しすぎる事は無い!


【労組が安全に取り組んでこなかった?】

 これも「プロ奴隷」が最近よく持ち出してくる「屁理屈」。しかしこれはそもそも、「労働組合とは何ぞや」という常識的な事すら理解していない戯言。これについては色々言いたい事があるのですが、先ずは最低限、次の基本線だけ。

(1) 労働組合というのは、自分の労働力しか売るものが無い、資本家に対しては圧倒的に不利な立場にある労働者が、資本家・経営者とも対等に賃金・労働条件等の交渉が出来るように、法律で保護され法人格を与えられた組織。会社の、経営や業務組織の下請け・QCサークル・親睦会なんかとは、組織の性格・成り立ちからして全然違います。
 「労組が安全に取り組んでこなかった?」、アホか。労組はそもそも、そんな議論をする所ではない。そんな議論は、会社組織の中の、業務改善委員会といった所でこそすべき物。仮に労働組合が労働安全衛生について会社に要求する場合でも、その基本はあくまでの「自分達の安全・生活・権利を守る」という立場から為されるのです。そういう意味では、純粋に業務効率性の立場から業務改善の取り組みが為される、業務改善委員会とかQCサークルによるそれとは、同じ様な事を要求していても全然性格が違う。組織の性格が違うんだから、違って当たり前。それ以前に、業務改善とか労働安全衛生とかは、第一義的には会社の責任で行うもの。労組に協力を要請する場合でもあくまで、責任主体は会社。経営責任についても、会社の完全な専権事項。だって一介の労働者が口出しできる事柄ではないのだから。決定権の無い事について連帯責任だけ押しつけてくるのは、卑怯以外の何物でもない。但しいくら専権事項であっても、それが労働者にとって不利益変更を伴う場合や不当労働行為に該当する場合は、労働組合として異議を申し立てる権利は当然ある。こんな事などは、労働組合法や労働安全衛生法の条文を少し読めば、すぐにわかる事なんだけど。

(2) 労組は労組の立場から、今までも過密ダイヤや日勤教育に対する是正要求を出してきた。それを弾圧してきたのは当局・資本の側。仮に労組の力量不足を指摘するにしても、それは労働基本権擁護や組合運動発展の見地から行われるべきもの。そうではなく単に組合の粗探しの為に、弾圧側の当局ではなく被弾圧側の労組を糾弾するのは、「お門違い」「為にする議論」でしか無い。

 上記の基本線は踏まえた上で、労組が自分達の賃金・労働条件だけでなく職場の安全確保の為にストを打つ事については、大賛成。JRで行われている安全無視・不当労働行為の数々はひとりJR労働者だけに限った事ではなく、他で働く労働者や私鉄も含めての公共交通利用者全てに直接関わってくる問題ですから。


※JR脱線事故については、一旦エントリーをまとめたいと思っています。この後特に情勢の急展開が無ければ。そういう事なので、原さん・南雲さん、もう暫くご辛抱の程を。
※今度のJR西日本の株主総会には、出来れば私も何らかの形で意思表示なり出来ない物か、現在検討中です。

JR不祥事報道−現場労働者・労組バッシングに問題を摩り替えさせてはいけない。  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月 8日(日)01時10分49秒
 ここ数日、尼崎での脱線事故を契機に、堰を切ったようにJR内部の体質がメディアで報道されています。

・救助不参加運転士、上司が定時出勤求める 脱線知りつつ(朝日新聞、5月5日)
 http://www2.asahi.com./special/050425/TKY200505040164.html
・延べ185人、事故発生後にゴルフや旅行 JR西日本(同上、5月7日)
 http://www2.asahi.com./special/050425/TKY200505060173.html
・尼崎脱線事故:電車に乗っていた運転士2人のやりとり公表(毎日新聞、5月4日)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/amagasaki/news/20050505k0000m040059000c.html
・事故後ボウリング大会 状況知りつつ天王寺車掌区の43人(産経新聞、5月5日)
 http://www.sankei.co.jp/news/050505/morning/05na1002.htm
・車掌、救助措置怠る 乗客に指摘され事故報告(神戸新聞、5月5日)
 http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou05/0505ke93770.html

 JRの、上記の様な官僚的・非人間的体質については、国鉄分割・民営化以降ずっと、旧国鉄清算事業団職員の不採用問題や、横浜人活センター事件などの人権侵害事件、信楽高原鉄道事故・救急センター職員死亡事故などを通して、今までも指摘されてきました。こういう体質については、事故遺族やJR利用者が、内部の良心的労働者とも連帯して、JRの経営民主化を迫っていかなければならない事は、勿論言うまでも無い事です。

 ただ気になるのは、昨今のメディア報道に見られる「JR不祥事暴き」が、何か「トカゲの尻尾切り」、もっと有体に言えば『官僚・反動職制・御用労組(多数派のJR連合)幹部たちによる積年の馴合い・不祥事の問題を、末端労働者バッシングにすり替えている』様に感じてならないのです。

 まず、出勤途上に当該事故車両の4両目と6両目に乗車していて事故に遭遇したJR職員(森ノ宮電車区、尼崎電車区所属の運転士)が、何ら負傷者の救護措置をとらずに職場に出勤した問題について。そのJR職員の行動も、確かに道義的に見るならば、「何も問題なし」では済まされないかも知れません。しかし、その運転士はあくまでも、職場の上司に事故の第一報を行い、それに対する「とにかく職場に出勤して来い」という上司の指示に従ったまでです。真に責められるべきは、当の運転士ではなく「とりあえず自分処の現場を回そうとした」上司の姿勢であるし、若し「そう指示しなければ現場が回らない」状況であるならば(これは大いに在り得る事だと思う)、そういう状況を放置してきた経営幹部こそが最大限責められるべきではないか。また、その時に上司は当該運転士自身の無事を確認はしたという事ですが、これも事故には遭遇している訳だから、状況次第ではたとえその時は外傷が無くてもまずは病院で受診させて後遺症の有無を確かめてから出勤させる必要があったのではないか。「運転士の職業人としての道義性」云々は、その次の問題ではないのか。

 次いで、事故当日前後の飲み会・懇親会・ゴルフコンペの類。これらは全て、平日の日中に、区長らが中心になって参加した行事でしょう。まず責められるべきは、そういう管理職の姿勢・在り方ではないのか。それを恰もJR職員として意図的に十把一絡げにした上で、職員や労組に対してバッシングを行っている様な気がしてならないのです。

 大阪市役所の職員厚遇問題が、正にそれと同じ構図でしょう。大阪市では、長年オール与党体制が続く中で、官僚と多数派御用労組幹部が癒着してきました。官僚は官僚で、助役がそのまま市長の座に収まる「世襲制」が維持されてきました。選挙の時には労使一体で「ぐるみ選挙」を行い、その見返りとして、二重手当てやカラ残業、スーツの私用着用などを見逃して(泳がせて)きました。そして、一旦事が発覚したら今度は掌を返すように労組バッシングを開始して「小悪叩き」を行う事で、「本当の巨悪」であるATC・WTCや舞洲・咲洲開発などの乱開発利権や業者との談合・癒着の実態から目を背けさせる様な情報操作を、マスコミは行ってきたのではないでしょうか。

 私は「小悪だから免罪しろ」と言っているのではありません。「小悪も巨悪もともに(というより、寧ろ巨悪の方こそ)追求されるべき」「小悪のみに目を向けさせられる余り、巨悪を見逃してはいけない」と言っているのです。とりあえず、JRの不祥事に関しては、『現場労働者・労組バッシングに問題を摩り替えさせてはいけない』『官僚・職制・一部御用労組幹部による馴合いと、その下での闘う労働者や少数派労組への不当労働行為や、「日勤教育」に見られるような非人間的な労務管理こそ追及していかなければ、JRは絶対に変わらない』『労組も、真に労働者の側に立とうとするのなら、遺族や利用者とも連帯して、JRの経営民主化に立ち上がらなければならない』という事です。

脱線事故関連  
投稿者: metas  投稿日: 5月 8日(日)18時45分45秒
注目すべき記事は社会主義者さんが大体紹介されているので、
ちょっと別の方面から

http://eritokyo.jp/independent/nagano-pref/aoyamateiichi-JRwest1.html
技術欠損事故の可能性を探る!?

「今の日本の圧倒的多くの大マスコミは、責任追及にはきわめて元気だが、頭を使う原因究明には当局発表以外、ほとんど見るべき記事、報道がないのが残念である。」
マスコミの技術関連の報道のお粗末さに関しては今に始まったことではないのですが、
私としてはやっぱりこういう情報も欲しいところ。

それに、
http://plaza.rakuten.co.jp/fujinofumoto/diary/200504290000/
ここで指摘しているように、末端の人間の持てる意識にもかかわってくることです。

もう一つ、
http://www2.kanazawa-it.ac.jp/knl/
ここには先例としてのドイツ高速鉄道、地下鉄日比谷線の事故の話があります。
鉄っちゃんの方々(誰だろ?)はもうチェックされているかもしれませんが。

ついでに
>また、事故直後の「置石説」の発表などを見ても、(以下略)
(まこと さん)
線路に実際に「白い粉」が見つかったのに、(後にバラストと判明しましたが)
置石を疑わなかったら、それこそ「あまりにも調査能力が無い」ということにしかならないでしょう。
調べる事自体は「しなければならないこと」であり、
それこそ考えられるあらゆる方面から検証しなければならないのは当然のこと。

まあ、アレだけの規模の事故で、「テロ」を疑わなかっただけでも、
警察を初めとするセキュリティ意識の低さが現れていますが。

「置石説」−発表の仕方こそが問題  
投稿者: まこと  投稿日: 5月 8日(日)22時54分31秒
この一文はスパルタカスさん宛てですが、他人の意見にレスを付ける時には文章をよく読んでからにされた方がいいような気がします。

>あらゆる方面から検証されるのは当然であって、置石説まで責任逃れとするのはどうかと思う。それ自体は特に問題とされるべきではなく、調べる事自体は間違いじゃない。(スパルタカスさん)

>置石を疑わなかったら、それこそ「あまりにも調査能力が無い」ということにしかならないでしょう。
>調べる事自体は「しなければならないこと」であり、
>それこそ考えられるあらゆる方面から検証しなければならないのは当然のこと。(metasさん)

確かに私の投稿で置石説に触れた箇所はわずかだけど、私はこう書いていますね。

<また、事故直後の「置石説」の発表などを見ても、JR西日本という企業自体がモラルハザードしているということの証左だと思いますね。>

「末端社員の体質だけを責めても意味は無い  投稿者: まこと  投稿日: 5月 8日(日)09時18分6秒」

私は「発表」に争点にしているのであり、一体どこに「調べる事自体」が「間違い」などと誰が書いているでしょうか。別に「置石説」の検証を目的にした投稿では無いので<事故直後の「置石説」の発表など>の一言で済ませましたけど、検証自体が間違いだなどとは何処にも書いてありませんね。

「置石説」を含め、あらゆる可能性を考慮して調査を行うこと自体は当然でしょう。しかし、JR西日本が「置石説」の可能性に言及したのは事件当日の夜、まだ事故から十時間前後しか経過していない最中であり、そんな状況下では「置石」の可能性を裏付ける十分な検証作業を行うことなどできるはずは無く、現にJR西日本サイドも<確証が無い>旨を断りながら記者会見で明らかにしていたわけです。

事故の当事者企業ですら事実関係の確認が取れていない情報を無責任に開示する体質を問題にしているのです。これは企業としての情報危機管理の観点からみてもおかしな行為だし、遺族の神経を逆なでするものでもあると思います。

だいいち置石が事件の主因か否かではJR西日本側の企業責任の程度も相当変わってきますから、あの時点でわざわざ事実関係の確認も取れていないのに「置石説」の可能性に言及したことは、JR西日本に何らかの思惑があったと疑念を持たれても致し方無いし、実際そういう指摘を行う専門家もいますよね。

その後、国土交通省は「置石説」には否定的な見解を示しています。

「情報開示責任」とは単に闇雲に情報を開示することでは無く、開示する情報の質や開示後の責任も問われます。そういう意味では、事故原因の鍵を握る重要情報は一定程度の事実関係の検証作業を終えてから公表するのがJR西日本に求められる責任であるし、「置石説」発表を巡るJR西日本の一連の対応は十分に非難に値すると考えます。

【暴言】労働者が時間外にボーリング・ゴルフをやろうが、焼肉で一杯やろうが自由。  
投稿者: 鍋山  投稿日: 5月 9日(月)00時14分18秒
>JR不祥事報道−現場労働者・労組バッシングに問題を摩り替えさせてはいけない。  投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月 8日(日)01時10分49秒

社会主義者さんの言う通り
「事故の犠牲者の救援活動」をするのも自由=ボランティア
しかし、「ボーリング・ゴルフ・焼肉」も自由参加でなかったようで情けないが・・・
誰か一人でも、「すぐに中止して救援活動を!」とはいっても、その一人が居そうもないJR西会社ではあるが。

あらためて、マスコミはひどい。
JR西会社の会見での記者の質問も「読者を代弁したような」感情的なもので、的を射ていないし、お前の新聞社で何か起こって〜ただ一人異論をとなえることができるのかと言ってやりたいようなヤツばかり。

JR西会社が「安全対策」にどれだけ経費を出していて、JR他社や私鉄と比べてどうなのかとか。
新型ATSは1台いくらするのか。JR西全体の危険箇所に設置するのにどれだけ経費がかかるのか。
ラジオ情報では、旧型ATSは1台・30数万円だという。新型ははるかに高いというが、10倍でもJR西会社にとって高いとは言えないだろう。

およそ、基本的なデータの取材もしてないんじゃないの。
JR西会社に、何人従業員がいて、各労組の組織率とか。

それでも必要な世間様への目配り  
投稿者: 原 良一@自分も元鉄道マニア  投稿日: 5月 9日(月)12時31分15秒
 sinken様
 社会主義者様
 まこと様
 kouhei様
 鍋山様
 むじな(酒井亨)様

 JR福知山線の事故の件ずっと考えていましたが、貴板のここ2〜3日の論調には違和感を抱かせる部分があります。

>JR不祥事報道−現場労働者・労組バッシングに問題を摩り替えさせてはいけない。
(社会主義者様 5月 8日(日)01時10分49秒)
>末端社員の体質だけを責めても意味は無い
(まこと様 5月 8日(日)09時18分6秒)

 ご主張の趣旨はわかるし、同意もしていますが、ちょっと危なっかしい感じがします。

 私は、世論の関心と支持だけが頼りという市民運動に参加してきた過程で、「世間の目」が大変気になります。風向きが一転して罰震愚(バッシング)を指向された時の怖さも、イラク人質事件の高遠組+2、小泉猪再訪朝後の拉致被害者家族会と身に沁みています(叩かれた両者に感情移入していたので…)。

 事故後のボウリング、宴会との報を聞いて私が連想したのは、2000年の警察不祥事でした。新潟県柏崎市で佐藤某による少女監禁事件という重大事件が発覚したのに、新潟県警が警視庁からのキャリア官僚への雪見酒接待を続けていて袋叩きにあった例の事件です。この時も、接待は一応時間外だったはずですが、それで許されるわけもなく警察はタコ殴りに殴られ続けました(結局、接待を受けた官僚が退職金返上で詰め腹、実質懲戒免職)。

 トップが、末端に責任転嫁しようとしているのはわかるし、世間様真理教に安易に迎合すべきでもありませんが、今回の場合、sinken様ご紹介の下記のJR西日本労組のように世間にひたすら恭順、恐縮している姿も見せておかないと、まさに経営陣の仕掛けた罠に嵌るだけの思うつぼ、それ以前に会社の存続自体も危機に陥るでしょう。社内の対立や不当労働行為が何であれ、乗客が実際に生命を託すのは、末端の運転士や車掌なのだから、彼らに不信や敵意が向けられてしまったら、たとえ線路が復旧しても客離れが止まらないと考えるからです。

