アフガン・イラク戦争〜北朝鮮問題の序章(7)
第2のアフガン----イラク攻撃・有事法制
(1) パレスチナ問題に見る報復の連鎖
ブッシュ大統領は2002年も戦争の年になる」と演説した(1月29日一般教書演説)。 一見わかりやすい、ブッシュの「復仇(ふっきゅう)・報復」の実態をパレスチナ問題に見る。
パレスチナ問題の発端はイギリスの二枚舌外交だ。第1次大戦中、英は戦争協力を取り付けるためにユダヤ人・アラブ人の両方に独立承認を約束してしまう。その結果、両者の対立が決定的なものとなり、イスラエル建国でパレスチナ人が祖国を追われ、4次にわたる中東戦争が引き起こされた。
1990年代に入り、オスロ合意(パレスチナ自治区の創設)でイスラエル・パレスチナ両者の共存の道が開かれた。しかしイスラエルの現シャロン政権はエルサレムのユダヤ教聖地(同時にイスラム教の聖地でもある遺跡)参拝やパレスチナでのユダヤ人入植地の建設を強行し、それに反発したパレスチナ人の自爆テロとイスラエルの国家テロが繰り返されるようになった。 (写真は'01年1月27日エリサレムの自爆テロ/読売新聞)

中東のテロ組織(引用:MSN資料)
中東地域の国際テロ組織
(2) 増長するユニラテラリズム〜「ひとり勝ち」帝国主義
ブッシュ大統領はまた、「タリバン打倒やラディン捕捉で戦争は終わらない」と言明している。現在、アメリカがテロ支援国家として打倒・侵攻対象にしているのがイラン・イラク・イエメン・スーダン・ソマリア・リビア・北朝鮮などである(上図参照)。
ソ連亡き後、アメリカはユニラテラリズム(一国覇権主義)の立場から、反テロに便乗し、自分に都合の悪い政府をすべて「悪の枢軸、ならず者国家」ときめつけている。逆に、自分に都合のよい国はどんな人権弾圧国家であろうと容認している。
アフガンは遠い国の、過去のニュースではない。テロ特措法・PKO改正法・有事法制で、日本が、真のテロ根絶とは無関係な、アメリカの恣意的な「反テロ戦争」に人も金も動員される危険性が高まっている。

 [最新ニュース] 引用:毎日新聞                  (更新日:'03.3.20)
アメリカのイラク攻撃始まる!! 
ブッシュ大統領のイラク攻撃開始演説(全文)
(URL)http://news.msn.co.jp/articles/snews-flash.asp?w=420449
[イラク問題] 英国連大使が仏批判 採択取りやめの会見で
[英閣僚辞任] クック院内総務辞任 対イラク武力行使に抗議
[イラク問題] ブッシュ大統領が対イラク演説 18日午前に
[イラク問題] 安保理国連決議案を取り下げ 米、英、スペイン
 [参考資料]                               (更新日:'03.2.27)
第13回非同盟諸国首脳会議・イラクに関する声明(全文) 
 われわれ非同盟諸国首脳は、重大な懸念をもって、イラクに対する戦争が引き起こしつつある脅威がもたらしている不安定かつ急速に悪化しつつある情勢を検討した。

 われわれは、われわれと同様に戦争を拒否し、イラクに対する戦争が地域全体の不安定要因になるだけでなく、世界のすべての国、とりわけ地域の国々に計り知れない政治的、経済的、人道的結果をもたらすと確信している非同盟諸国と世界の他の諸国の数百万の人々が示している憂慮の念を完全に自覚している。

 武力行使の基本原則へのわれわれの誓約とすべての国連加盟国の主権、領土保全、政治的独立、安全保障の尊重を改めて強調する。

 現在の情勢の平和的解決を達成するための努力を尽すというわれわれの誓約を再確認する。イラクに対する戦争を回避するあらゆる努力を歓迎、支持し、一方的行動でなく、多国間の行動に基づく努力の粘り強い継続をよびかけ、国際の平和と安全を維持する国連と安保理の中心的役割を再確認する。

 
安保理決議1441(注:「用語解説」参照)に基づいて国連査察団を無条件に復帰させ、協力するとのイラクの決定は、イラクの大量破壊兵器の平和的な廃棄を世界に保証するものであり、歓迎する。

 イラクが安保理決議1441と他のすべての関連安保理決議を積極的に順守し、また順守し続けるようイラクによびかける。そうすることがイラクと国連とのあらゆる懸案を、イラクの近隣諸国を含むすべての影響を受ける国々の懸念を考慮に入れて包括的、平和的に解決することに道を開く重要な一歩になるであろう。

 イラクにおける現在の兵器廃棄の努力は、それ自体で終わるべきものでなく、
安保理決議687(注:「用語解説」参照)に基づく制裁の解除に向かって進むものであるべきだと強調する。

 イラク危機の平和的解決は、安保理がイラクの主権、領土保全の不可侵、政治的独立、安全保障と、決議687の第14項を順守してイスラエルを含む中東を大量破壊兵器のない地帯にすることをも保証できることを確信する。

(注)
  • 標記の文書は第13回非同盟諸国首脳会議(開催地クアラルンプール)で'03年2月25日に採択された。段落分けと脚注は編集者によるもの。この文書(和訳)は「しんぶん赤旗」2月27日付より引用した。原文(英文)は「アジアの声/非同盟運動ウォッチ」のHP(下記URL)から見れる。http://www.at.wakwak.com/~asia/nam/nam-j.htm
(用語解説)
  • 安保理決議687('91年4月3日採択):                                      湾岸戦争の停戦決議。イラクの大量破壊兵器の廃棄義務と国際査察の実施について定めたが、イラクの妨害・非協力により'98年以降査察は中断している。
  • 安保理決議1441('02年11月8日採択):                                     イラクの安保理決議687違反に対し、義務履行の「最後の機会を与える」ために採択された決議。イラク側の虚偽申告・非協力・査察妨害に対しては「決議への重大な違反」として安保理で対応を協議。この決議に基づき、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC、委員長ブリクス)・国際原子力機関(IAEA、事務局長エル・バラダイ)が現在イラク国内で査察を継続している。決議全文は国連オンラインのHP(下記URL)に掲載されている。
    http://www.unic.or.jp/new/pr02-104.htm
(参考リンク)

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