・「弁解余地のない事実発覚」に対するお詫び
http://www.jrw-union.gr.jp/news_050506.html

 その意味では、鍋山様の
>【暴言】労働者が時間外にボーリング・ゴルフをやろうが、焼肉で一杯やろうが自由。
(鍋山  投稿日: 5月 9日(月)00時14分18秒
はあまりに剣呑、私には世間の顰蹙を招く放言ならぬ「呆言」としか思えません。

 警察にしろ、鉄道にしろ24時間体制の仕事だし、今回のような非常時にはオフ返上で参集しなければならないはず(実際、非常呼集も行われていた)だし、現場では雇用関係にもない一般市民が、自発的に救護に参加していたのだから、正社員たちの道義的責任は免れないと思うのですが…。

 あと、列車に衝突されたマンションは、JR西日本が買い取って、社長、会長ら幹部の社宅にして責任を取らせるといった「パフォーマンス」も一法だと思います。

JR西日本鉄道事故関連  
投稿者: まこと  投稿日: 5月 9日(月)21時47分25秒
【metasさん】

>心理分析のサイドから(metasさん)

ただ、「置き石」説の一件では、当の被害者・被害者遺族からもJR西日本の挙動への不信感を口にする向きもありますが。

それと、私らの世界には「カスタマ・リカバリー」なる考え方があります。
有体に言えば、JR西日本が企業として存在する限りは、例の事故で失ったお客様の信頼を回復して収益を確保しなければ社員も株主も「メシの食い上げ」であるわけで、JR西日本にとって事故後の対応というのは顧客信頼回復の場でもあるのですが、JR西日本は根拠に乏しい情報を世間に公表したことで顧客の信頼をより一層損ねた、とも考えられます。

というか、JR西日本が真摯に説明責任を果たそうと考えているなら、事故から少し時間も経過し、情報もある程度収集し得た今こそ積極的に情報開示するはずでしょう。ところが、ここ最近のJR西日本側の記者会見では事故に関する情報は殆ど明らかにされていません。

これは警察や国土交通省が捜査・調査に入り、企業責任が問われる段階に入ってきたための挙動なのでしょうけど、こうした状況からみても、例の「置き石」の件の発表も説明責任を果たすためとは言い難いのではないかと。


【鍋山さん・原さん】

正直言って、ボーリング・ゴルフの一件については、私は批判されても仕方が無いと考えています。というのも、ボーリングは互助会主催で、ゴルフは支部長杯(?)の冠付き、両者ともいわば職場の準公式的イベントであって、単に職場の気の合う仲間同士で個人的にレジャーを楽しんでいたという訳ではないので、その場に居る管理職などがイベント中止を促すのが筋ではないのかな、と思うんです。

ただ、

>下記のJR西日本労組のように世間にひたすら恭順、恐縮している姿も見せておかないと、まさに経営陣の仕掛けた罠に嵌るだけの思うつぼ、それ以前に会社の存続自体も危機に陥るでしょう。(原さん)

>・「弁解余地のない事実発覚」に対するお詫び
><http://www.jrw-union.gr.jp/news_050506.html

に関してですが、原さんが紹介されているのは「西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組)」の「お詫び文」ですが、労組のやるべきことは「世間にひたすら恭順、恐縮」では無く、事故の背景にある職場環境や安全管理体制を社会に告発し、チェック機能を果たすことなのでは。

・・・もっとも、「連合型労使協調組合」にチェック機能なんぞ期待するのは「幻想」だということは私もよ〜〜〜く分かっていますけどね。私も昔、○○同盟系の組合の末端役員やっていた頃に痛感していますし(苦笑)。 

>警察にしろ、鉄道にしろ24時間体制の仕事だし、今回のような非常時にはオフ返上で参集しなければならないはず(実際、非常呼集も行われていた)だし、現場では雇用関係にもない一般市民が、自発的に救護に参加していたのだから、正社員たちの道義的責任は免れないと思うのですが…。(原さん)

同感です。
駆け付けられる社員は「人として」ヘルプに入るべきだと思いますし、それが鉄道労働者への信頼にも結びつくのではないでしょうか。

--------------------------------------------

<参考リンク>

・「国鉄労働組合変遷略図」
http://marukyo.cosm.co.jp/KEIZU/JR-keizu.html

(*注)上掲リンク先の図表中の「全動労」は、その後再編を経て、現在は「建交労」。

・【JR連合(旧鉄労)系】西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組)−組織率9割近くの多数派組合・旧同盟系の典型的「労使協調型組合」。
http://www.jrw-union.gr.jp/

・【JR総連(旧動労)系)】JR西日本労働組合(JR西労)−少数派。日勤教育の実態などを告発。
http://www2.odn.ne.jp/nisirou/

・【国労】国労西日本
http://www.kokuro.net/

・【全労連系】建交労西日本鉄道本部
http://www.geocities.jp/ctgnishi/


--------------------------------------------

【運転手について】

国土交通省の事故調査委員会が、例の運転手の事故時の心理状態を解明するための専門部会を設置することを決定したようですね。

http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050509i101.htm

業界は違いますが、私も従業員のトレーニングプログラムを組むことがありますが、報道されているような日勤教育は社員にストレスや緊張感を与え、逆効果でしかありません。従業員をトレーニングする時には精神的に追い詰めないこと、殊更にペナルティなどに言及しないこと−これは「教科書的」常識だと思います。

事故を起こした運転手は既に2回ほど処分を受けた前歴があり、更なる処分を恐れたがための精神的圧迫感が事故の背景にあるのではなかろうか−私も社員の精神的ストレスのために、普段では考えられないようなケアレスミスを連発させる現場に何度も立ち会ったことがあります。

ぼんくらおじさんのように<今時の若者の病理>といった類の「俗論」に飛び付くが如き安易な見解には疑問を感じます。

国鉄・JR問題の現局面をどう捉えるか--若干の自己批判と問題整理  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月14日(土)01時02分42秒
(1) 何故、今「国鉄・JR問題」なのか?

 まず本題に入る前に、「国鉄・JR問題」という呼び方をする理由と、何故当該問題に私が執拗に拘るかについて、書いておきます。
 JR福知山線・尼崎脱線事故で明るみになったJR西日本の経営・労務の在り方について、私が、単に「JR西日本問題」「JR問題」と呼ばずに「国鉄・JR問題」と呼ぶのは、当該問題が正に国鉄分割民営化の「行着く先・成れの果て」であると看做しているからです。また、何故この問題に執拗に拘るかと言えば、当該問題が「現代リストラの原点」「新自由主義グローバリゼーションの矛盾の象徴」であり、また「それを推し止める事が出来なかった日本の労働運動の弱点を正視し抉り出し、そこから次の闘争の糧を引き出さなければならない」という私の問題意識とも関わっているからです。

(2) 若干の自己批判を踏まえての問題整理の必要性について

 前記の問題意識を踏まえた上で、この「国鉄・JR問題」の現局面についてどう捉えるか、私の頭の中で整理していきたい、その中で「1047名」「四党合意」の問題、今のJR労働運動に対する見方をハッキリさせて置きたいという思いがあります。それが、先日少し触れた「当該問題についての解説」をアップする理由です。
 そういう問題意識を持ってこの間当該問題に取り組んできたのですが、その中で、今から思うと当初の認識の中でここは少し違うのでは−と思う点が幾つかあります。そういう点について、少し自己批判というか、自戒を込めて書いておきます。

1.JR総連による尼崎事故告発の一面的美化に走ってしまった点について

 JR総連傘下のJR西日本労働組合(JR西労)が、今回の尼崎脱線事故について、いち早くJRの経営偏重・反動的労務管理について告発を行いました。私は、この事に対して「'80年代の国鉄分割民営化阻止・不当解雇撤回闘争の時に、自分達の組織温存の為に当局に寝返って当該闘争を裏切った」という「JR総連の出自も知った上で、今回は人権闘争の観点から積極的にJR総連を支持」しました(5月7日付拙稿「JR関係労組の脱線事故声明について」)。しかし、その後国鉄・JR闘争について調べ始め、JR総連が過去の闘争で果たし、現在も多数を握っているJR北海道・東日本で果たしている客観的役割について考察を深めていく中で徐々に、前述の認識は見直さざるを得ない−という思いが強まってきました。現在は、JR総連が当該JR資本の非民主的・非人間的労務管理を告発した事自体は客観的に評価しつつも、当該労組が過去果たしてきた反動的役割(国鉄闘争への裏切り、大月・東中野事故の隠蔽など)に対して未だ何も自己批判も総括も行っていない点については今後も批判していかなければならないし、何よりも国鉄分割民営化の問題を抜きにして各労組への評価も在り得ない−という認識に立っています。これはJR総連だけに限らず、国労や建交労、千葉動労その他の組合に対しても同様です。現在はJR内の各労組に対して、もっと客観的・歴史的に分析・評価していく事の必要性を痛感しています。

2.「反リストラ」を強調する余り、労働者の腐敗・堕落の危険性を看過してしまった点について

 事故後のマスコミ報道の中で、事故車両に乗車中の2名のJR社員(それぞれ尼崎電車区・森之宮電車区所属)が救助活動に参加せずに職場に出勤した事や、事故当日に多くの社員(天王寺車掌区所属)が事故発生を知りながら懇親会に現を抜かしていた事が取り上げられました。私はそれに対して、前者については上司の出勤指示があった事、後者については業務外の活動である事と、末端社員は職制から半強制で参加させられていた事で以って、末端社員の責任を事実上免罪する立場に立っていました。これも今から考えると、<「反リストラ」を強調する余り、労働者の腐敗・堕落の危険性を看過してしまった>のでは無かったのか、つまり<労働者である前に人間である>事を忘れていなかったか、という思いがあります。勿論言うまでも無く悪いのは腐敗・堕落し労働者虐めに走る反動職制です。ただその事を強調する余り、その腐敗・堕落・馴れ合いを食い止められなかった「労働者自身の弱さ」を見過ごしてしまったままでは、また第二・第三の尼崎事故の犠牲者を生む事になり、労働組合への弾圧を跳ね返していく事も出来ないのではないか−という事を痛感しています。実際、事故現場では乗客同士や近隣住民が誰に強制されたのでもなく自発的に救助活動に参加しているのですから。労働者がプロレタリア・ヒューマニズムを欠落させたままで、一体どうやって団結を勝ち取り弾圧を跳ね返していけるのか。

 以上の点を踏まえた上で、国鉄・JR問題の現局面を自分自身の問題としてどう捉えるか、引き続き考えて行きたいと思っています。

Re. 国鉄・JR問題の現局面をどう捉えるか  
投稿者: 原 良一@自分も元鉄道マニア  投稿日: 5月14日(土)08時10分58秒
 私の場合、元鉄道マニアとはいってもメカヲタ系(例えば以下の系統)で

・かけやま写真館
http://homepage2.nifty.com/kakeyama/index.htm

労働問題は素人の域を出ないのですが、社会主義者様の真摯な姿勢に感じるものがありました。

> 何故、今「国鉄・JR問題」なのか?

 この問題、私にとってもジレンマになっています。RENK東京の仲間に国労の支援に参加している者がいて、私も経営側の余りの国労差別に義憤を感じていて、彼が持ってくる「国労ラーメン」を買って、闘争資金作りに協力したことも何回かあります(でも正直、美味しくはなかったなぁ(>_<))。不当労働行為が歴然で、各地労委、中労委と勝利していたのに裁判ではまさかの敗訴、石を流して木の葉を沈めるような「四党合意」と不条理感も強く感じています。

 でも経営としては採算が取れてはいない以上、国労側の主張が通り、彼らが「元の勤務地、元の職場、元の給料」を勝ち取ることは、私たちの税金で彼らの生活を支えることに他ならず、何で彼らだけという不満が一方であることも事実です。

 これは作家井上ひさし氏らが当時から言っていたことですが、国鉄の赤字の主たる原因は、政治家たちの「我田引鉄」にあり、末端労働者に責任はありません。それは事実としても、赤字で立ち行かなくなった事業体に多額の国費を注ぎ込んで再建するにあたって、労働者側が何の負担も負わなくていいのかという納税者としての別の疑問があるのもまた事実です。

>「反リストラ」を強調する余り、労働者の腐敗・堕落の危険性を看過してしまった
>のでは無かったのか、つまり「労働者である前に人間である」事を忘れていなかったか、
>という思いがあります(識別上、< >を「 」に替えています)

 私の5月9日付の「それでも必要な世間様への目配り」に対し、むじなこと酒井亨センセェから

>平社員にはオフの時間まで会社に忠誠を尽くすことを要求も期待もすべきではない。
などの批判がありました。(5月10日付)

 ところが、それからほどなく蒼星板(北朝鮮・拉致事件支援者掲示板)で、南米に単身赴任中のアンデスの声氏から投稿があり、むじなセンセェの主張が「実践」されている南米社会の荒廃ぶりとの対比で、

・蒼星板「二極対立を超えて」 投稿日: 5月10日(火)11時30分11秒 より
>まるで宗教のような、日本社会特有の強い社会倫理規定である。
>しばしばプレッシャーになるその規定が日本の高度緻密な社会を維持している。
http://8201.teacup.com/bluestars777/bbs?OF=30&BD=6&CH=5

と指摘し、平社員にまで高い労働規律を強いる日本社会の優位性を主張しました。

 さらに、11日の「日刊スポーツ」(紙上でもWeb上でも)で、事故当時、近隣の日本スピンドル製造という企業が、工場の操業を止めて150人の社員、社用車を総動員して負傷者の介護や搬送に協力して地元で絶賛され、就職戦線でも一躍脚光を浴びたとのことです。

・なにわWEB大阪日刊スポーツ
日本スピンドル製造、就職戦線で熱視線
http://osaka.nikkansports.com/otn/p-ot-tp6-050511-0032.html

 加えて、昨13日の「夕刊フジ」の駅売り見出しによると、株価まで急騰した模様です。

 今回の救護活動は、同社社長の陣頭指揮とのことです。まさか計算ずくだったとも思えませんが、工場の操業停止の損失に余りあるイメージアップという実利を得たことで、むじなセンセェの言う

>本来の意味での「営利主義」
>真の営利とは何かをわかって(事故まもない4月28日付)

を地で行った格好です。

 日刊スポーツでも指摘していましたが、他者によるこのような活動がある以上、対比する形でJR西日本側は、平社員に到るまで道義的責任や姿勢やモラルを批判されることは避けがたく、社会主義者様のいう「プロレタリア・ヒューマニズム」を各自高める必要性を痛感しました。

 一方、私が批判した鍋山様から、「あれはメディア批判が趣旨だった」との釈明がありました。

 その後、昨日になって記者会見で「社長を呼べ」と声を荒げていた読売新聞記者の件で、読売側が不適切な言動があったとの謝罪記事が13日付の同紙に掲載されました。

・読売の謝罪を報じる毎日新聞ネット版
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20050514k0000m040103000c.html

 私が指摘した世間様真理教の矛先が読売らメディアに向けられ、慌てて謝罪した格好です。

国鉄・JR闘争を闘う労働者、そして我々の主体性は如何に  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月14日(土)10時31分44秒
 ここで先の拙稿「国鉄・JR問題の現局面をどう捉えるか--若干の自己批判と問題整理」をアップするに当たって、参考にさせてもらった諸投稿の一つを紹介しておきます。

・さざ波通信・一般投稿欄
 「JR西日本列車脱線事故」を考える(2005/05/08 一労働者J 50代 会社員)
 http://www.linkclub.or.jp/~sazan-tu/

 当該投稿でも先ず、「他のまともな左派系の投稿」と同様に(注:最近は改善されたようですが、それまでの「さざ波通信」には時々「此処は本当に共産党員が自主的に運営しているサイトなの?」と思うような歴史修正主義者バリの投稿が時々散見されていましたので)、JRの非民主的・非人間的・反動的労務管理の実態が告発されていました。「1分30秒の遅れ」「"見せしめ的"日勤教育」「稼ぐが最優先の支社長方針」等々。中でも、下記の労務管理の実態については、私も改めて憤りを感じました。

(引用開始)
*1水平展開:駅ホームで3時間の起立敬礼。入って来た電車運転手を「私はオーバーランしました。皆さんも事故の無いようにお気をつけ下さい」と云いつつ迎える。
*2出場遅延防止チェック:「オーバーランをした○○です。遅刻にご注意を」と言って、同僚運転手に電話をかけ続ける。

(引用終了)

 ただこの投稿の優れた所は、他の投稿と違って、そういう反動的労務管理の強行を許してしまった労働者側の主体性の弱さも率直に指摘した上で、それを労働者側が乗り越えていく展望についても言及していた点です(下記参照)。

(引用開始)
労働者の荒廃
 社員はどうか。
 高見運転手と車掌がオーバーラン直後に行ったことは、ランの距離を短くする口裏合わせとスピードアップである。「オーバーラン」や「ダイヤ遅れ」を小さく描き、自分らの責任を小さくしようとした。そのために事実を偽り嘘をついた。JR西日本経営者と同じである。
 事故列車の4両目、6両目に乗っていた2人のJR西日本社員は、事故直後、「事故について携帯電話で上司に報告したが、上司から特別の指示がなかった」ので、各職場に出社した。たくさんの人が死に、たくさんの人がつぶれた車両に挟まれ救いを求めている、その現場から、他でもない自分の会社が大事故を起こした現場から、2人は立ち去った。自己判断能力のない、上司の指示がなければ人命救助もできない姿をさらけ出しながら。よく考えてみれば、人命救助より自分の業務を優先した彼らの姿勢は、「安全より利益優先」の会社方針の、一つの体現である。
 事故当日、事故現場近くでボーリング大会と居酒屋宴会を敢行していた天王寺車掌区の社員(43人)の多くは、事故発生を知っていた。しかし、大会も宴会も続けられた。その内の幾人かは、「中止した方が良いのではないかと思ったけれど、上司に言えなかった」という。何で、言えないのだ!

 失われた批判力
 これら社員の行動の原因を、今のJR西日本経営層なら、社員個人の資質の問題に帰そうとするだろうが、それは許されない。ミスをすれば「見せしめと処分」をする制度や、ものを言わず従順に指示に従う社員を作ってきたのは、JR西日本の労務管理そのものだ。それが、職場から批判力を奪っているのだ。
 遡って、より本質的に指摘すれば、JRの職場における批判力の喪失は、国鉄分割民営化に始まっている。当時、国労は大多数の社員を組織し、分割民営化に反対した。時の中曽根首相は、「総評(国労)を潰す」と豪語し、実行した。政府の意を受けた管理職は、国労組合員に対し「脱退しなければ首を切るぞ」と脅し、脱退を強要した。わずか一年の間に、20万人いた国労組合員の内15万人が脱退した。その人達は再雇用され、従順となった*4。国労は一気に弱体化した。
 JRの職場における批判力の喪失は、国家的不当労働行為により作り上げられたのだ。

 *4:今の管理職の多くは、闘って、苦しんでいる国労の仲間を見捨てて来た人たちだ。その態度を、経営層は評価してきた。彼らは現在も、不当解雇され闘っている1047名の組合員を見捨てている。苦しんでいる人がいても、それがたとえ仲間であっても乗客であっても、見捨てられる行動は、JRにおいては決して間違った行動ではないのである。
(引用終了)

> 苦しんでいる人がいても、それがたとえ仲間であっても乗客であっても、見捨てられる行動は、JRにおいては決して間違った行動ではないのである。 

 これが、今のJR職場にはびこる一番の「病根」であり「国鉄・JR問題の全て」ではないでしょうか。そして、これは当該JRに限ったことではなく、雪印・日ハム・日航・郵便局・NTT・富士通・武富士・大阪市役所など、成果主義・拝金主義・資本の論理が吹き荒れる日本の公務・民間経営全てに存在する「病根」でもあるでしょう。小泉や竹中・奥田たちが米国ブッシュ・ネオコン帝国主義の傘の下で進める戦争・民営化・自己責任・弱肉強食政治の「行着く先・成れの果て」として。


  尼崎脱線事故から鉄建公団訴訟支援の立場へ

JR関係労組の脱線事故声明について  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月 7日(土)23時11分38秒
※5月3日付けで、標記表題・下記内容の拙稿を、「さざ波通信・一般投稿欄」と「四トロ同窓会・二次会」の2つのBBSに寄稿しました。前記2つのBBSとも、ごく一部の箇所で言い回しを変えた以外は全て同じ投稿のマルチポストです。

・さざ波通信・一般投稿欄
 http://www.linkclub.or.jp/~sazan-tu/
・四トロ同窓会・二次会
 http://6305.teacup.com/mappen/bbs?

---------------------------------------------------------
 この間、アフガン板(私が主宰するBBSの通称)ではJR福知山線の電車脱線事故を集中的に取り上げてきました(今日位からまた別の話題にシフトしつつありますが)。その中で、私の頭の中で若干未解明な点があります。

 この間出されたJR関係労組の事故に対する声明
・建交労西日本本部:「声明」(4月25日)
 http://www.geocities.jp/ctgnishi/fukutiyamajikoseimei.pdf
・JR総連:「JR福知山線快速電車脱線転覆事故についての声明」(4月26日)
 http://www.jr-souren.com/statemnt/050426.htm 
・JR連合:「列車脱線事故を踏まえてのJR連合見解」(4月26日)
 http://homepage1.nifty.com/JR-RENGO/050426kenkai.pdf
・国労:「JR福知山線列車脱線事故に関する声明」(4月27日)
 http://www.kokuro.net/800.pdf
・国労:「福知山線、脱線・転覆事故に関する国労西日本本部の考え方」(4月28日)
 http://www.kokuro.net/kokurounougoki.html
・「JR福知山線尼崎〜塚口駅間列車重大事故についての4組合共同申入れ」(4月28日)
 http://www.kokuro.net/801.pdf

 上記各労組の声明を読んでの私の感想なのですが、

(1) 国労の声明文が、「日勤教育」や「ダウンタイムの短縮」への評価の部分で、やけに「経営サイドに対して宥和的」ともとれるトーンで書かれているのが、気になります。
 例えば、国労の出した文書「福知山線、脱線・転覆事故に関する国労西日本本部の考え方」(05年4月28日)の中の「II乗務員教育等 (1)基本的考え方について」の項目の所で、

> マスコミ等で報じられている事故を起こした場合の「日勤教育」について国労は否定しません。
> 一部で起きている事象が全てと報じられるとするなら大きな過ちを犯してしまいます。・・・(以下、「定時運転の確保」「ダウンタイムの短縮」についての言及部分)
 http://www.kokuro.net/802.pdf

 上記の部分ですが、確かに一般論としては国労の言う通りであるし、鉄道会社で人の命を預かる仕事をしている以上、職場規律の弛緩を戒めるという立場に立った意志表明も当然といえば当然なのですが、今問題になっているJRの「日勤教育」なるものは「労働者イビリ」以外の何物でも無い訳で、それに対して上記の様な事故声明を出しても、現場の労働者の感覚として果たしてどこまで素直に受け入れられるものか甚だ疑問なのです。少なくとも私が国労組合員だったら、ちょっと受け入れがたい内容なのですが。「今の国労」は、かつて国鉄分割民営化と闘い各地の闘争団にその戦闘的伝統が継承されている「かつての国労」とは違うのでしょうか? 4党合意の受入れ以降、旧鉄労(現JR連合)の様な組織に変質してしまっているのでしょうか?

(2) それに対して、JR総連の事故声明は、一番労働者の感覚にフィットするような感じがします。実は私は、この福知山線の脱線事故について調べ始めるまでは、JR総連に対してはあまり良いイメージを持っていませんでした。旧動労時代から革マル派との関係が取りざたされていましたし、何よりも'80年代の国鉄分割民営化阻止・不当解雇撤回闘争の時に、自分達の組織温存の為に当局に寝返って当該闘争を裏切った訳ですから。しかしこの間の尼崎電車区での当局への追求姿勢、職員の権利擁護の姿勢については完全に同意できる。だからJR総連の出自も知った上で、今回は人権闘争の観点から積極的にJR総連を支持しました。ただ、いつ又自分達の都合で闘争を裏切るかも知れない、という疑念は消えていません。

 上記の感想は、未だアフガン板にはアップしていません。実は、私はあそこでは「反リストラ、利用者の安全と職員の人権を守れ!」という事での合意形成・世論喚起を目標にしていますので、それ以上の、生臭い(党派的)領域にまで踏み込んだ投稿まではあまりしたくは無いなあ−という部分があって、アップする事を躊躇しているのです。

 上記2点について、皆さんはどう思われますか?

JR総連のJR西日本会社批判はおかしいのでは  
投稿者: kaneko  投稿日: 5月11日(水)13時10分1秒
先ほどさざ波通信をみたら、「しかしこの間の尼崎電車区での当局への追求姿勢、職員の権利擁護の姿勢については完全に同意できる。だからJR総連の出自も知った上で、今回は人権闘争の観点から積極的にJR総連を支持しました。」とありました。
はたして、そうでしょうか。そもそも何故にあのような事故が起きたのでしょうか。確かにJR西日本のもうけ第一、安全切り捨ての経営体質、日勤教育にみられる激しい労務管理などによって今回の事故が起きたのではと思います。JR総連の西労がこの点を追及していることは私も認めることです。
 しかし、はたして西労は本当にJRで働く労働者の利益に立って会社批判をしているのかというと全く違うと思います。そもそも、彼らがJR西日本で第一組合で圧倒的多数を組織したときは、JR西日本の井出(分割民営化3人組のひとり)の手先となって、国労つぶしだけでなく、すさまじい労働強化、そしていまの西日本の効率化第一、もうけ第一にもっとも率先して協力した組合です。現在の東日本会社の第一組合であるJR総連東労組と同じことをやっていたのです。
 彼らがそもそも少数派になったのは、JR総連が、分割民営化で大量に不採用にされ解雇され国労、全動労、動労千葉の組合員を、JRに新規採用しようた政府に抗議して「解雇者の再雇用は認めない」という前代未聞のストライキを組合方針にしたことに、かつて分割民営化を支持した鉄労系の人が、JR西日本の当局と手を組んで、JR総連西労を分裂させ、現在最大労組のJR連合西日本労組を結成したのです。(同じことが西日本、九州、四国、東海でおきる)。これに怒った革マルとJR総連は、東海道への置き針事件をはじめとするJR西日本、JR東海会社などに対する攻撃を行ってきました。
 今回のJR総連の声明を、JR総連の西労の声明をよんで、「何を言っているんだ」「いまごろ、おまえらは事故を利用しているだけではないか」といいたくなります。
 今回の惨事の、107人を殺したのは、分割民営化推進した自民党政府であり、中曽根らの輩であり、そして分割民営化に屈してた労働組合幹部の腐敗です。
 92年、総武線東中野駅で、多数の乗客乗員が死傷する列車追突事故がありました。また最近では大月事故がありました。このときのJR総連の対応は、「運転士が悪いんだ」という立場でした。それどころか、JR東日本の過密ダイヤ、異常な労務支配がもたらしたものと当時の国労や動労千葉は激しく会社を追及しました。国労は大月事故の時組合の立場から現場である大月駅に行って独自に調査を開始したら、会社はこれを弾圧し、JR総連もこの会社の対応と同じような対応をし、さらに「国労や動労千葉などが問題にする過密ダイヤやスピードアップが原因ではない」などと公然と会社を擁護しました。
 さらに、過密ダイヤ是正を初めとする運転保安確立を求めた動労千葉のストライキに対して、まっこっから敵対し、スト破りをかってでました。
 もし、あなたがいうJR総連の主張が「人権闘争の観点」からのものだったら、彼らは、200人の国鉄社員を自殺に追い込み20万人の首を切った「人権侵害」に率先して協力した事実を自己批判すべきです。国労西日本の見解はもちろん許せません。これは会社擁護の声明です。

 参考までに、動労千葉の見解を見てください。http://www.doro-chiba.org/

 それ以来、革マル派は、

http://www.doro-chiba.org/


kanekoさんへ  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月12日(木)10時12分9秒
> JR総連のJR西日本会社批判はおかしいのでは  投稿者: kaneko  投稿日: 5月11日(水)13時10分1秒
> 92年、総武線東中野駅で、多数の乗客乗員が死傷する列車追突事故がありました。また最近では大月事故がありました。このときのJR総連の対応は、「運転士が悪いんだ」という立場でした。それどころか、JR東日本の過密ダイヤ、異常な労務支配がもたらしたものと当時の国労や動労千葉は激しく会社を追及しました。国労は大月事故の時組合の立場から現場である大月駅に行って独自に調査を開始したら、会社はこれを弾圧し、JR総連もこの会社の対応と同じような対応をし、さらに「国労や動労千葉などが問題にする過密ダイヤやスピードアップが原因ではない」などと公然と会社を擁護しました。

 kanekoさん、初めまして。ご紹介の動労千葉のHP、拝見させてもらいました。そして、東中尾駅と大月駅の事故についても、自分で少し調べてみました(注:「総武線東中野駅」→中央線〜、「最近では大月事故」→当該事故は1997年に発生したのでは?)。

 大月事故というのは幾つかの鉄道事故関連のサイトでは大抵取り上げられている有名な事故の様ですね。'97年10月12日にJR中央本線・大月駅構内で発生した事故で、<大月駅通過中の特急「スーパーあずさ13号」に、入換時刻前に発車してきた回送電車(201系・4両編成)が衝突して両方の電車が脱線>したというのが当該事故の概要ですが(「鉄道事故インデックス」HPより)、詳細を調べていくとかなり重大な問題点が浮かび上がってきますね。
 
 下記URLが、労働安全コンサルタントの本橋秀一郎さんという方のサイトにアップされていた当該事故の詳細報告です。それによると、以下の3点が問題点として指摘されています。
  http://www.amy.hi-ho.ne.jp/makj/sub2_1.html

(1) 信号施設の不備。
 特急が通過する本線の信号機と回送電車が入換作業していた側線の信号機が、側線を挟んで左右同位置に建植されており、しかも通常は運転席から向かって左側に建植されている信号機が、大月駅構内では共に向かって右側に建植されていた為に、運転士が信号を見間違って、隣の本線の信号を見てしまった。

(2) 困難な入換作業を経験の浅い運転士に行わせた。
 事故を起こした当該運転士(当時24歳)は「大月駅での入れ換え作業は1年10ヵ月ぶりである」「回送列車の入れ換え作業を一人でするのは初めてである」「作業手順などは忘れていて頭の中は混乱していた」。入換作業というのは、場内・出発信号機とは別にある入換信号機の指示に従って入換作業を進めなければならない、かなり熟練を要する作業であり、しかも当該入換作業は他の列車が通過する本線を跨いでの作業であるにも関わらず。

(3) ATSスイッチが切られた中での危険作業を余儀なくされていた。
 通過列車のある本線を跨いでの入換作業を行う場合は、ATSが入ったままでは入換車両を進行させる事は出来ませんから、通常はATSスイッチを切って作業するのだそうですね。この場合はATSは働かず、運転士は入換信号機の表示だけを頼りに作業を進めなければならない訳ですが、これはこれで非常に複雑で危険な作業でもある訳ですよね。
 http://sapporo.cool.ne.jp/tarumi/T0103_01.html
 (注:上記URL>「(2)入換信号機」>「入換信号機と入換標識の違い」の記述参照)

 そうですか。JR総連は、多数派であるJR東日本では会社と結託して当該事故の責任を運転士個人の責任に擦り付けるような対応をとっていたのですか。今はJR西日本の尼崎脱線事故を告発・糾弾しているJR総連ですが、確かに国鉄分割民営化の時には鉄労と一緒になって改革労協の一員として、分割民営化の先頭に立っていましたからね。

 もう一つのJR中央線・東中野駅の事故('88年12月5日発生)も、鉄道事故事例としてよく紹介される事故の様ですね。当該事故は、ダイヤの遅れを取り戻す為に、ATSのスイッチを切って後続電車を強引に駅構内に進入させた結果、先発電車と衝突した事故なんですよね。
 http://www.ne.jp/asahi/kokuden/souken/103P24.html


 「過去の闘争局面で、JR内各労組が実際にはどのようなスタンスを取っていたか」という事については、私ももう少し調べてみます。その結果によっては、私もJR総連への評価については留保せざるを得ないかもしれません。kanekoさん、これからも情報提供をお願いします。

-----------------------------------------------------------------
> イレギュラーずさん、鍋山さん、kanekoさんへ

 鉄産労と、出来ればグリーンユニオンについて、どういう組合なのか、もう少し詳しく教えていただけませんか? 鉄産労って当該組合のHPを見る限りでは「国鉄闘争に連帯」云々と書いていますが、出自を調べてみたら当局寄りの労使共同宣言に賛同する人達が国労を分裂させて作った組合だという記述もあったりします。こんな事を書くと気を悪くするかもしれませんが、私としてはもう何がなんだか、よくわかりません。そもそもそれ以前に、今のJRに、超少数派組合まで入れたら一体幾つ労働組合があるの?
 http://www.ne.jp/asahi/miyagi/zenroukyou/tetusan.html
 http://www.jreu.or.jp/opinion/ts&bu-touitsu.htm

国鉄・JR問題の現局面をどう捉えるか--若干の自己批判と問題整理  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月14日(土)01時02分42秒
(1) 何故、今「国鉄・JR問題」なのか?

 まず本題に入る前に、「国鉄・JR問題」という呼び方をする理由と、何故当該問題に私が執拗に拘るかについて、書いておきます。
 JR福知山線・尼崎脱線事故で明るみになったJR西日本の経営・労務の在り方について、私が、単に「JR西日本問題」「JR問題」と呼ばずに「国鉄・JR問題」と呼ぶのは、当該問題が正に国鉄分割民営化の「行着く先・成れの果て」であると看做しているからです。また、何故この問題に執拗に拘るかと言えば、当該問題が「現代リストラの原点」「新自由主義グローバリゼーションの矛盾の象徴」であり、また「それを推し止める事が出来なかった日本の労働運動の弱点を正視し抉り出し、そこから次の闘争の糧を引き出さなければならない」という私の問題意識とも関わっているからです。

(2) 若干の自己批判を踏まえての問題整理の必要性について

 前記の問題意識を踏まえた上で、この「国鉄・JR問題」の現局面についてどう捉えるか、私の頭の中で整理していきたい、その中で「1047名」「四党合意」の問題、今のJR労働運動に対する見方をハッキリさせて置きたいという思いがあります。それが、先日少し触れた「当該問題についての解説」をアップする理由です。
 そういう問題意識を持ってこの間当該問題に取り組んできたのですが、その中で、今から思うと当初の認識の中でここは少し違うのでは−と思う点が幾つかあります。そういう点について、少し自己批判というか、自戒を込めて書いておきます。

1.JR総連による尼崎事故告発の一面的美化に走ってしまった点について

 JR総連傘下のJR西日本労働組合(JR西労)が、今回の尼崎脱線事故について、いち早くJRの経営偏重・反動的労務管理について告発を行いました。私は、この事に対して「'80年代の国鉄分割民営化阻止・不当解雇撤回闘争の時に、自分達の組織温存の為に当局に寝返って当該闘争を裏切った」という「JR総連の出自も知った上で、今回は人権闘争の観点から積極的にJR総連を支持」しました(5月7日付拙稿「JR関係労組の脱線事故声明について」)。しかし、その後国鉄・JR闘争について調べ始め、JR総連が過去の闘争で果たし、現在も多数を握っているJR北海道・東日本で果たしている客観的役割について考察を深めていく中で徐々に、前述の認識は見直さざるを得ない−という思いが強まってきました。現在は、JR総連が当該JR資本の非民主的・非人間的労務管理を告発した事自体は客観的に評価しつつも、当該労組が過去果たしてきた反動的役割(国鉄闘争への裏切り、大月・東中野事故の隠蔽など)に対して未だ何も自己批判も総括も行っていない点については今後も批判していかなければならないし、何よりも国鉄分割民営化の問題を抜きにして各労組への評価も在り得ない−という認識に立っています。これはJR総連だけに限らず、国労や建交労、千葉動労その他の組合に対しても同様です。現在はJR内の各労組に対して、もっと客観的・歴史的に分析・評価していく事の必要性を痛感しています。

2.「反リストラ」を強調する余り、労働者の腐敗・堕落の危険性を看過してしまった点について

 事故後のマスコミ報道の中で、事故車両に乗車中の2名のJR社員(それぞれ尼崎電車区・森之宮電車区所属)が救助活動に参加せずに職場に出勤した事や、事故当日に多くの社員(天王寺車掌区所属)が事故発生を知りながら懇親会に現を抜かしていた事が取り上げられました。私はそれに対して、前者については上司の出勤指示があった事、後者については業務外の活動である事と、末端社員は職制から半強制で参加させられていた事で以って、末端社員の責任を事実上免罪する立場に立っていました。これも今から考えると、<「反リストラ」を強調する余り、労働者の腐敗・堕落の危険性を看過してしまった>のでは無かったのか、つまり<労働者である前に人間である>事を忘れていなかったか、という思いがあります。勿論言うまでも無く悪いのは腐敗・堕落し労働者虐めに走る反動職制です。ただその事を強調する余り、その腐敗・堕落・馴れ合いを食い止められなかった「労働者自身の弱さ」を見過ごしてしまったままでは、また第二・第三の尼崎事故の犠牲者を生む事になり、労働組合への弾圧を跳ね返していく事も出来ないのではないか−という事を痛感しています。実際、事故現場では乗客同士や近隣住民が誰に強制されたのでもなく自発的に救助活動に参加しているのですから。労働者がプロレタリア・ヒューマニズムを欠落させたままで、一体どうやって団結を勝ち取り弾圧を跳ね返していけるのか。

 以上の点を踏まえた上で、国鉄・JR問題の現局面を自分自身の問題としてどう捉えるか、引き続き考えて行きたいと思っています。

国鉄・JR闘争を闘う労働者、そして我々の主体性は如何に  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月14日(土)10時31分44秒
 ここで先の拙稿「国鉄・JR問題の現局面をどう捉えるか--若干の自己批判と問題整理」をアップするに当たって、参考にさせてもらった諸投稿の一つを紹介しておきます。

・さざ波通信・一般投稿欄
 「JR西日本列車脱線事故」を考える(2005/05/08 一労働者J 50代 会社員)
 http://www.linkclub.or.jp/~sazan-tu/

 当該投稿でも先ず、「他のまともな左派系の投稿」と同様に(注:最近は改善されたようですが、それまでの「さざ波通信」には時々「此処は本当に共産党員が自主的に運営しているサイトなの?」と思うような歴史修正主義者バリの投稿が時々散見されていましたので)、JRの非民主的・非人間的・反動的労務管理の実態が告発されていました。「1分30秒の遅れ」「"見せしめ的"日勤教育」「稼ぐが最優先の支社長方針」等々。中でも、下記の労務管理の実態については、私も改めて憤りを感じました。

(引用開始)
*1水平展開:駅ホームで3時間の起立敬礼。入って来た電車運転手を「私はオーバーランしました。皆さんも事故の無いようにお気をつけ下さい」と云いつつ迎える。
*2出場遅延防止チェック:「オーバーランをした○○です。遅刻にご注意を」と言って、同僚運転手に電話をかけ続ける。

(引用終了)

 ただこの投稿の優れた所は、他の投稿と違って、そういう反動的労務管理の強行を許してしまった労働者側の主体性の弱さも率直に指摘した上で、それを労働者側が乗り越えていく展望についても言及していた点です(下記参照)。

(引用開始)
労働者の荒廃
 社員はどうか。
 高見運転手と車掌がオーバーラン直後に行ったことは、ランの距離を短くする口裏合わせとスピードアップである。「オーバーラン」や「ダイヤ遅れ」を小さく描き、自分らの責任を小さくしようとした。そのために事実を偽り嘘をついた。JR西日本経営者と同じである。
 事故列車の4両目、6両目に乗っていた2人のJR西日本社員は、事故直後、「事故について携帯電話で上司に報告したが、上司から特別の指示がなかった」ので、各職場に出社した。たくさんの人が死に、たくさんの人がつぶれた車両に挟まれ救いを求めている、その現場から、他でもない自分の会社が大事故を起こした現場から、2人は立ち去った。自己判断能力のない、上司の指示がなければ人命救助もできない姿をさらけ出しながら。よく考えてみれば、人命救助より自分の業務を優先した彼らの姿勢は、「安全より利益優先」の会社方針の、一つの体現である。
 事故当日、事故現場近くでボーリング大会と居酒屋宴会を敢行していた天王寺車掌区の社員(43人)の多くは、事故発生を知っていた。しかし、大会も宴会も続けられた。その内の幾人かは、「中止した方が良いのではないかと思ったけれど、上司に言えなかった」という。何で、言えないのだ!

 失われた批判力
 これら社員の行動の原因を、今のJR西日本経営層なら、社員個人の資質の問題に帰そうとするだろうが、それは許されない。ミスをすれば「見せしめと処分」をする制度や、ものを言わず従順に指示に従う社員を作ってきたのは、JR西日本の労務管理そのものだ。それが、職場から批判力を奪っているのだ。
 遡って、より本質的に指摘すれば、JRの職場における批判力の喪失は、国鉄分割民営化に始まっている。当時、国労は大多数の社員を組織し、分割民営化に反対した。時の中曽根首相は、「総評(国労)を潰す」と豪語し、実行した。政府の意を受けた管理職は、国労組合員に対し「脱退しなければ首を切るぞ」と脅し、脱退を強要した。わずか一年の間に、20万人いた国労組合員の内15万人が脱退した。その人達は再雇用され、従順となった*4。国労は一気に弱体化した。
 JRの職場における批判力の喪失は、国家的不当労働行為により作り上げられたのだ。

 *4:今の管理職の多くは、闘って、苦しんでいる国労の仲間を見捨てて来た人たちだ。その態度を、経営層は評価してきた。彼らは現在も、不当解雇され闘っている1047名の組合員を見捨てている。苦しんでいる人がいても、それがたとえ仲間であっても乗客であっても、見捨てられる行動は、JRにおいては決して間違った行動ではないのである。
(引用終了)

> 苦しんでいる人がいても、それがたとえ仲間であっても乗客であっても、見捨てられる行動は、JRにおいては決して間違った行動ではないのである。 

 これが、今のJR職場にはびこる一番の「病根」であり「国鉄・JR問題の全て」ではないでしょうか。そして、これは当該JRに限ったことではなく、雪印・日ハム・日航・郵便局・NTT・富士通・武富士・大阪市役所など、成果主義・拝金主義・資本の論理が吹き荒れる日本の公務・民間経営全てに存在する「病根」でもあるでしょう。小泉や竹中・奥田たちが米国ブッシュ・ネオコン帝国主義の傘の下で進める戦争・民営化・自己責任・弱肉強食政治の「行着く先・成れの果て」として。

【参考資料】 「JR会社が捨てたもの」(鉄建公団訴訟原告団・国鉄闘争共闘会議の声明)  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月12日(木)23時40分51秒
(参考資料・重複御免!)
「 J R 会 社 が 捨 て た も の 」
= JR福知山線事故犠牲者の皆さんに心から哀悼の意を表します=

 4月25日、ゴールデンウィークを前にして、JR西日本福知山線で107名の尊い命が犠牲となった事故が起きてしまいました。
 この事故で犠牲になられた皆さんに、心から哀悼の意を表します。合掌。
 事故の直接的な原因は、調査委員会の結論を待つしかありませんが、今日までの報道を見るにつけJR西日本会社の事故原因究明に対する姿勢は、始めから会社責任を防禦するものとしか見うけられませんでした。
 レール上でひき潰した石粉を、置石と思わせるかのような発表を行い、さらには運転士が亡くなったことで「事故の真実が知り得なくなった」との談話を発表するに至っては、経営者として倫理観のかけらも見うけられません。
 この事故原因の本質を考えるときに、19年前に国鉄が分割民営化(19年前JRは日本国有鉄道でした)されたときに、「新生JR会社」が捨て去った、輸送の原点とも言える重要な「鍵」となるものが見えてきます。
 それは国鉄時代に培い、国鉄労働者の誇りであった安全と正確無比の列車運行が崩れ去る原因となったものでもあります。
 
 JR会社が捨てたものは、第1に「公共性」。
 国鉄は、横文字でJNR(Japanese National Railway)と略称されました。
 JR会社によって捨てられた真中のN(National)は、“国有の”とか“国民の”という意味で、文字通り国鉄は国民の財産であり、公共性が重要視されてきた交通機関でした。
 「公共企業体」としての国鉄から、公共性が捨て去られると利潤追求が第1となる企業性だけが残ることになったのです。
 「儲かれば何でも」方式の会社は、輸送業務の一線で働くベテラン運転士や保線、駅業務に精通した労働者をホームのうどん店、ラーメン店、売店、ベンディングと呼ばれるジュース類の詰め替え作業に配属しました。
 しかも、その多くは国鉄労働組合に所属し、業務上でも中心的な存在であり、若い社員を育てる技術継承者としても現場で活躍していた仲間でした。
 会社はこの先輩たちに若い社員を見習いにつけ、1人立ちすると本務から外してしまうということが日常茶飯行われました。
 1人前といっても、見習い期間中に全ての技術、知識が習得できるものではありません。同じ職場にいればこそ細かな経験も継承できるのです。
 会社によるこの人事政策は、国労組合員に対する見せしめとしての意味を強く持っていました。
 JRになってからの旅客鉄道会社は、「公共性」を維持、発展させて行くことは非生産的であり、利潤を生まないから切り捨ててきたということです。
 
 JR会社が第2に捨てたものは「安全」。
 国鉄時代には、安全綱領(1951年6月 達第207号)がありました。
その第1項では、「安全は輸送業務の最大の使命である」と定められ、国鉄総裁から現場の職員に至るまで安全運行が徹底されました。
 現在のJR西日本は、「安全・正確な輸送に徹し、お客様に信頼される輸送サービスを提供します」(ハート&アクション)と、安全に対する姿勢は、「最大の使命」から「輸送サービス商品」に置き替わりその姿勢には格段の差があるといえます。
 国鉄綱領第5項では、「疑わしいときは、手落ちなく考えて最も安全と認められるみちを採らなければならない」と謳われていました。
 今、JR会社の職場は運転席の背面監視、秒単位の運行管理、接続優先等々で乗務員はがんじがらめにされ、列車に遅延など出せば運転士も車掌も勤務を外され、見せしめに規則などの書き写し、減給、出勤停止もあります。
 業務上であっても、「手落ちなく考えて」判断する余裕などありません。
 87年、分割民営化にあたって「国労にいると新会社に行けない」と、労働者にとって生きる条件の根底に関わる「雇用」で脅しをかけ、新会社に都合のいい労働者を作り出そうとしました。
 雇用での脅しや業務上の必罰を労務管理の具にするのは、何と愚かなことでしょうか、職場が暗くなるのが手に取るように分かります。
分割民営化直前に200名に及ぶ自殺者を出し、現認体制と処分の乱発を職場で経験した者として。
 今のJR会社は、この「公共性」と「安全」を省みることなく、さらに働く者まで切って捨てることによって「採算」をとり、分割民営化の「負の遺産」を覆い隠しているのです。
 
 第3にJR会社が捨てたのは「労使関係」
 もっともこれは、労働組合の主体性の問題でもありますが。
 公共輸送機関に携わる労働組合であれば、「公共性」と「安全」については、会社の経営方針と真っ向から対立してでも、取り組まなければならない課題であります。
 併せて職場労働条件の改善と、会社・管理者の横暴に対する職場の民主化に、真剣に取り組まなければなりません。
 雪印、三菱、薬害エイズ、様々な公害等々大企業がこれまでに犯してきた事件でも、内部告発があれば、もう少し被害の拡大は防ぐことが出来たのではないでしょうか。
 我が国鉄労働組合にも、もっともっと強力な取り組みを望みたいものです。

 19年前、分割民営化で仕組まれた国家的不当労働行為による不採用で、職場を奪われ鉄道業務からも外された国鉄労働者1047名の解雇当事者たちの、技術力や業務内容についての知識も、遠い記憶のものとなりましたが、しかし、国鉄労働者魂は忘れてはいません。
 現在のJR職場を見るにつけ隔靴掻痒の思いが募るばかりです。
あらためて「俺たちを職場に戻せ」との思いは、2度目の解雇を受けた1047名に共通する19年間の叫びです。
 公共交通機関としての大量輸送にとって、今回のような重大事故に直結する運転事故の芽は多く、特に安全には、人も金もかける以外に良策はありません。
 そしてJR職場にも、民主的な気風と人権が取り戻されなければなりません。
 私たちが闘っている鉄建公団訴訟は、9月15日が判決日です。まず勝利判決をこの手にするために全力で闘います。

 それが分割民営化の隠された矛盾点に、小さくても光を当てることになれば、と。


           2005年5月2日
           鉄建公団訴訟原告団 国鉄闘争に勝利する共闘会議
           団 長  酒井直昭     議 長  二瓶久勝

---------------------------------------------------------------------
【参考資料】(こちらも重複御免!)

・がんばれ闘争団 ともにGO!(国鉄闘争共闘会議のHP)
 http://www.h4.dion.ne.jp/~tomonigo/
・がんばれ国労闘争団 責任とってよナカソネさん
 (1047名問題解決のためのキャンペーンサイト)
 http://www1.jca.apc.org/ouen/
・闘争団とともに 人らしく(特急たからさんのHP)
 http://www.geocities.jp/aichi200410/
・闘う国労闘争団とともに歩むなにわの会
 (「JRに安全と人権を!株主・市民の会」の記事がアップされています)
 http://members.aol.com/naniwanokai/index.htm
・国鉄JR問題研究会
 http://roumonken.ld.infoseek.co.jp/index.htm
・国労共闘
 http://www31.ocn.ne.jp/~kokurouk/
・岐路に立つ国鉄闘争――共産党中央は「4党合意」の拒否を明確にせよ!
 (「さざ波通信」第14号所収論文、'00/8/1発行)
 http://www.linkclub.or.jp/~sazan-tu/sazanami/014/51.html


※「国鉄分割民営化」「1047名問題」「4党合意」「鉄建公団訴訟」等の内容については、まずは上記の声明及び参考資料を参照・熟読して下さい。私としても引き続き、当時の国鉄闘争になじみの無い今の10代・20代の若い世代が読んでも直ぐ分かるような解説をアップする事を考えています。・・・というか、出来れば他の方も手伝ってチョ! 
 
※・・・という事で、むじなに対する反論レスは、当面ストップ。

尼崎事故から鉄建公団訴訟支援の立場へ  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月24日(火)00時18分1秒
(1) 尼崎脱線事故で明るみになった民営化職場の退廃

 '05年4月25日にJR福知山線尼崎駅付近で発生した快速電車脱線転覆事故は、最終的に死者107名・重軽傷者460名を数える大惨事となった。この事故の原因としては、今までもさまざまな背景が列挙されてきた。

1. 過密ダイヤ(余裕時間ゼロ、停車駅増でも到着時間の変更無し)
2. 私鉄との過当競争(運行回数4倍増の無茶なダイヤ編成、安全確保より列車接続を優先、「魔のカーブ」も接続最優先の産物、速度超過の常態化)
3. 安全対策後回し(ATS−P設置予算削減、脱線防止ガード未設置、過度の車体軽量化、検修周期の延伸、カント不足)
4. 上意下達の反動的・暴力的労務管理(日勤教育、1秒単位の遅延報告、事故を個人責任に転嫁する体質)
5. 職場批判力・自浄力の喪失、職場のモラルハザード(置石フレームアップ、事故後のゴルフ・宴会、事故見殺しで出勤、緘口令の徹底、過去の信楽高原鉄道事故・救急隊員死傷事故での不誠実対応、地に堕ちた旧国鉄時代の安全綱領)
6. 人材育成後回し(ベテラン層をリストラ、運転士の促成栽培・営業偏重教育、技術継承の断絶、数年でローカル線から通勤線区に変貌した現実に人材育成が追付かず)
7. JRの不作為・不当労働行為に対する国の責任(国鉄分割民営化で国労潰し、ATS−P設置規制などの各種安全規制を緩和)

 上記の様な非人間的な職場支配とその下での退廃現象は、単にJR西日本だけに限った特殊事例ではない。全JR職場、その他の新自由主義民営化の嵐が吹き荒れる日本の公務・民間職場全てに共通する現象である。その源流を辿れば、必ず国鉄分割民営化の問題に行き当たる。

  
(2) 事故の元凶としての国鉄・JR問題―現代リストラの原点

 「国鉄分割民営化」とは、そもそも何か。それは、当時の自民党中曽根内閣が強行した、壮大な国家的不当労働行為である。又それは、今に続く新自由主義民営化の本格的始まりであり、現代リストラの原点でもある。その事が国鉄闘争共闘会議のHPに分かりやすく書かれていたので、此処にその全文を紹介する。
 
-----------------------------------------------------------
1047人問題はリストラの原点 国鉄闘争は負けられない闘い

 1987年4月1日、日本国有鉄道(国鉄)が民営化され7つのJRに分割されました。この国鉄改革の過程で、JRは所属労働組合による採用差別を行い、最終的に1047人が解雇されました。彼ら(国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団)は15年経った現在も、JRへの復職を求めて闘い続けています。また、JRの職場では現在も、所属労働組合による差別が続いています。

 JRへの採用差別は政府が関わって行った団結権侵害でした。当時の首相だった中曽根康弘氏が後年、「国労を崩壊させることを明確に意識して(国鉄改革を)やった」とテレビや雑誌のインタビューで発言していることが、何よりの証拠です。中曽根首相は、新自由主義を標榜し、民営化、規制緩和を推進しながら、労働組合を攻撃しました。その彼が最も重視したのが国鉄分割・民営化であり、国労つぶしだったのです。

 日本には団結権尊重確保のための機関として労働委員会が設けられています。その地方労働員会も中央労働委員会も、採用拒否は組合つぶしをねらった不当労働行為と認め、採用取り扱いを命じる救済命令を出しました。しかし、JRは救済命令を守らないまま、裁判所にその取り消しを請求しました。

 東京地方裁判所は1998年5月28日、JRの請求を全面的に認める不当判決を出しました。判決は、国鉄改革法に「国鉄が採用候補者の選定と名簿作成を行う」という規定があることを理由に、「不当労働行為があったとしても、JRは責任を負わない」として、労働委員会の救済命令を取り消すものでした。JRが責任を負わないとすれば、職場復帰はあり得ず、採用差別という不当労働行為から労働者が救済されることはありません。判決は、不当労働行為救済制度そのものを否定し、団結権を保障する憲法28条、ILO87号・98号条約に違反するものでした。

 その後、東京高等裁判所も地裁と同様の不当判決を出しました。救済命令を否定された中央労働委員会は上告し、現在、裁判は最高裁判所に係属しています。

 この問題は解雇された1047名と当該労組だけの問題ではありません。JR各社が採用差別を行い、それを政府と裁判所が容認してきたことは、社会に大きな悪影響を及ぼしてきました。規制緩和と産業再編が進む中、営業譲渡や別会社化、分社化などの際に、国鉄分割・民営化の“全員解雇・選別採用方式”を真似た経営者たちによって、多くの労働者が職を奪われ、労働条件を切り下げられるケースが増加しています。

 小泉首相は、中曽根氏のDNAを受けついで、労働者攻撃、弱者切り捨ての「改革」を推し進めようとしています。政府も財界も、国鉄改革を手本に大リストラを断行する意志を明らかにしています。

 1047人問題はリストラの原点であり、国鉄闘争は負けられない闘いです。
-----------------------------------------------------------


(3) 労働者の抵抗と挫折、再決起

1.分割民営化強行と労働者側の反撃、「1047名問題」の発生

 当局の側に立つ御用労組(「改革労協」構成組合の当時の動労・鉄労=現在のJR連合・JR総連)は当時、分割民営化方針に反対する労組員に様々な陰湿な嫌がらせを行った。ロッカーの中に犬や猫の死体を放り込み、「早く辞めろ」と嫌がらせの張り紙をし、靴に汚物を入れるなどの卑劣な行為を行った。国・国鉄当局は、それを見て見ぬ振りをした。そして、200名に及ぶ自殺者を出し、7万6千名の国鉄労働者が職場を追われる中で、1987年の国鉄分割民営化は強行された。これらのJR不採用労働者は国鉄清算事業団に送り込まれた挙句に、'90年4月1日を以って完全に解雇された。現在でも、国労・全動労・千葉動労3労組所属の合わせて1047名のJR不採用労働者が、現在もバイトなどで生計を維持しながらJRへの職場復帰を目指して闘っている。
 国鉄分割民営化に対しては、国労・全動労などの組合は、組織を挙げて反撃を開始した。各労組ごとに争議団(国労は闘争団)が組織され、全国各地で不当労働行為の申立てを行い、全国17の労働委員会で「JRに採用されたものとして扱え」という内容の救済命令を勝ち取った。闘いは、当初は勝利の展望が見えていた。

2.「四党合意」と、闘う労組の変質

 しかしこの様な国労の闘争姿勢も、'90年代に入り闘争が膠着状態に入り長期化の様相を呈してくると、次第に変質してくる。中労委の国労救済命令を'98年に東京地裁、'03年に最高裁が取り消すに及んで、国労内部にも敗北主義的傾向が次第に力を得るようになってきた。
 '00年5月30日の「四党合意」は、その一つのエポックをなす動きであった。「JR不採用問題の打開について」と題されたこの合意文書は、「JRに法的責任無し」として国・JRの行った国家的不当労働行為の責任を免罪する事と引換えに、幾許かの職場復帰や解決金の支払いで国鉄・JR問題の幕引きを図ったものである。これは労働組合に対する露骨な政治介入そのものである。当時の与党(自民党・公明党・保守党)と社民党はこの合意を国労執行部に押し付けてきた。日本政府も、四党合意の内容に沿ったILO勧告を引き出させるなどを行い、この動きを側面から支援した。
 四党合意は国労ですんなりと承認されはしなかった。臨時大会(同年7月)・続開大会(8月)・定期大会(10月)と執行部から提案される度に闘争団員や組合員の反対に遭い、翌年1月の定期大会で機動隊に見守られる中、ようやく承認された。
 国労は、四党合意受入れ後、闘争団の解体・国鉄闘争の幕引きを図り、闘争団員への査問・カンパ凍結・組合員権停止処分を推し進めていった。国労内部では、闘争団支持派と離脱派が激しく対立した。闘争団自体も、国労本部支持派と自立闘争派に分かれていった。その一方で、与党・社民党の側でも次第に、四党合意受入れ表明後も依然としてJRに対する個別争議を放棄せず、内部をまとめきれない国労を見限るようになった。結局この四党合意は'02年4月26日に、与党・社民党側から破棄される事になった。

3.「鉄建公団訴訟」の提起と、闘う潮流の再結集

 国労と闘争団の乖離・国労内部の分岐が進む中で、国労闘争団・全動労争議団・千葉動労争議団などが中心になって新たに提起されてきたのが、鉄建公団訴訟だ。当該訴訟は、それまでの「1047名問題」を継承する形で、'90年4月1日の清算事業団の解雇無効と地位の確認、不払い賃金の請求(損賠一人平均1億2千万、慰謝料1千万円)等を、清算事業団を継承した鉄建公団に対して求めるものである。
 かつて国鉄分割民営化に反対した各労組の中でも、今後の闘争方針や闘争団・争議団のあり方、鉄建公団訴訟の進め方を巡っては、様々な意見があり潮流が存在している。その中で、国労内部でも四党合意などに見られるようなボス交依存の宥和的解決路線に飽き足らず、「自らの尊厳、人間としての存在」をかけて鉄建公団訴訟を支援する動きが広がっている。建交労(旧全動労)も、周囲の様々な軋轢を振り切って鉄建公団訴訟に合流してきている。この「労働者の人権を守れ、国家的不当労働行為のヤリ逃ゲを許すな」の声が、市民株主による「利用者の安全を守れ、民営化の下での資本家エゴ・安全切捨て反対」の声と合流した時に初めて、国鉄・JR問題解決の展望が見えてくるだろう。

【参考資料】

・がんばれ闘争団 ともにGO!(国鉄闘争共闘会議)
 http://www.h4.dion.ne.jp/~tomonigo/
・責任とってよ!ナカソネさん(1047名問題解決のためのキャンペーンサイト)
 http://www1.jca.apc.org/ouen/
・人として(国鉄JR問題研究会)
 http://roumonken.ld.infoseek.co.jp/index.htm
・闘争団とともに 人らしく
 http://www.geocities.jp/aichi200410/
・国労共闘
 http://www31.ocn.ne.jp/~kokurouk/
・岐路に立つ国鉄闘争―共産党中央は「4党合意」の拒否を明確にせよ!(さざ波通信・第14号)
 http://www.linkclub.or.jp/~sazan-tu/sazanami/014/51.html
・国鉄労働組合
 http://www.kokuro.net/


  尼崎脱線事故の背景(安全・人権無視)を巡って

明るみになったJRの「労働者虐め」の実態  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 4月29日(金)00時30分47秒
 4月28日付の「しんぶん赤旗」第三面に、その実態の一端が掲載されました。
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-04-28/01_01_0.html

 「赤旗」HPでは記事のホンの触りしかアップされていませんので、手元にある紙面から一部抜粋します。記事内容の要約の為に、私の方で適宜小見出しを付けています(従って、当該新聞記事の小見出しとは異なります)。約21年の運転経歴を有するベテラン現職運転士(紙面では匿名、以下「現」と略す)と、福知山線の運転経験のある元運転士(同、実名で登場、以下「元」と略す)の、2名の方からの証言記事です。


【事故発生地点のカーブ】

> 事故車両は、事故があった制限速度70kmの右カーブに100kmで入ったといいますが、通常ではとても考えられない事です。あのカーブの先はさらに曲がりのきつい、制限速度60kmの左カーブへつながっています。一つ目を曲がれたとしても次のカーブで脱線する可能性もあるのです。(元)


【オーバーランした時の心理状態】

> 彼は昨年6月にも100mのオーバーランをしています。その際、乗務を降ろされ「再教育」を受けています。また40mオーバーランということになると、乗務停止になり、「再教育」は免れない。下手をすると運転士もやめさせられる。頭が真っ白になってしまったのではないでしょうか。だからオーバーランの距離を短く報告するよう車掌に申し出た。車掌がそれを了解したので、次は運行時間の遅れを取り戻せば乗務停止・「再教育」を免れられる。そんな思いに取りつかれたことは十分考えられます。
  しかしダイヤ改正のたびにスピードアップされ、すでにぎりぎりまで区間の時間が短縮されているので、10秒の遅れを取り戻すのも難しい状況があります。実際、1分30秒の遅れを伊丹駅から尼崎駅の区間で取り戻すことには無理がある。(元)


【労働者虐めの「再教育」】
(注:先の夕刊フジの記事では「日勤教育」と呼称)

> 当局は「再教育」といいますがその内容は教育というより制裁に近い。電車区によっても違いますが、管理職がいて他の運転士が出入りする詰め所の真ん中に机を置き、まるでさらし者のようにされます。同僚が声をかけることも禁止です。私が尼崎電車区にいたときの元同僚は'01年、約1分の運行の遅れを理由に「再教育」を受け、自殺に追いやられました。
 内容も、運転技術の向上につながるものではなく、ただ就業規則を書き写させるようなもので、見せかけです。諸手当がつかず収入も減り、一時金(ボーナス)や昇給にも影響を受けます。(元)


【肝心の安全は等閑(ないがしろ)にしたまま、職員恫喝のダシに「安全」を使う】

> JRとなって民営化されてから、安全が後回しになっています。この事故の前にも3月下旬に、環状線や草津線で線路のボルトが緩むなどの事故があいつぎました。(現)

> JR西(注:JR西日本の事)では、運転士には運行ダイヤから30秒以上の遅れを報告する義務があります。4月からは定時運転の調査として秒単位で報告させられています。(現)

> 今回のように停止位置誤りなどのミスがあると、会社の取調べ(再教育)はすさまじい。管理者が大勢で取り囲む、草むしりをさせる、人格を否定する暴言など恐ろしいものがあります。過去には自殺者も出ています。(現)

> 乗務員の勤務体制も夜勤のときは3〜4時間しか寝れない人もいます。月に2時間の安全教育訓練がありますが、夜勤明けにその教育がやられる。前日4時間の睡眠で早く帰りたいのにそんな教育をやられても、ただ苦痛なだけです。(現)


 このJRの悪名高い「再教育(日勤教育)」の事が、昼のバイト先でも休憩時間に少し話題になりました。いつもゲームソフトの話しかしない若い子たちも、「草むしり」の事や「お前はカスだ!」と言う職制の暴言の話をしていました。みんな結構意外と知っているのですね、この話。
 以上がJRの今の職場実態ですが、他方で、そのJRと競合している私鉄の方でも、似たり寄ったりの実態があります。次はその関西大手私鉄の職場実態についても少し触れていきます。
 又、この問題を突き詰めていけば、24時間稼動の不夜城の中で、「1分30秒の遅れ」すらも許容されない、その「ジャスト・イン・タイムな働かされ方」そのものから告発していかなければいけないのかも、という思いを抱きます。JRも私鉄も、利用者の安全と職員の人権を守れ!

JR脱線事故・補論  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 4月30日(土)00時40分16秒
 JRの経営政策に続いて競合私鉄のそれも取り上げる予定でしたが、その前に若干の補足をしておきます。
 今日(正確にはもう既に"昨日"の日付になりましたが)の夜7時半からの「NHK特集」で、脱線検証番組を放送していました。私も仕事の合間に後半から少し見たのですが、そこでは「福知山線の線形が及ぼす影響」と「JR職員の年齢構成の歪さが技術継承上のネックを引き起こしている事」を取り上げていました。この2つの事については、正直言って私は今まであまり意識してきませんでした。非常に参考になる指摘だと思うので、此処でも少し書いておきます。
 http://www.nhk.or.jp/special/

【「魔のカーブ」の存在、停車駅増やしても運行ダイヤは変えず】

 当該番組を見た後、改めて地図で確認してみました。確かにJR福知山線は、川西池田駅を出て南に向きを変えると、後は事故現場のカーブまではだいたい直線です。そして事故現場で右にカーブし、次に左に大きくカーブして東海道本線(神戸線)と並行に向きを変えて尼崎駅に進入するという線形になっています。このカーブは、東西線の開通・福知山線との直通運転の必要から、新たに作られたものです。見通しの良い直線が続いた後、いきなり半径304mの右カーブが迫ってくる形になっているのですね。どうりで「魔のカーブ」と呼ばれる訳です。
 http://map.yahoo.co.jp/pl?&sc=4&nl=34.44.4.349&el=135.25.48.562&memo=%ca%bc%b8%cb%b8%a9%c6%f4%ba%ea% bb%d4%c4%ac%b9%be4%c3%fa%cc%dc%a4%ce%bc%fe%ca%d5%c3%cf%bf%de

 その後ネットで調べたら、下記記事にも行き当たりました。そんな「魔のカーブ」を抱えた線区であるにも関わらず、停車駅を増やしながらそれに見合ったダイヤ変更はせずに、スピードアップだけで対応させてきたのですか、JRの経営者・幹部は。

・日常的に高速走行 現場手前の直線 元運転士証言(神戸新聞)

> 尼崎JR脱線事故で、現場の伊丹―尼崎間のカーブ手前の直線は、東西線に乗り入れる宝塚線快速電車が時間の遅れを取り戻す唯一の場所だったことが二十八日、死亡した高見隆二郎運転士(23)の同僚だった元運転士の証言などで分かった。
> 宝塚線の快速電車は二年前のダイヤ改正で停車駅が一駅増えたが、従来の停車駅の発着時間は変更されなかった。このため、ラッシュ時などの上りは、伊丹駅出発までに一、二分程度遅れることが多く、定時運行に戻そうと直線での高速走行が常態化していたらしい。
 http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou05/0429ke92140.html


【合理化のツケでベテラン層不在に、技術継承上のネックを惹起】

 JR職員の年齢構成は、現在ものすごく歪な形になっています。NHKの当該番組でもグラフを示して取り上げていましたが、定年間近の50歳代と若年層の20歳代が多くて、間の30〜40歳代の方が極端に少ないのです。その為、運転・保線・検修などの技術の継承が断絶してしまっている事が取り上げられていました。これは国鉄分割民営化の時に国労・全動労潰しの為にベテラン労働者をどんどん人活センター・清算事業団送りにした事と、その後の民営化の中で正職員の採用を手控え契約社員や委託・派遣労働者に切り替えてきた為らしいです。人員大量削減の挙句に大事故を引き起こし、株価下落・社会的信用の喪失に至っているのだから、どうしようもない。一体、何の為の、誰の為のコストダウンだったのか。これではまるで、食中毒と牛肉偽装で会社をダメにしたスノーブランド(雪印グループ)と全く同じ構図なのでは。

 まっぺんさんも「四トロ同窓会・三次会」掲示板で、同趣旨の事を書かれています。

> JR事故に思う  投稿者: まっぴょん  投稿日: 4月29日(金)12時57分37秒
> ●JR職員の年齢分布
> ●技術の継承
 http://6038.teacup.com/mappen/bbs


【その他に提起された問題点】

・旧式ATSを使用 速度制限の機能なし(神戸新聞)
 http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou05/0426ke90920.html

・軽量車両、衝撃にもろく つぶれた車内に乗客多数(共同通信)
 http://topics.kyodo.co.jp/feature06/archives/2005/04/post_16.html

関西の競合私鉄もJRに負けず劣らず  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 4月30日(土)08時14分29秒
 JR福知山線脱線事故を契機に、職員の人権無視・安全軽視・営利至上主義というJRの体質が明るみに出てきた訳ですが、そのJRと競合を演じてきた関西大手私鉄も「職員の人権無視・安全軽視・営利至上主義」では「JRに負けず劣らず」の様です。

●タクシー部門を丸ごとM&Aに売却(南海電鉄)

 南海電鉄は自社のタクシー部門を丸ごと、第一交通に売却しました。この第一交通というタクシー会社は、タクシー業界では「M&Aの黒幕」「労組潰しの名人」で有名な会社です。案の定、第一交通に移管後は労組に対して、賃金差別・配車差別や「炎天下の2時間点呼」などの露骨な嫌がらせ・不当労働行為が行われています。南海電鉄は、労組潰しの為にタクシー部門を問題企業に売却したのか。

・「偽装廃業、全員解雇の通告」(自交労働者bU00)
 http://www.yuiyuidori.net/atu/news/600/jikourou600.html
・「第一交通の無法は許さない」(自交労働者bU01)
 http://www.yuiyuidori.net/atu/news/601/jikourou601.html
・第一交通 損害賠償請求事件勝利報告(民主法律時報)
 http://www.minpokyo.org/jihou/2004/0405.html#1

●ドル箱路線以外は全て切捨て、公共交通の自覚どこに(南海・京阪・近鉄)

 以前、拙掲示板で名鉄の廃線問題を取り上げましたが、関西私鉄もこの問題については「名鉄に負けず劣らず」の様です。南海では貴志川線、京阪では大津線・石山坂本線、近鉄では伊賀線・養老線の廃線問題が浮上しています。
 しかし南海貴志川線の問題一つとっても、デイタイムでも30分に1本のダイヤが確保できる程の利用需要があり、沿線道路網も未整備なままで、鉄道廃止は道路渋滞を引き起こすとの指摘もされているのです。工夫次第では充分採算が取れる筈だし、そもそも南海の赤字の原因は関空関連事業に入れ込みすぎたからであって、それを利用客に転嫁するとは「以ての外」。

・南海貴志川線応援勝手連
 http://ocean.hp.infoseek.co.jp/kishi/01/0409.htm
・私鉄ローカル線、存続の道を探る──近鉄・京阪、地元と三セク化交渉(日経ネット関西版)
 http://www.nikkei.co.jp/kansai/topics/25178.html

●駅構内に系列サラ金ATM、多重債務を生む「特急キャッシング」(阪急電鉄)

 不採算部門はどんどん切り捨てていく一方で、お金になるなら何でもやる様で。阪急電鉄はサラ金会社まで立ち上げ、駅構内にサラ金のATMを設置しています。JRの事故で乗客が阪急にシフトしているとの事なので、多重債務者も今後ますます増えていく事でしょう。

・「駅で便利なスタイル・キャッシング、スタッフィ」
 http://stafi.jp/?access_id=976&ITRACK_INFO=&vcptn=
・阪急電鉄駅構内店舗エリアマップ(スタッフィ)
 http://stafi.jp/shop/pc/hankyuarea.jsp?access_id=976&ITRACK_INFO=&vcptn=

●歌劇団も遊園地も球団も、全て身売り(近畿日本鉄道)

 OSK・バッファローズの身売り、あやめ池遊園地の閉鎖と、近鉄のリストラは留まる所を知らず。

・国原譜(奈良新聞)
 http://www.nara-shimbun.com/clm/0402/clm040204a.shtml
・OSK日本歌劇団ファンの為のページ
 http://home.n05.itscom.net/amainfo/index.htm
・世代を超えて愛された遊園地 閉園
 http://webnews.asahi.co.jp/you/special/2004/t20040604.html

 民鉄の暴走をJRがまた真似して、劃して「営利至上主義」の"競合・連鎖"劇が演じられていくのでしょうか。

「JRに安全と人権を!」JR株主・市民の会  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 4月30日(土)10時05分53秒
 連続投稿、ご容赦。下記の様な運動もあるので、此処でも紹介しておきます。私も出来るだけ協力させてもらうつもりでいます。


●「JRに安全と人権を!」JR株主・市民の会(準備会)結成の呼びかけ

(以下、同会の呼びかけ文より引用)
 1987年の国鉄「分割・民営化」は、1047名の採用差別事件と今も続くJR職場の差別と人権侵害を引き起こしました。地方ローカル線の廃止は、国民の交通権を次々と奪い、地域経済を破壊してきました。三島・貨物会社の構造的な赤字問題は、「分割」そのものの見直しを必要としています。そして、安全への投資よりも利益の追求を優先するJRの経営姿勢は、駅の無人化と事故の増加など公共交通としての役割をますます形骸化させています。

 こうしたJRの様々な問題は、JR東日本・東海・西日本三社の株式上場後に結成されたJR東日本一株株主会による株主総会への議案提案・株主総会行動をはじめ、公共交通としての社会的な役割を追及している様々な市民運動の立場からも取組みまれてきました。

 私たちは、これまでの取り組みを継承した「JR東日本株主会」の行動に積極的に参加するとともに、今後もJR採用差別事件の解決をはじめ公共交通としてのJRの役割が確立されるまで、株主・利用者の立場からJR経営の民主化を進めていくために、以下のような「JR株主・市民の会」準備会の結成を呼びかけます。株主だけでなく、広範な市民が参加できる会の結成に向けて、ともに「株主・市民の会」を作り出しましょう。
(引用終了)
 http://members.aol.com/naniwanokai/yobikakeshimin.htm

●JR株主市民の会(西日本)伝言板

 '03年5月31日に大阪で同会の結成総会が開催され、会が正式に発足しています。
 同年6月25日にあったJR西日本の株主総会に出席した時の様子もアップされています。
 http://members.aol.com/naniwanokai/kabunushi.htm

●闘争団とともに 人らしく(再掲)

 映画「人らしく生きよう・国労冬物語」も、見る機会があれば一度見てみようと思っています。クリスチャン・ウルマー著「折れたレール〜イギリス国鉄民営化の失敗」も、読む機会があれば・・・。
 http://www.geocities.jp/aichi200410/

地に落ちた旧国鉄「安全綱領」の伝統  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月 8日(日)11時19分10秒
●旧国鉄時代の「安全綱領」
 この「安全綱領」は、1954年に作られたものだそうです。職場のマネジメントでよく取り上げられる「報・連・相」(報告・連絡・相談)の重要性も、既にこの当時から言われてきたのですね。

 1.安全は、われわれの最大の使命である。  
 2.安全の確保は、規定の遵守および執務の厳正から始まり、不断の習練によって築き上げられる。  
 3.確認の励行と連絡の徹底は、安全の確保に最も大切である。  
 4.安全の確保の為には、職責を超えて一致協力しなければならない。  
 5.疑わしいときは、手落ち無く考えて、最も安全と認められる道を採らなければならない。

・某食品メーカーのHPで取り上げられていた旧国鉄「安全綱領」の話
 http://www.tsuno.co.jp/j/02/03/main.htm


●JR西日本大阪支社 今年度支社長方針
 第一目標は「稼ぐ」で、「安全安定輸送」を「目指す」のはその次の二番目だそうです。

 1.稼ぐ
 2.目指す
 3.守る
 4.変える
 5.光をあてる、志気を高める
 
・第一目標は「稼ぐ」 脱線事故のJR西日本 全社員に配布
 支社長方針 「安全」は二番目(しんぶん赤旗)
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-05-03/01_01_0.html


●JR西 運転士の技量を考える(東京新聞)

> 中堅層が少ないのはJRグループ全体の傾向だが、佐藤氏は「民営化後、東日本や東海は中途採用を行っているが、西日本は人員削減を行ってきた」と指摘。「社員の年齢構成がいびつで、指導者の年齢層が少なくなっている可能性はある」と推測する。世代断絶でベテランからの技能継承が進んでいないというのだ。
> 実際、「旧国鉄時代、車両故障の際に隣接駅まで何とかたどり着くために、運転士は研修で車両の検査、修繕にもかかわった。この研修も今はないのでは」というJR関係者もいる。
> 継承されていない最大の“技能”として「安全優先の原則」を旧国鉄問題に詳しいジャーナリストの立山学氏は挙げる。「『危険だと思ったらまず止まる』と国鉄では安全綱領で決められていた。止まれば運転士の責任は問われなかった。それほど安全を最重視した。今は経済効率優先で理由なく遅れたら逆に責任を取らされる。運転技術の継承と安全優先意識の両方が、民営化で失われてしまった」
 http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050428/mng_____tokuho__000.shtml

JR関係労組の組織率(覚書)  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月10日(火)00時02分28秒
 まことさんの投稿「JR西日本鉄道事故関連」(投稿日: 5月 9日(月)21時47分25秒)の<参考リンク>の中の、JR西労組のHPを辿っていったら、やっと見つかりました。私の求めていた資料が。

<JRの労働組合の現状>
 ・JR連合 約72.700名
 ・JR総連 約73.500名
 ・国労   約17.300名

<JR西日本の労働組合の現状>
 ・JR西労組(JR連合加盟) 27.300名(87.1%)
 ・国労             2.500名( 8.1%)
 ・JR西労(JR総連加盟)   1.200名( 3.9%)
 ・その他              400名( 0.9%)

 ※いずれもJR連合調べ、'04年8月1日現在の組織状況。
  http://www.jrw-union.gr.jp/sosiki.html

 JR西日本では当局べったりの「西労組」が約8割を組織していた事は、私も既に知っていましたが、それを数値的に裏付ける資料を持ち合わせていませんでした。だから、上記の様な資料を探していたのです。更に欲を言えば、その他の少数組合も含めた全労組のJR各社別組織状況が分かれば、もっと良いのですが。
 事故に対する労組の対応を評価する場合でも、労組によって事故総括のスタンスがそれぞれ微妙に違います。「宴会・ゴルフ・ボウリング」行為を批判するにしろ擁護(?)するにしろ、階級的立場に立ち反動的・暴力的労務管理と闘って来た労組と、当局と癒着して馴れ合ってきた御用労組を、全く同列には論じられない。これは、何故「JR内部で経営偏重への暴走を食い止められなかったのか」「自浄作用が働かなかったのか」を考える上でも、絶対に見落としてはいけない視点だと思います。それを今のマスコミは、意図的なのか無意識なのかは知りませんが、それを全部十把一絡げにして「労組(労働者・職員)はなっとらん!」云々の話にしてしまっているから、話がおかしくなっている。
 上記の資料は、とりあえず掲示板に保存しておきます。

国鉄・JR労組の変遷(誰か、補足して完成させて!)  
投稿者: 鍋山  投稿日: 5月12日(木)20時05分25秒
【それは、「鉄産労」違い・・・笑・汗】

> イレギュラーずさん、鍋山さん、kanekoさんへ
> 鉄産労と、出来ればグリーンユニオンについて、どういう組合なのか

【鉄産労・鉄道産業労働組合〜全く同じ名前で二つある!】

@ 私やイレギュラーずさんが紹介したのは、
  「84年動労の中から独立した、東北の第4インター系の組合」〜50人弱?

A 「有名な方」の鉄産労は、国労修善寺大会で「民営化容認方針」を出して辞任した旧国労執行部ら右派が、87年国労を脱退して組織したもの〜1万人弱?
結成時には、@が「鉄産労」の組織名僭称に抗議した。

【グリーンユニオン】
よく知りませんが・・・
JR東会社での多数派組合は、JR総連傘下のJR東労組で、旧鉄労系JR連合が、会社と組んでさまざま策謀をしていて、「グリーンユニオン」はその一つなんでしょう。

JR総連傘下のJR東労組〜(革マル系・・・いろいろゴチャゴチャ怪しげな情報があって「革マル系」と言い切れるかどうかは、よくわかりませんが)


【国鉄民営化をめぐる労組の役割〜変遷】
(参考)http://marukyo.cosm.co.jp/KEIZU/JR-keizu.html

1、国労・反対、鉄労・推進。
2、動労の推進派への転向〜その推進派の尖兵・行動隊へ
 (共産党系・全動労、四トロ系・鉄産労、中核系・千葉動労の独立)
3、国労〜修善寺大会で、旧執行部の「民営化容認」を否決して、「民営化反対」の執行部確立。旧執行部派鉄産労の分裂・離脱。革マル系真国労の離脱。
4、「民営化成立」〜国労・全動労に差別的人事・JR不採用〜数千人の争議団。
5、客観的には、民営化の最大の功労者・動労が、論功行賞として、鉄労も吸収して当初JR会社の労組の覇権を握る。=JR総連。
6、会社〜用済みになったJR総連の切り捨て。
 会社に忠実な労組の再編〜JR連合の結成・西会社の制圧〜
 国労の取り込み(「四党合意」・争議団切り捨て)
 JR総連をはじめとするその他労組の切り崩し。

【会社と対決している組合】

@JR総連(見捨てないで〜)
A国労内反対派(旗色鮮明なのは「国労高崎・元解放派系」・東京各支部等、どうなの共産党?)と争議団。
B独立組合〜千葉動労、鉄産労・・・建交労(どうする共産党?)

 80年代末、北海道の全動労の労働者が、首都圏の清算事業団に入れられて、私の地域でも、共産党系の運動に加わり、その運動を活性化させていたのだが・・・
共産党の国鉄方針の不鮮明さと、全動労の建交労への吸収の中で、元気がなくなって行くのを目撃しています。

【参考資料】 「JR会社が捨てたもの」(鉄建公団訴訟原告団・国鉄闘争共闘会議の声明)  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月12日(木)23時40分51秒
(参考資料・重複御免!)
「 J R 会 社 が 捨 て た も の 」
= JR福知山線事故犠牲者の皆さんに心から哀悼の意を表します=

 4月25日、ゴールデンウィークを前にして、JR西日本福知山線で107名の尊い命が犠牲となった事故が起きてしまいました。
 この事故で犠牲になられた皆さんに、心から哀悼の意を表します。合掌。
 事故の直接的な原因は、調査委員会の結論を待つしかありませんが、今日までの報道を見るにつけJR西日本会社の事故原因究明に対する姿勢は、始めから会社責任を防禦するものとしか見うけられませんでした。
 レール上でひき潰した石粉を、置石と思わせるかのような発表を行い、さらには運転士が亡くなったことで「事故の真実が知り得なくなった」との談話を発表するに至っては、経営者として倫理観のかけらも見うけられません。
 この事故原因の本質を考えるときに、19年前に国鉄が分割民営化(19年前JRは日本国有鉄道でした)されたときに、「新生JR会社」が捨て去った、輸送の原点とも言える重要な「鍵」となるものが見えてきます。
 それは国鉄時代に培い、国鉄労働者の誇りであった安全と正確無比の列車運行が崩れ去る原因となったものでもあります。
 
 JR会社が捨てたものは、第1に「公共性」。
 国鉄は、横文字でJNR(Japanese National Railway)と略称されました。
 JR会社によって捨てられた真中のN(National)は、“国有の”とか“国民の”という意味で、文字通り国鉄は国民の財産であり、公共性が重要視されてきた交通機関でした。
 「公共企業体」としての国鉄から、公共性が捨て去られると利潤追求が第1となる企業性だけが残ることになったのです。
 「儲かれば何でも」方式の会社は、輸送業務の一線で働くベテラン運転士や保線、駅業務に精通した労働者をホームのうどん店、ラーメン店、売店、ベンディングと呼ばれるジュース類の詰め替え作業に配属しました。
 しかも、その多くは国鉄労働組合に所属し、業務上でも中心的な存在であり、若い社員を育てる技術継承者としても現場で活躍していた仲間でした。
 会社はこの先輩たちに若い社員を見習いにつけ、1人立ちすると本務から外してしまうということが日常茶飯行われました。
 1人前といっても、見習い期間中に全ての技術、知識が習得できるものではありません。同じ職場にいればこそ細かな経験も継承できるのです。
 会社によるこの人事政策は、国労組合員に対する見せしめとしての意味を強く持っていました。
 JRになってからの旅客鉄道会社は、「公共性」を維持、発展させて行くことは非生産的であり、利潤を生まないから切り捨ててきたということです。
 
 JR会社が第2に捨てたものは「安全」。
 国鉄時代には、安全綱領(1951年6月 達第207号)がありました。
その第1項では、「安全は輸送業務の最大の使命である」と定められ、国鉄総裁から現場の職員に至るまで安全運行が徹底されました。
 現在のJR西日本は、「安全・正確な輸送に徹し、お客様に信頼される輸送サービスを提供します」(ハート&アクション)と、安全に対する姿勢は、「最大の使命」から「輸送サービス商品」に置き替わりその姿勢には格段の差があるといえます。
 国鉄綱領第5項では、「疑わしいときは、手落ちなく考えて最も安全と認められるみちを採らなければならない」と謳われていました。
 今、JR会社の職場は運転席の背面監視、秒単位の運行管理、接続優先等々で乗務員はがんじがらめにされ、列車に遅延など出せば運転士も車掌も勤務を外され、見せしめに規則などの書き写し、減給、出勤停止もあります。
 業務上であっても、「手落ちなく考えて」判断する余裕などありません。
 87年、分割民営化にあたって「国労にいると新会社に行けない」と、労働者にとって生きる条件の根底に関わる「雇用」で脅しをかけ、新会社に都合のいい労働者を作り出そうとしました。
 雇用での脅しや業務上の必罰を労務管理の具にするのは、何と愚かなことでしょうか、職場が暗くなるのが手に取るように分かります。
分割民営化直前に200名に及ぶ自殺者を出し、現認体制と処分の乱発を職場で経験した者として。
 今のJR会社は、この「公共性」と「安全」を省みることなく、さらに働く者まで切って捨てることによって「採算」をとり、分割民営化の「負の遺産」を覆い隠しているのです。
 
 第3にJR会社が捨てたのは「労使関係」
 もっともこれは、労働組合の主体性の問題でもありますが。
 公共輸送機関に携わる労働組合であれば、「公共性」と「安全」については、会社の経営方針と真っ向から対立してでも、取り組まなければならない課題であります。
 併せて職場労働条件の改善と、会社・管理者の横暴に対する職場の民主化に、真剣に取り組まなければなりません。
 雪印、三菱、薬害エイズ、様々な公害等々大企業がこれまでに犯してきた事件でも、内部告発があれば、もう少し被害の拡大は防ぐことが出来たのではないでしょうか。
 我が国鉄労働組合にも、もっともっと強力な取り組みを望みたいものです。

 19年前、分割民営化で仕組まれた国家的不当労働行為による不採用で、職場を奪われ鉄道業務からも外された国鉄労働者1047名の解雇当事者たちの、技術力や業務内容についての知識も、遠い記憶のものとなりましたが、しかし、国鉄労働者魂は忘れてはいません。
 現在のJR職場を見るにつけ隔靴掻痒の思いが募るばかりです。
あらためて「俺たちを職場に戻せ」との思いは、2度目の解雇を受けた1047名に共通する19年間の叫びです。
 公共交通機関としての大量輸送にとって、今回のような重大事故に直結する運転事故の芽は多く、特に安全には、人も金もかける以外に良策はありません。
 そしてJR職場にも、民主的な気風と人権が取り戻されなければなりません。
 私たちが闘っている鉄建公団訴訟は、9月15日が判決日です。まず勝利判決をこの手にするために全力で闘います。

 それが分割民営化の隠された矛盾点に、小さくても光を当てることになれば、と。


           2005年5月2日
           鉄建公団訴訟原告団 国鉄闘争に勝利する共闘会議
           団 長  酒井直昭     議 長  二瓶久勝

---------------------------------------------------------------------
【参考資料】(こちらも重複御免!)

・がんばれ闘争団 ともにGO!(国鉄闘争共闘会議のHP)
 http://www.h4.dion.ne.jp/~tomonigo/
・がんばれ国労闘争団 責任とってよナカソネさん
 (1047名問題解決のためのキャンペーンサイト)
 http://www1.jca.apc.org/ouen/
・闘争団とともに 人らしく(特急たからさんのHP)
 http://www.geocities.jp/aichi200410/
・闘う国労闘争団とともに歩むなにわの会
 (「JRに安全と人権を!株主・市民の会」の記事がアップされています)
 http://members.aol.com/naniwanokai/index.htm
・国鉄JR問題研究会
 http://roumonken.ld.infoseek.co.jp/index.htm
・国労共闘
 http://www31.ocn.ne.jp/~kokurouk/
・岐路に立つ国鉄闘争――共産党中央は「4党合意」の拒否を明確にせよ!
 (「さざ波通信」第14号所収論文、'00/8/1発行)
 http://www.linkclub.or.jp/~sazan-tu/sazanami/014/51.html


※「国鉄分割民営化」「1047名問題」「4党合意」「鉄建公団訴訟」等の内容については、まずは上記の声明及び参考資料を参照・熟読して下さい。私としても引き続き、当時の国鉄闘争になじみの無い今の10代・20代の若い世代が読んでも直ぐ分かるような解説をアップする事を考えています。・・・というか、出来れば他の方も手伝ってチョ! 
 
※・・・という事で、むじなに対する反論レスは、当面ストップ。

【参考情報】JRの労組・組織状況  
投稿者: 鍋山  投稿日: 5月13日(金)21時15分14秒
まあ、大雑把にこんな状況という位の情報です。

JRの労組組織状況 (平成15年・厚労省調査)より
http://homepage1.nifty.com/JR-RENGO/gaiyo/gaiyotop.htm

      JR連合     JR総連     国労   建交労 その他 未加入
 全体   74,000        74,000      20,000     600   600   1,500

北海道   1,500       6,500(75%)      380
東日本   2,600        51,100(75%)    12,400
東海     16,200(85%)     600          1,880
西日本    27,300(85%)     1,200       2,500
四国      2,800(85%)    −            420
九州      8,000(85%)       500         500
貨物       900          5,000(65%)     1,500
関連     13,800(60%)      9,000        −

尼崎脱線事故の技術的側面--カントと緩和曲線、三点支持脱線  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月19日(木)10時50分7秒
 イラク日本人人質事件、バッシング考・・・。こちらも興味は付きません。

 先程、国労共闘のHPを見ていたら、JR福知山線・尼崎脱線事故を誘発した技術的側面についても追求している箇所がありました。当該事故の技術的側面については、東西線への乗入れ・東海道線との連絡の便を図る為にわざわざ福知山線の線形を変え、半径300mの「魔のカーブ」を設定した事が指摘されていますが、その他にも「カントと緩和曲線の不足が三点支持脱線を引き起こした」という事を指摘しています。
 
・尼崎事故は起こるべくして起きた JR分割民営化体制が事故原因のすべてだ 動労千葉とともに運転保安・安全闘争に決起しよう(国労共闘のHP)
> 4−3.事故原因であるJR分割民営化体制の第3の問題点は、安全問題である
> その2は、分割民営化によってつくられたR=300の「魔のカーブ」とカント不足・平面性のネジレ=3点支持の線路構造だ。
 http://www31.ocn.ne.jp/~kokurouk/

 「カント」「緩和曲線」については、下記の解説も参考になります。

・JR西日本・福知山線の事故を考える・・・その1
 http://www.paw.hi-ho.ne.jp/t-tetsu/kensei_omou/omou_132.htm

 線路のカーブ部分では、遠心力で電車が脱線してしまわないように、カーブの外側を内側より高くしてあります。この内外の高低差の事を鉄道用語で「カント」というのですが、その数値が本来あるべき基準値よりも小さかった事(カント不足)がまず指摘されています。そして、直線から徐々にカーブに入っていく区間も異様に短かった為に(緩和曲線区間の不足)、カーブで、台車軸受けの3点に掛かる荷重バランスが崩れて脱線に至った(三点支持脱線)−という事です。

 この件については、その他にもいくつか技術的側面について精通しておく必要がありそうなので、今回は「こういう指摘もされている」という事でアップしておきます。


  尼崎脱線事故の背景(過当競争)を巡って

事故の背景−JRと私鉄の角逐、異常なサービス競争  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 4月28日(木)10時01分59秒
 4月25日に起こったJR福知山線脱線事故の背景の一つでもある、京阪神地区におけるJRと私鉄の角逐、異常なサービス競争について、少し触れておきます。
 前述したように、京阪神地区では昔から私鉄交通網が発達し、戦前の昔から旧国鉄時代を通して、JRと私鉄各社との間では、互いに乗客の奪い合いにしのぎを削る熾烈なサービス競争が繰り広げられてきました。そのサービス競争については、昔は圧倒的に私鉄優位に推移し「関西=私鉄王国」の名をほしいままにしていたのですが、その状況に変化が現れたのが旧国鉄の分割民営化後です。分割民営化によって民間会社になったJRは、「目に見える」部分でのサービス向上に力をいれ、新鋭車両の投入やスピードアップ、各種サービスの向上で利便性を大幅にアップさせ、関西「私鉄王国」に殴り込みをかけてきました。本投稿ではこの話題について少し見ていきます。

●JRと南海の角逐−昔「阪和vs南海」、今「ラピートvsはるか」

 JRと私鉄の角逐の典型例として、この話題を取り上げます。
 大阪と和歌山の間には現在、南海電鉄(南海本線)とJR阪和線の2本の路線が併行して走っています。このうちのJR阪和線ですが、開通したのは南海が明治中・後期であるのに比べ(大阪・堺間の開通は日本私鉄史上初めて)、阪和線の方は昭和初期と比較的新しく、しかも開通当初は阪和電鉄という私鉄でした。それまでは大阪・和歌山間は、海岸部を走っている南海しか路線が無かったので、そこに目をつけた阪和側が、山の手に並行する路線を開通させたのです。開通当初から両者の間では、しのぎを削るサービス合戦が繰り広げられた様です。スピードを競い合ったり、阪和は沿線の宅地分譲地の開発を行い、南海に至っては戦前で既に海水浴シーズンに一部区間に冷房車を投入したり(この冷房車には乗客が殺到して、その熱気で冷房効果は殆ど無かった様ですが)。そして戦争中の交通統合で、阪和電鉄は国に買収され国鉄阪和線となりました。

 時代は下がって'90年代。関西国際空港が開港して、JRも南海も最寄り駅から鉄道路線(空港線)を延伸させ、空港特急を走らせました。特急名は、南海は「ラピート」、JRは「はるか」。
 私は南海沿線に住んでいるのですが、その当時の「ラピート」の謳い文句が「難波から関空まで29分」。線路をものすごいスピードで走ります。まるで地震が来たような錯覚を覚えたのを思い出します。私、思い余って近所の議員後援会の知人に苦情を持ち込んだ位です。当時そういう苦情が南海電鉄に殺到して、嫌がらせの為に古自転車が線路に投げ込まれたりもした様です(!)。私は勿論そんな事はしていませんが・・・(笑、汗)。その後、路盤改良が施されたのでしょうか、今は騒音は大分収まっています。
 片や、JRの「はるか」。こちらのウリは、何といっても「京都からでも乗り換えなし空港直通」でしょう。この時点でもう「勝敗は決まった」と思うのですが、実際の所はどうなんだろうか。旧国鉄から引き継いだ路線網がモノを言ったのでしょうか。実は私は未だどちらも乗った事がありません。関空に行く用事なんて無いし、どちらも特急料金がバカ高いですから。

【参考資料】

・当時(昭和5年)の阪和電鉄沿線案内図
 旧国鉄・他社線や市電の経路概略図まで書かれているのに、ライバルの南海については路線図も一切載せないという徹底ぶりが、すごい・・・。
 http://asahiootasyuusai.hp.infoseek.co.jp/hannwadenntetsu-s5.html

・関空特急対決!
 はるか編 http://saboten.sakura.ne.jp/~asakaze/00nen11.4.htm
 ラピート編 http://www.saboten.sakura.ne.jp/~asakaze/00nen11.3.htm

●アーバンネットワーク

 以下はもう面倒くさいので、「鉄道ジャーナル」'02年5月号のコラムから一部引用します。

> ところで、JR西日本が積極的にPRしている「アーバンネットワーク」という言葉は京阪神都市近郊区間を示すものとして、会社発足から2年後の1989年に誕生した。
 国鉄時代の京阪神地区一帯は「私鉄王国」の異名をとるほど私鉄各社の輸送シェアが大きく、対する国鉄はキメこまかさを欠く輸送形態や古い車両、高い運賃などから、相対的に少ない輸送量しかシェアできていなかった。しかし、JR西日本として発足すると、都市圏を最大の経営基盤として磐石にする必要が生じ、発足直後から最大限の施策を打ちはじめた。
 この一環として、1988年にまず各路線に線区愛称を付して、地元への密着を打ち出した。つまり、従来の東海道本線・山陽本線・福知山線…といった長距離路線の名称ではなく、JR京都線・JR神戸線・JR宝塚線…といった具合である。率直に言えば古いイメージだった片町線にも、関西文化学術研究都市にちなむ「学研都市線」という新愛称が与えられた。そして翌1989年3月、JR西日本は他のJR各社が特急列車からイメージリーダーカーを投入していった中で、京阪神間新快速に221系近郊形電車を投入し、沿線の耳目を大いに集めた。その後は通勤形の207系やさらに新しい近郊形の223系を投入、駅改善、運行形態の多様化、速達化などあらゆる策を打って、私鉄との形勢を逆転するほどの成長を見せる。

> アーバンネットワークの範囲は、明確な定義に基づいて定められているものではないが、都市型電車による高頻度運転区間をさすものと考えてよい。その意味で、1989年3月の片町線長尾〜木津間電化(事実上、学研都市線の区間延伸)、1990年3月の嵯峨野線(山陰本線)園部電化、1991年3月の奈良線快速新設、同年9月の北陸本線長浜まで直流化による新快速直通、1994年6月の関西空港線開業、1997年3月のJR東西線開業とJR宝塚線新三田〜篠山口間複線化などのプロジェクトにより、エリアも着実に拡大してきている。城東貨物線を旅客線化して大和路線(関西本線)久宝寺と新大阪とを結ぶ大阪外環状線の整備も始まっており、このうち久宝寺と学研都市線放出間の南側区間が2005年度に開業すると、奈良方面から外環状線・JR東西線経由で神戸方面とのスルー運転も可能になり、ますます多彩になりそうな気配である。
 http://www.railfan.ne.jp/rj/main/esse_17a.html

 この様な地域・職場の状況下で、JR福知山線の脱線事故が発生したのです。

 また、この「JRと私鉄の角逐、異常なサービス競争」ですが、首都圏や中京圏については一体どうなのでしょうか? 東京・横浜間なんてJR・東急・京急と3路線が並行して走っている訳ですし、成田空港の乗り入れを巡っても京成電鉄とJRの間で角逐がありそうな気がするのですが・・・。それともこれは、「イラチ」な関西人気質特有の、特殊な地域風土の為せる技なんでしょうか? 

JRの東西の違い  
投稿者: むじな  投稿日: 4月29日(金)01時05分8秒
>>事故の背景−JRと私鉄の角逐、異常なサービス競争  投稿者: 社会主義者  投稿日: 4月28日(木)10時01分59秒
> 片や、JRの「はるか」。こちらのウリは、何といっても「京都からでも乗り換えなし
>空港直通」でしょう。この時点でもう「勝敗は決まった」と思うのですが、実際の所はど
>うなんだろうか。旧国鉄から引き継いだ路線網がモノを言ったのでしょうか。実は私は未
>だどちらも乗った事がありません。関空に行く用事なんて無いし、どちらも特急料金がバ
>カ高いですから。

おれ、金沢から京都にいってのったときの一回しか乗ったことない。
あとは関空と大阪城公園を結ぶ快速を大阪と関空間をのって使う。時間もそんなに変わらないし、1100円で乗れる。
はるかなんか乗るやるはアホだ。

> また、この「JRと私鉄の角逐、異常なサービス競争」ですが、首都圏や中京圏につい
>ては一体どうなのでしょうか? 東京・横浜間なんてJR・東急・京急と3路線が並行し
>て走っている訳ですし、

東京に住んだことがないみたいね。あれは並行して走っているとは誰も思っていない。
大体、途中の路線はかなり離れているからね。東京から関内に行くなら、JRに乗るのが一番近道だし。
東京の場合はJRが主体で、私鉄は山手線の主要駅から放射線上にのびていて、相互補完関係になっている。
だから、関西のような阪神(京阪)・阪急・JRの過当競争はありえない。

てか、関西の場合、もともと民鉄が強くて、JRが後で入ったようなもの。
おれは関西に住んでいたときには、あんまりJRは乗らなかった。はっきりいって関西のJRは嫌い。

>成田空港の乗り入れを巡っても京成電鉄とJRの間で角逐がありそうな気がするのです
>が・・・。

あれは、結んでいるところが、違っているから、競争にならんのだわ。
安く上げるには、京成の特急に乗るのが一番。スカイライナーに乗る必要ないし。

>それともこれは、「イラチ」な関西人気質特有の、特殊な地域風土の為せる技なんでしょ
>うか? 

イラチというか、もともと民鉄が強かった土壌に、国鉄が後で買収したり参入したからおかしなことになっただけだろう。

鉄道雑感  
投稿者: ぼんくらおじさん@禁アサリ  投稿日: 5月15日(日)18時02分37秒
前から、思っていたのだが、関西の鉄道はなぜ複々線でないのだろう。首都圏のいわゆる国電では、とうに複々線は当たり前になっているし、東海道線、横須賀線、京浜東北線ともにかなりの区間を文字通り平行して走っている。子供の頃、東京へつれて行ってもらったとき、追いつ追われつ平行して走る電車が面白くて、向こうの電車の子供に手を振ったり、あかんべをしたりしたものだ。東海道線ではたしか平塚だか小田原だかまで複々線のはずである。また東京では、埼京線だとか武蔵野線だとか新線建設も頻繁に行われてきた。

ところが関西に来てみると、東海道線は単なる複線でしかないし、平行して走る路線もない。大阪環状線しかり、関西線しかりである。関西線などは「奈良まで電化し、天王寺から直通でいけるようになりました」などと時代おくれのことを言っていた。総じて関西の国鉄はお粗末だ。車両は首都圏のそれの使い古しで、「東京近郊鉄道路線図」なるものが剥がさずにそのまま堂々と貼ってあった。

福知山線はもともとローカル線だった。大阪駅から福知山行きとか米子行きとかの古色蒼然たる列車が出ていた。30年以上も前になるが、福知山線と片町から四条畷方面へ行く「片町線」とを結合して、「片福線」を作ろうという計画が漠然とあった。これが後年ようやく実現して、福知山線は通勤通学の路線に様変わりしたようだ。片福線開通にあわせて、複々線化を計画していれば、恐るべき過密ダイヤは避けえたのではないだろうか。

話は飛ぶが、大阪の地下鉄は実にわかりやすい。これは褒めてよい。大阪の道路は東西南北の碁盤目状にできているから、必然的に地下鉄も碁盤目状になる。だから、頭の中にすぐ入るし、実際、乗り換えなどにとても便利だ。それにひきかえ東京の地下鉄はまるででたらめといっていい。それは江戸城の堀が「の」字型の環状にできていることにいくらか関係しているのだが、それにしても東京の地下鉄は曲がりくねっていて、じつにわかりにくい。

首都圏への一極集中にあわせるように優先的に鉄道整備は行なわれてきたと思う。反対に関西はこうした「恩恵」からやや見放された。少なくともJRを見る限り東西の格差が目立つように思う。本四架橋は3つもいらない。そのかわり、その金をせめて複々線のほうにまわしてほしかったと思っている。

Re:鉄道雑感  
投稿者: 社会主義者  投稿日: 5月16日(月)01時33分46秒
> 前から、思っていたのだが、関西の鉄道はなぜ複々線でないのだろう。

 さっき調べてみたら、大阪・京都間は複々線との事です。確か、大阪・神戸間も複々線だったような記憶があります。当該線区はここ数年は殆ど利用しないので、もうよく覚えていないのですが。詳しくは下記参照。
 http://express22.hp.infoseek.co.jp/jwkyotokobe.htm


> ところが関西に来てみると、東海道線は単なる複線でしかないし、平行して走る路線もない。大阪環状線しかり、関西線しかりである。関西線などは「奈良まで電化し、天王寺から直通でいけるようになりました」などと時代おくれのことを言っていた。総じて関西の国鉄はお粗末だ。車両は首都圏のそれの使い古しで、「東京近郊鉄道路線図」なるものが剥がさずにそのまま堂々と貼ってあった。

 大阪環状線については、各ターミナル(天王寺・鶴橋・京橋・大阪)へは私鉄や地下鉄でも行けるから、どうにか複線で間に合っているのでしょうね。第一、環状線なので内回り・外回りのどちらに乗っても目的地に着きますし。その代わり運転間隔はすごいよ。数分おきに電車が来る。それでもラッシュアワーになるとぎゅうぎゅう詰めだけど。ついでに言うと、環状線が今の環状の形になったのは比較的新しく、'61年から。それまでは今の東半分(天王寺・大阪間)だけしか無く、城東線と呼ばれていた。

 その他の線区に関して言うと、京阪神は昔から私鉄王国で、JRは国鉄時代から私鉄の後塵を拝していたのです。大阪からは、奈良へは近鉄奈良線、宝塚へは阪急宝塚線、京都へも阪急京都線と京阪本線がメインルートで、関西本線(大和路線)・福知山線(宝塚線)・片町線(学研都市線)にわざわざ乗る人は殆どいませんでした。JRの方がルート的にも遠回りだし。大阪から名古屋へ行くのですら近鉄のアーバンライナーが主役で、新幹線なんて余程急ぎの用事でもない限り使わない。
 関西本線・福知山線が電化されたのも'80年代に入ってからで、それまではディーゼル・カー。首都圏で言うならば、差し詰め川越線や八高線みたいな感じか。片町線は、大阪寄りの部分は既に昭和初期に一部電化されていたが、全線電化はやはり'80年代に入ってから。

 そういう国鉄時代の昔からの「商売っけの無さ」は、元々日本の鉄道が軍事的観点優先で敷設された所から来ているのではないかと思います。明治初期の東京・大阪間ルートが東海道経由ではなく中山道経由で考えられていたのも、戦前は電化区間が一部私鉄買収線区以外は全て東京と京阪神の近郊区間だけに抑えられていたのも、正に国防上の観点から。明治時代の鉄道国有化や太平洋戦争中の交通統合も然り。だから、最初は大都市間のフリークエント・サービスなんて発想自体が無かった。そういう発想が出てきたのは、大都市圏で私鉄との競争に迫られるようになった大正時代以降。

 それが戦後も長く続いてきたのが、JRになってから大きく変貌した。関西の前記「ディーゼル・カー」線区も、そんな中でアレヨアレヨという間に急激に近郊通勤路線に変貌した。私鉄沿線から始まった宅地開発の波もようやくJR沿線にまで及び、京阪奈学研都市開発(片町線沿線)や新三田ニュータウンの開発(福知山線沿線)などが始まった。そんな中でJRも、民営化以降「アーバンネットワーク」の掛け声の下で私鉄との集客競争に力を入れていった。阪神大震災の後いち早く全線復旧を果たした事も手伝って、かなりのシェアを私鉄から奪ってきた。

 問題は、それが鉄道の安全面や職員の人権を犠牲にして成し遂げられた事。ATSの問題をとってみても、関西大手私鉄は既に'60年代〜'70年代に、速度自動制御型の今のATSの設置を終えています。それまでは私鉄でも大事故が頻発した時期がありました。南海電鉄が当時立て続けに大事故(脱線転覆・正面衝突)を起こした事なども、子供ながら覚えています。しかしATS設置以降は、関西では私鉄の大事故は起こっていません。翻って国鉄・JR。前述タイプのATS設置率は、今でも確か8%ぐらいだったかな、そんな状況でしょ。だからそれ以降も今に至るまでずっと大事故を頻発させているのです。
 http://homepage2.nifty.com/ho-/Tetsudou/Tetsudo_jiko/TJ_index.htm
 http://www.yomiuri.co.jp/features/dassen/200505/da20050509_05.htm

 それと私は、福知山線・片町線・関西線などの様に急激に通勤線区に変貌した所については、「後発線区」であるが故の矛盾もあるのではないかと思っています。東海道線・環状線といった「先発線区」以上に、設備拡充や職員の技能習熟面での矛盾が顕在化していたのでは、と。
 福知山線の例で言うと、開通当時は尼崎港と福知山を結んでいて、東海道線とは直交するだけで連絡はしていなかった筈です。だから線形も直線で、事故現場のカーブなども無かった。それが尼崎駅での連絡が始まり(その後、尼崎港との間は廃線になった)、'80年代の複線電化と国鉄分割民営化を経て、JRの私鉄に対する壮絶なシェア争いが始まり、学研都市開発を睨んでの東西線(おじさんの言う片福線)開通と合わせて、東海道線を跨いでの急なカーブが出来た。ディーゼル・カーの走るローカル線から通勤線区への急激な変貌が、'80年代の僅か数年で起こった訳です。JRの「安全・人権軽視」と「技能継承の断絶」の中で。


> 話は飛ぶが、大阪の地下鉄は実にわかりやすい。・・・(中略)・・・それにしても東京の地下鉄は曲がりくねっていて、じつにわかりにくい。

 これは言えてる。私も、大阪の地下鉄なんて地図無しに乗りこなせますが、東京の地下鉄となるともう、地図見ながらでも迷うのでは。私鉄との相互乗り入れの規模・量も、関西の比ではないし。そうですか、あのややこしさは江戸城の掘割の形から来ていたのですか。メトロ(旧営団)と都営の二種類に分かれているのも、あれは何故?


 あっ、そうそう。おじさんが前に書いていた「マンションをJRが買い取れ」という件。本当にそうなりそうですね。
 http://www2.asahi.com./special/050425/OSK200505130015.html
 

東京の地下鉄が複雑なのは・・・  
投稿者: 鍋山  投稿日: 5月16日(月)22時52分52秒
いろいろ、秘密の地下障害物があるから。(笑)

皇居の下は、通れないし。
ほかにも〜
大本営地下司令部?
有事の時の天皇の逃げ道・シェルター?

帝都東京・隠された地下網の秘密
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4896916808/249-1692865-3279561


【負けてたまるか!西宮冷蔵】

求人募集!
時給900円・昼食付。

零下30℃での倉庫作業。(最近の新入社員は、2週間でやめた・・・)
http://blogs.yahoo.co.jp/nishinomiyareizou

---リンク----
 インデックスページに戻る。

 目次に戻る。
 次のページに行く。

 前のページに戻る。

BBS  掲示板に行く。